第23話

ビリーと言われた青年は納得がいかないのか私を睨みつけてくる。


「ビリー君と言ったか…私の何がそんなに気に入らないのだろうか?」


「オッサンみたいなヤツが冒険者をやっていけるとは思えねぇから心配してやってんだよ。


オッサンは攻撃を避けるのは上手いみたいだが、どう見ても強そうに見えねぇからな」


ギルドマスターを見ると目に手を当てて天を仰いでいた。

気持ちは何となく解る。

ビリー君が言いたい事も解るが、私は冒険者という職業を得なければいけない。

しかし、恨まれて後になって困る事は避けておく必要があるか。


「それでは私と勝負をしてみるかね?


もし君が勝てば私は冒険者を辞めるとしよう」


「面白いじゃねぇか。


もし俺が負けたらオッサンの言う事何でも聞いてやるよ」


私とビリー君の私闘をギルドマスターに半ば強引に認めて貰い、ギルドの地下にある訓練場で行う事になった。

条件として…


・使う武器はお互いに訓練場にある木剣を使う事

・魔法は使わない

・相手を殺すに至る攻撃はしない

・相手に参ったと言わせる、もしくは気絶させる事で勝利とする

・何れかの条件を破っても敗北とする


という条件の下で行う事を絶対条件とした。


両者承諾し、試合の準備をする。

これは貴重な対人戦の機会だ。

勝利はもちろん、色々と経験させてもらうとしよう。


自分はいつもの修練と同じ様に考えているが、向こうはそうじゃないらしく鼻息を荒くしていた。

色んな意味で若いな、彼は。


訓練場は観客でごった返していた。

どうやら私とビリー君の私闘を聞きつけて見に来たらしい。

見取稽古という言葉はあるが、ほぼ全員娯楽として来ているようだ。


「オッサン、覚悟はいいか?」


「気にする必要はない。


私の修練に付き合って貰うのだから礼を言いたい位だ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る