第18話

結果は先に言った通り使える様になったのだが、かなりの時間を要した。


何しろどこにも載っていない魔力の使い方だからだ。

属性無しなのだから、ただ単純にボールと言っても魔法は発動しない。

どうやらファイヤボールやアクアボールは指定した属性と使いたい等級のセットとなっているらしい。

ちなみに中級ではランス、アローの二種類、上級は様々で種類が豊富であったので割愛する。


なので無属性魔法に関しては私が一から作り上げなければいけなかった。

魔素を感知し、収束し、理想の形に作り上げる。

何度も失敗し、何度挫折しそうになったか解らない程だ。


だが、出来ないとは思わなかった。

意志の力に限界はない、限界が訪れるとすれば意志が折れた時だ。

使い慣れた初級のボール系の魔法を思い浮かべ、魔素を構築していく。


何度も使い続け、慣れているこの形以外で成功する想像が出来なかった。

そして失敗を繰り返し、諦めを乗り越え、遂に成功した。

普通に見たならば形は無いが、魔素を感知してみると確かにそこには球体の形をした魔素があった。

無属性魔法が誕生した瞬間である。


それからは初級魔法を使い続けるのと並行して無属性魔法の修練を始めた。

この無属性魔法を使いこなせる様になった今、ようやく私は今スタートラインに立てるのだ。


本来ならば転生したその日の内に街を目指すのだろうが、私は修練に明け暮れる日々を過ごした。

これは転生でもあるが、私は仕事を依頼されたのだ。

その仕事を確実にこなす為にも、この時間は必要だった。

一人で出来る事は全てやった、後は人を相手に出来る様にしなくてはな。


後はこの世界の通貨を手に入れなくてはいけない。

通貨を得なくては不便が多いし、怪しまれるだろう。

今まで狩ったオーク等の素材が売れるといいのだが。


経歴を聞かれたとして、正直に言って通じるのかという不安もあるがなる様にしかならない。

さて、100年経ったが異世界での生活を満喫するとしようか。

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