第12話

酸素や二酸化炭素は本来空気中に存在しているが見る事は叶わない。


しかし、魔素は魔力感知を通して見る事が出来た。

しかも辺り一面の色が変わってしまう程の量が空気中に存在している。


魔力感知を行って解った事だが魔力には色がある。

火なら赤、水なら青といった具合に行使する魔法の属性によって色が変わる。

だが、行使する前の魔力は白。

つまり、何にでも染まる色という事だ。


そこから呪文という魔法を行使する必要手順を追うにつれて白からそれぞれの色に変わっていく。

自分の中の魔力ならば納得がいくが、空気中に漂う魔素も白とは…。


「空気中の魔素を使って魔法を使えるのでは?」


当然の疑問だ、自分の中にある魔力と一緒の性質ならば出来ない道理はない。

おそらく今まで使っていた魔法の使い方とは異なるだろうが、魔力が尽きた後も魔法が使えるのなら大きな戦力になってくれるだろう。


ただ、どうやって空気中の魔素を使うかが解らない。

魔力は自分の身体の中にある物だから使うのに問題はないが、空気中にある魔素は誰の物でもないのだ。


これからは魔法の修練のメニューに空気中の魔素の扱い方を追加しなくてはいけないな。

取り込む事は可能なのだから、必ず出来るはずだ。

出来ないと最初から諦めてしまっていては何も出来はしない。


論理ロジックを構築するのだ。

何事も必ず道筋がある。

その道筋にはしっかりとした繋がりが存在する。

その繋がりを辿っていけば必ず答えに行き着くはず。


今回は空気中に存在する魔素の使用方法について。

何年かかろうが必ず答えを出してみせよう。


今は最大魔力値の増加、魔法の最低限の威力での行使を同時並行している。

魔法を使い、魔力を空にする。

そして最低限の発動出来る魔力が回復すればまた魔法を使い、魔力を枯渇させる。


これを行う事で少しずつだが、最大魔力値と魔力の回復速度が上がっていく事に気付いた。

一度魔力を空にし、回復すると以前よりも簡単には空にならない様にと最大値を成長させる。

いわば筋肉の超回復と似た様なものだ。


魔力が空にする事を絶えず行う事で回復速度が速くなるのも似た様な原理だろう。

よく出来た仕組みである。


元々がほぼゼロからに近いスタートだ。

多少の無茶をしなければ時間が無限にかかってしまう。

何せ私がしなければいけないのは魔法の修練だけではないのだからな。

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