第4話 ゾンビの巣

ゾンビの群れがこれ以上、街に来るのは避けたい。

特に中ボスと名付けたゾンビがマズイ。

一撃で死なないとか、よってたかって撃たないと死なないとか、それは問題じゃない。いや、問題だけど。

それよりも、人型の巨大筋肉バケモノがいることが問題だ。

人間が死んでゾンビになるんじゃない。もとからのバケモノがこの世界にいることが大問題だ。

誰なんだ。そんなバケモノ作ったヤツ。

なんで今更出てきたんだ。


「探しにいくか?」

「探すしかないよね。で、叩き潰さないと。」

「言うようになったじゃん。」


でないと、街のみんなが危険にさらされる。


車に僕と銀杏、コトミ、ツキを載せて辺りを捜索する。

建物がないか、ゾンビの発生ポイントがないか、くまなく探す。


「もし見つけて、あまりに数量が多かったり、強いようなら撤退するぞ。」


しばらくして、銀杏くんが一か所、元工場のような場所を発見した。


全員が武装して入口を探すが、ゾンビが大量にひしめいている。

残弾数が心配になるくらいだ。


ダァン!と銀杏くんが初撃をゾンビに食らわせると、数十匹のゾンビが銀杏くんに意識を持っていかれる。


「たかし、ツキを連れて中に入れ。外は俺とコトミに任せろ。」


了解といって、中に突入する。


外よりは中のほうがゾンビは少ないみたいだった。


工場の奥へ進むと、ヤツが出てきた。


中ボスくん。


ツキが素早く銃を構えて発砲する。

数発が命中し、よろけているところを僕がトドメをさした。


単体ならあまり怖くないか…?二人で倒せたのは朗報だった。


異臭を放つ広間に出る。


「市長、見てください。割れた卵みたいなのがあります。」


どろっと粘液のついた2mほどの卵と呼べそうなモノ。

一つでなく、広間に複数あった。割れた卵以外は脈動しているように感じる。


「たかし、中はどうだ。何か見つかったか?」

「どでかい卵があるよ。これが、中ボスの卵かな?」


どのみちやることは一つ。すべて破壊する。

至近距離でショットガンをぶち込むと卵は割れていった。


中からびちゃりとでてくる中ボスの死体。

ビンゴだ!けど、、、、臭い!グロい!読者の皆さんには見せられないよ!


全ての卵を破壊して撤収する二人。


「こんな卵、見たことありません。」

「僕も初めて見たよ。」

「なあ、たかし、もしかしたら、俺らのレベルに関係してるかもしれないぞ?」


スキルはあるけど、レベルは可視化してない。

でも、僕たちは10年この世界で生きてきた。

もしかしたらある一定の条件をクリアすると、敵が強くなるのかもしれない。


「ますますゲームっぽくなってきたな。10年越しでランクアップだとは思わなかっったけどよ。」


同じプレイヤーであるトールさんの意見が聞きたくなった。

まだ、以前会ったところにいるだろうか。

トールのこと、中ボスのことを聞きに交換屋ミサキへと向かうと、


「トールさんはあなた方が会ったところにいますよ~。その中ボスとやらは私は知りません~」


とのことだったので、お礼を渡してトールさんに会いに行った。


廃墟町の中ほど、明らかに大きなビルが建っている。コンクリートに覆われ、窓がない。その建物だけ、壊れている部分がないのだ。一目でトールさんの建物だとわかった。


「トールさああああん!」


大声でトールさんを呼んでみる。


「うるせええええ!留守だったらどうする気だッたんだァ!?」


あ、トールさんだ。まだ生きてたんですな。よかった。


「よォ、10年くらいぶりか?」

「そうです。お久しぶりです」

「俺はァ別に会いたくなかったよォ。」

「聞きたいことがあってきました。」


中ボスの存在を話す。街に出没したこと、工場で卵をみたこと。

僕らのランクみたいなものが関係あるのかどうか。


「俺もみたぜェ。そいつ。つい最近だなァ。」

「なら、レベルで出現するって線は消えましたね。」

「あァ。もしレベルがあるなら、きっとお前らよりレベルが高いだろォからな。」


つまりあいつら中ボスは、僕らとは関係なく、この世界に湧き出したと考えられる。


「10年経って、このゲーム、アップデートでもされたんじゃねェか?」


この言葉がある意味一番しっくりきた。

そうか。このゲームの運営(?)はアップデートをかましてくるのか。

我々のできること、スキルも増えてるといいな。


でも、困ったな。今後、あの中ボスがちょいちょい出てくるようになるなら、防御態勢も見直さないとだ。

壁の強度あげたり、巨大だから堀も深くしなきゃいけないな。


「ロクなアプデじゃねえな。」

トールさんと別れ帰路につく。


今後も、内容の知らされないアプデが多発したら、対処に困りそうだ。



つづく






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臆病男子のゾンビ世界探検記 松田ゆさく @yusaku86

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