脳再忘

結婚式を終え、人生最大の幸せに入り浸る新婚夫婦。『浅田真美』はベッドに横たわると、理想の結婚生活を語り始めた。
だが彼女の婚約者、『浅田和也』は聞く耳を持つどころか、そっぽを向いて誰かと連絡を取っていた。
真美は後ろから和也のスマホを覗き込んでみた。相手は『安田栄太』というらしい。男っぽい名前をしていた。
「女じゃなくてよかった…」どことなく安心感を覚えた。彼の友達らしい。
翌日、和也は「行きたい場所があるから、一緒についてきてほしい、大学の時の友達に会いに東京に行くんだけど」と真美に言った。
彼女は笑顔でそれに応じた。そしてこの決断こそが残酷な運命の入り口であることなど彼らは知る由もない。