第8話 結菜の、元彼

そんな鬱々とした日々か過ぎた。


そしてとうとう夏帆の妊娠の

知らせが来た。


「やっと、やっと終わった。」

自分の中の微かな後悔が砕け

散った。


結菜が苦しんでいる間も二人は

子作りに励んでいたのか?

結菜は、馬鹿らしくなり可笑しく

思えた。


雄吾とあんな別れ方をして

良かったのか・・・とか


お義母さん、お義父さんに

言われたように雄吾にチャンスを

あげるべきだったのか・・・とか

自分に悪い所もあったんだから

とか・・・。


夏帆の妊娠で全━━━━━━部

吹き飛んだ!

何も心配する事など無かった

雄吾はちゃんと前を向いていた。


それから結菜は新しいアパートへと

引越した。

マンションとは違いセキュリティも

若干甘いかも知れない。


1人で住む分、生活はきつきつだっ

たが学生の時アルバイトしていた

モールのハンバーガー店で

またアルバイトをして稼ぐ事に

した。


副業、今からおひとり様生活

いつまで続くか、分からない。

一生一人かも知れない。


もう恋愛は今の所懲り懲りだし、

稼げる時に稼いでおく、

おひとり様には、とても

大事な事に思えた。


だって頼れる人はもう居ないの

だから・・・。


今間での結菜は今の結菜から

見ると世間知らずの

甘々お嬢様‼


不安も無く、心配も無い。

何か困れば雄吾が手を差し伸べて

くれる。


そんな守られた甘い考えだから

浮気されたんだろうな!

それが分かっただけでも

大きく成長したと思う。


雄吾の事恨んでいたけど

一人になったら雄吾には色々

感謝だワ。


助けて貰っていたんだなぁ

甘えていないつもりだったけど

めちゃくちゃ甘やかしてくれてた!


「雄吾、夏帆と仲良くね。」


結菜は新しいアパートの窓から

夏帆のマンションの方向へ

向かい呟いた。


もし今度彼氏が出来たら

結菜を裏切らない誠実で優しくて

結菜だけを愛してくれる人がいい。


B

ドンッ💢


もうイケメンは論外‼

心が揺れない強い人を探しまっす‼

ドンッ!ドンッ‼٩💢💢

怒りが甦りつい‼ テーブルを

叩いてしまった。


‎「おやおや

結菜、興奮して大丈夫かい?」


あ‼💦

「しまった。

つい思い出しちゃいましたー。」


結菜は熱いお茶を飲み興奮して

ポッポした体を落ち着かせた。


椿さんはニヤニヤして

「じゃあ家の孫は

結婚相手には不合格かい?

女遊びバッカリしてるし

まれに見る良い男・・・だしね。」


結菜はハフハフと、麻婆豆腐を

ペロりと食べながら


「あ、ナルシスト・・ ポイ ですよね。

無理無理、デスデス、圏外圏外‼


しかも﹏ 、お孫さんも

私の様な子供キ、ラ、イらしい

し、お断りされてますシィ━━‼」


結菜はニッコニッコーしながら

舐めた目をして俺を見て来た!


チッ

「言いたい放題じゃないか‼」

後ろのテーブルに座り黙って話を

聞いていた光寿郎は、少しムッと

したが、以外に真面目な結菜を

見直してもいた。


ホンワカした雰囲気なのに

以外に芯が強い。

そう感心してしまっていた。


「そうかい‼

人には好みがあるし明治、大正

じゃあるまいし無理は言わない。


もう諦めたよ。

でも私達は友達ね!」


「もっちロンですよー

私椿さんに興味ありますもん。

それに一緒にいたら楽しいし!

これからも仲良くしてください。」


俺の祖母はそれを聞いて安心した

ような顔をしていた。

よっぽど彼女が気に行ったん

だろう。



結菜と椿は連絡先を交換して

食事を終わらせた。


チョコチョコと歩く結菜はレジ

を目指していた。


俺は結菜が金を払うのだと分かり

右手を上げた。

支配人が飛んで来てカードを

渡して支払いが終わった。


「九条様からお支払い頂きました。」


結菜はポカーンとして俺をみていた。

ハッとした結菜は、伝票を見

て食事代、椿さんと2人分の

金額一万三千円のお札を

重ねヨロヨロ、とやってきた。


別に重ねて来なくても・・・

普通に財布持ってるじゃんw。


「いらないよ。」

差し出されたお札を押し返した。


「払って頂く言われはありません。」

結菜は、テーブルの上にお札を

置いた。


「気にするな‼

俺の奢りだ‼ 俺のバーちゃんだし

君は次いでって事で‼」


「いいえ‼ 椿さんは私のお友達

なので私が払うべきです。」


お札がテーブルの上を

スースースーUターンして又

スィースィースぃーっとUターン

又スィィースイィースイィー


「負けるかぁ」キッ


「ウリャウリャウリャャャー」

光寿郎と結菜はバチバチバチーッ

顔を近づけ睨み合う。



二人共に譲らない‼

ギロギロ⚡バチバチ

30分くらい睨み合っていると・・・


椿は呆れながら二人を見た。


二人はいつの間にか重ねた右手を

しっかりと握っていた。


オヤ、アレェ…お札じゃ

無くて手を・・・

握っておるんかい?

それ?普通気づくんじゃね?

それを見た椿はニンマリと笑い


“種は巻いた。“

“後は神のみぞ知る‼“

そう思った。


「さあさァ‼

私は、呉服屋に行って帯締め

見に行って来るからね。

あんた達は好きにおしょ。」


椿さんはニコニコしながら

出ていった。


「あっ‼ 私もハンバーガー

ショップに行かなきゃ。」


「結菜待て‼

コレ、俺に恥かかせる気か?」

光寿郎は一万三千円をフリフリ

しながら結菜にストップをかけた。


「え‼ 恥?」


「ああ‼ 支配人も、スタッフも

みんな見てる‼

みんな知り合いなんだぞ!」


結菜が店を見ると支配人や

何人かの人が二人を見てニヤニヤ

していた。


「あ💦・・・そんなつもりは

無かったし、」


「ごめんなさい。


・・・ご馳走様でした。

お札をバツ悪そうに受け取ると

バタバタバタバタとエレベーター

に向かった。

📣ツ椿さんどっち、どっちいった?」


「帰りは心配しなくていい

祖母は連れて帰るから。」

結菜はホッと、可愛らしい

顔を見せて、ニッコリ笑いかけ

手を振りながら

バタバタと走り去って行った。


光寿郎は、その後ろ姿を

見送っていた。


気の強さと、自分の非を認めた

結菜を・・・♡可愛い♡


と思った。


いつの間にか光寿郎もニコニコ

しながら手を振っていた。


その笑顔が急に曇って来たのは


光寿郎の前に、容姿の良い男が

立ち塞がった。

その異様な立ち姿に光寿郎は何者か

ピンと来た。



「もしかして、君は

結菜の元カレか?」



「元彼?あ💦ああ‼・・・そうです。

結菜がそう言ってるんですか?」


俺はスーツのポケットに手を

入れながらジー


「今更結菜に何の用事?」


ムッ‼

「結菜と貴方はどんな仲です?

まさか、付き合ってますか?」


彼は俺をジッと見たまま呟いた。



「んー?どうだろう。

君より近い仲とは思うぞ‼」


「・・・・・・別れ・・・て貰えませんか?

本気じゃないなら別れて

貰えませんか💢」


「は?」

俺は‎⊙⊙!!彼を見た。


彼は拳を震わせ俺を見て言った。


「忘れられないんです。


食事してても、米が山盛り積まれた

御飯茶碗を思い出し、

ラグビー部かよ‼ と思う位の

食べっぷり。


新米が出たと聞けば米屋さんで

精米仕立ての新米を

買いに行ったり、結菜のおにぎりは

デカくて、でも美味くて‼


辛い・・・

後悔しています。」


フッ「笑アヒャヒャ

じゃあなんで浮気したんだ?

アイツの真っ直ぐな性格

誰よりも君が知っていたんじゃ

ないのか?


それに苦しんだのは結菜だろ?

恋人と親友と同時に失ったんだ

許す訳無いだろ!

しかも信じていた二人が

浮気だぞ・・・


アンタの浮気相手が色仕掛け

して来て、それを相手したのは

アンタだろ?



今のアンタを見ても

ざまぁwwwwとしか思えない‼

結菜を返す気は俺は無い‼」


彼は何も言えずただ突っ立っていた。


「もう結菜は吹っ切れているよ。

これ以上、結菜を困らせるな‼


そんなに大事に想うなら

引き下がれ、お前父親に

なるんじゃないのか?

大事にする人は他にいるだろう。

結菜は、知っているぞ‼

それ以上卑怯者になるな‼」


彼は光寿郎をひと睨みした。

拳もさっきよりガタガタと震わせ


・・・しかし


想いを飲み込むように

肩の力を抜き

光寿郎に頭を下げエレベーター

の方へと歩きだした。


そんな寂しそうな後姿に髪を

引かれながらも、浮気相手 は

妊娠してるって言っていたし


コレで良かったんだ・・・

子供に父親は必要だろ?


俺はゴメンだけどな‼

結婚なんて転落にしか思えない

だから、SE〇の基本は大事にする。


甘い言葉にはのらない。

今日は大丈夫な日よ。

薬飲んでるから大丈夫‼

コレは危ない、ヤバイ⚠




、結菜と、付き合ってもいない俺が

何言ってんだかなぁ〜

何でこんなにもムキになったんだ?


あ💦今日は明莉と約束があった‼

光寿郎はいそいそと好みの

オネエ様の元へヤル気満々で

足を進めた。


めんどくさい事には関わらない

それは何時も思って来た事だ


俺はオレ


光寿郎の癒しを求めて・・・

足は繁華街へと進む。❤❤❤
















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