🐝第7話 後悔するなら浮気するナ

「アレッ‎結菜じゃん。

結菜も呼ばれたの?」

芽依(メイ)はキョトンと

しながら結菜の隣に立つ

美乃に頭をさげる。



「ん?芽衣どうして夏帆の

マンションに来たの?」


芽依と夏帆と結菜は幼児期から

大学までの長い間過ごした

親友だった。


「結菜の会社の人?」

芽依は美乃を気にしながら

聞いてくる。


「うん、夏帆に確かめたい事が

あって、一緒に来て貰ったんだ‼

芽依はどうしたの?

今日は休み?」


ノー天気な空気よめない芽依の

明るい声が響く。


「うん、なんか新しい彼

紹介するから来い来い言われてね

ビールとツマミ買って来ちゃった

一緒に呑も呑も‼“行こ行こ」

芽依は明るく2人を誘って来る‼


美乃は携帯を取り出し

芽依に見せた。


「なになに?どしたーん?

は?は?はぁ?」

芽依は以前結菜の彼氏を紹介

されて知っていた。


「結菜‼コラッ💢💢

あんだけ夏帆には合わせんな

言うたやろ!

取られんの分かってたし‼」


芽依は握っていたツマミと

ビールをボトンと落とした。


「まさか、親友の彼にまで

そう言う事やる?」


芽依は呆れ果て・・・

「もう、病気な‼」

芽依はツマミと冷えたカンビールを

玄関からポイと投げ入れると

ドアを閉めた。



「結菜行こう。

ええっと・・・コチラは」


「谷山美乃です。」


あ‼「私、岸田芽依、メイって

呼んでね。」


三人は連れ立って歩きだした。


すると何を思ったかエレベーター

の前迄来ると結菜がバタバタと

又夏帆の部屋まで引き返し


とドアを開けて

📣雄吾の荷物ココに送るから‼》

雄吾、部屋出て行ってね‼》

私も引っ越すから‼》

「ご両親には私から連絡する‼

新車来たら熱海に行く準備

していたけど‼

《もうそんな計画、無くなった

📢

から━━━━━━━‼》」


そう叫んでドアを閉めた。

芽依は未だ信じられなかった。

しかし

バタバタと服を着て追いかけて

来た雄吾を見て納得せざる

おえない。ヤレヤレ


雄吾は人目も気にせず

必死に謝った。

然し結菜は顔すら見ない、


「ゴメン、ゴメン結菜

愛してる、許して欲しい償いは

一生をかけてさせて貰うから・・・」


「裏切り者のお決まりの

セリフね、私の彼もそう言ってた。

浮気男子のマニュアルでも

あるの?」

美乃も彼と元彼が被ったのか

冷えた言葉を投げかけた。



「違う、本気だ‼

母さんも結菜と温泉行くって

楽しみにしてるんだよ‼


母さんと仲良いじゃないか‼

彼女とはちゃんと切れるから・・・

俺と帰ろう、な、な‼」


寝言ほざく彼はもう薄汚れた

汚物にしか思え無い‼


「そうね、新しい彼女と

熱海行けば良いじゃない。

夏帆も楽しみなんじゃない?

夏帆とお義母さん仲良く出来る

ように雄吾が頑張れば・・・


あの性格、お義母さんも

かなり疲れるカモね。」


雄吾は結菜の前に回り込み

腕を掴んだ

結菜はまるで💩まみれの手で

触られた様な引きつった声で

叫んだ。


雄吾は悲しそうに呟いた。

「なんで許してくれないのさ、

四年、結菜だけを見てきて

精一杯愛して来たんだぞ

今だって結菜だけを愛してる。

たった一度の過ちじゃないか⤵」



「はぁ~アホか?

仕方ないんじゃない

雄吾が裏切ったんだから・・・


なんでアンタが被害者面なのよ‼


私だって貴方と家族に

なりたかった。


でも・・・無理でしょ。

お嫁さんは二人は要らないのよ‼

浮気は許さないって毎回

言ってたでしょ。

どんな気持ちで聞いていたのよ💢」



「そんな簡単に終われるのか?

結菜俺は別れない‼」


「四年でも1日でも、裏切りは

裏切りよ‼

簡単に終わらせたのは雄吾でしょ。


貴方が赤い糸を切ったんだから

何年付き合っていようが

関係なくない?


じゃあ私が雄吾しか知らないから

他の男も試してみよう。

結婚前だから・・ま‼いいかぁー

違う男がどんなんか試しました。


雄吾四年付き合ってるから

許してくれるよね。

ったら許すの?


そうしたら何もかも元通りに

な、る、の?(笑)“」


雄吾はガタガタと崩れ落ち

三人の前で跪いた。


「結菜、ゴメン‼

本当にゴメン、許してくれなくて

いいから、別れるのだけは

勘弁してほしい。」


結菜は少し赤くなった空を見て

「結婚式、来年にしといて

良かったー」


《えっ‼結菜》

そこにいた誰もが結菜を?見た。

まさかの復縁!!?


「ね‼雄吾もそう思わない。

仲人さんもまだ決まって無かったし

本当に良かったよ。」


結菜は婚約指輪をクリクリと

外し雄吾に投げた。


コロコロと転がり雄吾の膝まづい

た所でカチャンカチャンと軽い

音を立てて止まった。


全員の目が指輪を追った。


「貰った時は嬉しくて凄い

宝物だったよ。

今はタダの金属ね!

愛情の抜け落ちた指輪はもう

雄吾と私を繋げない・・・。


指輪に終わりがないのなら

終わらせる迄よ。

外して捨てたら簡単に終わったー


ハイ、TheEND」


結菜は左手をパラッパラッと

振って見せた。


雄吾、こんなに大事にしていた

指輪を簡単に外せる程

貴方は酷い仕打ちをしたのよ‼


許せる訳ないじゃん。

覚えていた方が良いよ

女は、お、と、こ、程甘く

ないよ‼」


夕焼けが赤く四人を染めた

カラスが2羽ゴミ収集所の所に

降り立ち仲良く寄り添っていた。


結菜はカラスを羨ましそうに

見て、

「カラスってね番(つがい)が

死んでても傍を離れないんだって

死んだカラスに近づくと

攻撃して守るんだって・・・


雄吾、私達もそんな絆の深い

夫婦になれると思って

いたのにね・・・。」


カラスは黒い羽をバサッバサッ

と二回振ると顔を見合わせ

夕焼けの空に飛び上がった。


ガアガアガアガーア

黒い羽をめいっぱい広げながら

シューウと上昇して

大きな方が少し小さい方を

庇うように羽音を豪快に響かせ

ながら飛んで行った。


「雄吾はあのカラスには

勝てないよ。

もう私達は終わったよ。

夏帆をどうぞ幸せにしてあげてね。」


そう結菜が呟くと指輪を握りしめ

ながら雄吾は泣いていた!



次の日起きられなくて初めて

無断欠勤・・・と

思ったら美乃からライ〇が来た。


“コラ、寝坊助

胃腸炎と連絡して置いた。

ゆっくり休め‼“


「はぁ……

初めてズル休みした。

美乃ありがとう。」

結菜は壁にかけてある雄吾の背広

を見て全身に力が漲った‼


「ヨシッやるかー」


雄吾の荷物を詰めるべくスーパー

の空き箱を貰いに行った。


店長さんにお願いして

沢山貰えた。何時も行くスーパー

だったから顔見知り‼


「結菜ちゃん、引越し?

寂しくなるね!」

50代くらいの人の良さそうな

女性の店長さんは

「近くに来たらぜひ

買い物に寄ってね。」

と寂しそうに言った。


「はい。

もちろんです。

大丈夫です。

まだ1ヶ月は居ますから・・・。」



先ずは雄吾の荷物を出して

その後不動産を探す。

今度は会社に近い方がいい。


雄吾の為に雄吾の会社に近い

マンションを選んだ。

馬鹿だよね

全部雄吾優先。


家賃も折半していたから

家賃高額な所に住めたけど

1人ならこんなセキュリティ高い

マンション無理だよなぁ﹏。


折半じゃなくて三分の一くらいか?

このマンション気に行ってたのにな‼


結婚しても住み続けるつもりで

私はパートに切り替えれば早く

帰れるし、雄吾の残業も家が近い

なら安心だった。


雄吾は実家住まいだったから

名義は私だ。


別れるって大変だ‼


結菜がマンションに帰り着くと

見慣れた夫婦が立つていた。


「お義母さん・・・。」


お義母さんは目を赤くして俯いて

いた。


二人を中に通し、昨日の話と

写真を見せた。

何度も謝られた後、荷物を夏華の

部屋に送る事を話たら

彼の母親にそれだけはやめて

欲しいと言われた。


荷物は結局、彼の実家へと

彼の両親に確認してもらい

引越し業者さんを呼びその日の

彼の実家に送り出した。


彼のお母さんと私は

彼が土日出張の時は映画や、

旅行食事や彼の家でお泊まり

など楽しく本当に良くして

貰った。


結菜もそんなご両親を前にして

初めて号泣した。


お義母さん、お義母さんと

すがり付いて泣いた。

雄吾と別れることよりこの

義両親になるはずだった人との

別れの方が・・・

辛かった。


ご両親も結菜が可哀想に思える程

頭を下げて謝られた。


「もう一度雄吾にチャンスを

貰えないだろうか?」

と言われたが


「夏帆は私の親友だった子です。

今度は彼女から雄吾を奪う事に

なります。


私には・・・

出来ません。」

お義母さんは泣かれていた。


お義父さんはフウーっと溜息を

ついて

「分かりました。

貴方が娘として嫁入りして

くれるのを心待ちにしていました。


こんな事になって申し訳無い。

本当に残念だ‼

これで償いにはならないが

受け取って下さい。」


そう言って銀行の袋に入った

分厚い封筒を差し出して来た。


「とんでもありません。」

結菜が押し返すと


「受け取って貰わないと

私達が前に進めない‼

あなたの引越し費用と思って

納めて下さい。


貴方が良い人を見つけて

幸せになって貰いたい。

君は本当に良い娘だ・・・ったよ。」


お義父さんは眼鏡を外し

涙を拭かれていた。

二人は正座を崩さず深く頭を

下げてくれた。


義両親になるはずだった人に

泣かれ何度も頭を下げられて

結菜も胸が引きちぎられるような

辛い思いの中にいた。


“私さえ我慢して

何も無かったように過ごせば

丸く収まるのだろうか?“


ふと心が折れそうな時

二人の会話が甦った。


「結菜は?結菜は愛してないの?」


「君だけだ、夏帆

君だけを愛している。」


そうだった。

閨の世迷言とは言え、言っては

いけない言葉を雄吾は吐いたのだ。


裏切りの一言‼


「夏帆、君だけを愛している・・・。」


許せない一言を彼は口に

した・・・・・


















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る