おまけ に

 「というわけでなつめさん、私は最近、緊張しっぱなしでとても疲れたのです。ほのぼの展開で始めたはいいものの、途中でシリアスが多くなってしまった見切り発車小説のごとき環境に私の自律神経は休まるところを知りません」


 「うーん、大変だね?」


 「興味が薄い!泣いてしまいますよ、私は!」


 「いや、テンションの乱高下にあんまりついていけてなくて」


 「のんのん、暴れ馬を乗りこなすが如く、台風の日にサーフィンをするかの如く、瞬時適応してついてきてください。なつめさんなら、きっとできます」


 「うーん、無駄な信頼ありがとう。可能な限り、善処するかな」


 「日本人的対応!私はもっと欧米チックな、ラフで距離感の近い対応が欲しいです!」


 「相変わらずみはるは素直だねぇ」


 「えへへ、でしょう、もっと褒めてください。その分だけ増長するので、もやしばっかりのラーメンが如くもりもりにましましになります」


 「しかし、疲れたっていっても電話越しに私にできることなんてないよ?」


 「ちっちっち、なつめさん。もうこうやって会話するだけで私は癒されているのです。今も気分はなつめさんに膝枕をされているが如くですよ」


 「はは、相変わらずみはるはおもしろいね」


 「ふふ、でしょうでしょう。あ、そういえば話変わりますけど、うちの両親が一度、お会いしてお礼をしたいとのことです」


 「え?みはるの家から片道7時間だよね?」


 「もちろん、そちらに向かいますゆえ、泊りで。私も久しぶりになつめさん成分を補給できるわけです!!ここが大事、泊りも大事!!」


 「泊りって、近くにホテルでも取るの?」


 「両親はそうですね。私はそのままなつめさんの家に一泊です」


 「そっかー、・・・私、会って怒られないかな」


 「そこは大丈夫かと、うちの両親、ひたすらに私がかけた迷惑とお礼に何を渡せばいいのかしか考えてませんので」


 「そっか、うん。私も粗相のないようにしよっかな」


 「・・・よくよく考えたら、両親に挨拶イベントですよね、これ。あれ?ちょっと滾りますね」


 「最近、みはるがどこに興奮を覚えるのか分からなくなってきたよ」


 「ダメです、ちょっと鼻血出そう。すいません、なつめさん、会ったら私をそのままさらってもらっていいですか?」


 「何言ってんの?!」


 「いえ、ちょっと駆け落ちエンドも悪くないなと天の声が」


 「現実に帰っておいでー」


 「むう、そうですね。折角、地に足ついてきたのに、ここで浮いては今までのなつめさんロスがすべて水の泡・・・。耐えねば」


 「うん、よくわかんないけど耐えて、なんとか耐えて」


 「むう、ちょっと昂ってきたので、ここらへんで切りますね」


 「大丈夫!?」


 「ではでは、またお電話しますね!おやすみなさい、なつめさん!」


 「うん、おやすみ、みはる」

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