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第19話 一緒に出場してあげようとしてるのに・・・

「・・・おーい、並野。バイトの方は頑張ってるかあ?」


 今は昼休みだ。


 相変わらずではあるが、僕は論寄ろんより君と一緒に食堂でを食べてるけど、先輩も、それに雀愛すずめさんや証子しょうこ先輩もこの食堂のどこかで僕と同じくを食べているはずだ。さすがに僕と先輩が隣同士のテーブルで食べるというのは、あれ以来ない。

「相変わらずだよー」

「チクショー!お前はあの綺麗な先輩と一緒にバイト出来て羨ましいぞ!」

「あれっ?論寄君はバイトを始めたんじゃあないのかあ?」

「それがさあ、俺、3つとも断られた」

「あらまあ」

「だいたいさあ、昨日、並野も俺のうちでノホホンと麻雀してたんだから、バイトやってないって事くらい気付けよ」

「あー、ゴメン。ただ単にバイトを入れてない日だと思ってた」

「ま、そう捉えていたなら別にいいけど、ようするに俺自身はやる気があるけど、向こうが俺を使ってくれる気が無ければ話は進まない。だからお前のようにアッサリ決まった挙句、あんな綺麗な先輩と一緒にバイトが出来るお前が羨ましいぞ!ったくー」

「あのさあ、2回も『一緒にバイトが出来て』などと強調しないでくれ。一緒のバイト先にいるのは事実だけど、四六時中一緒にバイトしてる訳じゃあないんだぞ。もう仕事にも慣れたから、教育係から外れているからね」

「だとしても、一緒にバイト出来るのは羨ましいの一言だあ!」

 おいおいー、何もそんな事で僕に目くじらを立てるのは勘弁してくれよお。だいたい、論寄君のバイト先が見付からないのは僕の責任じゃあないぞー。


 そう言えば・・・全然関係ない話かもしれないけど、雀愛すずめさんが僕の事を『並野君』から『正太郎君』と呼ぶようになった。これって、僕が『麻さん』から『雀愛さん』と呼ぶようにしたのと同じ意味なの?それとも何か別の意味がある?でも、それを本人に聞くのは失礼だろうし、かと言って論寄君に聞くのも変だし・・・


 でもその時、僕は一人の女子生徒がキョロキョロと周囲を見渡しているのに気付いた。

 何をしてるのだろう・・・僕はその程度にしか考えてなかったけど、その女子生徒は僕と目が合った途端、真っ直ぐこちらへ向かって歩き始めた!しかも何となくだけどニコニコ顔をしているのは気のせいじゃあないですよね!

 どうやら論寄君もその女子生徒がこちらに近付いているのに気付いたようだ

「・・・あれっ?姉貴、また俺に金を貸せとか言い出す気かあ?」

 そう、論寄君が『姉貴』などと言う女子生徒は一人しかいない。3年D組の論寄証子しょうこ先輩だ。論寄君は完全に揶揄い口調で姉の証子先輩にタメ口を使ってるけど、その証子先輩の視界に論寄君は入ってないようだ。


「正太郎ちゃーん」


 証子先輩はいきなり僕の横の空いてる席に座ったかと思ったら僕にすり寄ってきたぞ!これじゃあ昨日の続きと一緒です!しかも『正太郎ちゃん』って、マジで何を考えてるんですかあ!!

 僕には証子先輩が何をしたいのか全然分かりませーん!正直逃げ腰です、ハイ!

「おーい姉貴、並野がビビってるぞー」

「あらー、そんな事はないでしょ?せーっかくお姉さんがねえ」

 論寄君はあくまでノンビリ口調だけど、証子先輩は口では優しい言葉使いだけど目は違う!明らかに『拒否は認めません!』と言わんばかりの目だあ!いうなれば、目から炎を噴き上げているとしか思えない!!

「あれっ?姉貴、もしかしてするつもりかあ?」

「あったり前よ!ぜーったいにあんたと出場する気はないからねー」

「安心しろ。俺は姉貴と気は121%の確率で無い!」

「そういう訳だからー、正太郎ちゃーん、わたしと一緒にに出ましょうねー」

 証子先輩はそう言ってブレザーのポケットから1枚の紙を取り出したけど、それを見て僕も『ピン!』と来た!

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