第30話 RE:Contact-14 ¨怪シキ傭兵団¨ヲ撃退セヨ - 2
「……て、テメェ……
「「「「「「「そうだ、汚ねェぞッ! ”同じ人間”として恥を知れッ!」」」」」」」
――返す言葉が見つからなかったのか、ラグジャー含め
「クフフフ……ハハハハハハハッ!」
――だがボスは……
「……ハァァ〜ハハハハッ! ハァァ、ハァァ、ハァァ、ハハハハハハハハハハッ!」
――未だに笑い続けるボス。一方の
蹴られた後も、
自身も得体の知れない”恐怖”に飲み込まれかけていたラグジャーは、勇気を振り絞るかのように……笑い狂う彼へと声を張り上げる……!
「……なっ、何が
「……ハァァ〜ハァァ〜ハハハハッ! オレを……オレを笑い殺す気かぁ? ……ハハハハッ!」
「だから、何が可笑しいッ!?」
「……ハァァ〜ハァァ〜分かった、分かった……良いだろう。久しぶりに、
「ちょ、チョッピリ……?」
「そもそも、仕事のためとは言え……”五十人近くの大人数”で、”二人の子供”を追いかけ回す事
――やはり、思うトコロはあったのか……一瞬だが、一斉に目の色を変える
「それで? そんな、恥ずかしい奴らと……
――再び腹を抱えて笑い出すボス。その様子に……?
「……ハハハハハハハハ……同じにするんじゃねェよ、クソ供が」
〜 メキャァッ! ポイッ! 〜
……わっ、笑い狂っていたかと思えば、次の瞬間……ッ! まるで冷水でもブッ掛けられたかのように、その笑い声は唐突として消える……! そして右手に握られていた矢は、容易く真っ二つに握り折られ、ゴミ
それと同時に”平常心”のようだが……聞いた者が即座に身震いをしてしまう程の、”ドスの効いた声”……更にはその目が”魔眼”でもあったら、確実に相手を睨み殺していそうな”冷酷な眼差し”を……ボスは
「もうちょっとお喋りしたかったが……もういい」
「……え?」
「そこの”アルベール”とか言う奴のように……お前らには、お前らの人生があったんだろうが……悪いな。ここで
「ッ!? なっ、何を勝手な事を言いやがる……ッ!?」
――だが、そんなラグジャーの声を無視しては……ボスは腰のベルト、その背中側に挟んでいた”
「こいつは”ある”世界で最も高貴な銃……シングル・アクション・アーミーだ」
――右手で
〜 クルクルクルクルクルクル……カチャ、チキキ……チャキ、チャキ、チャキ、チャキ、チャキ、チャキ……キン、キン、キン、キン、キン、キン……! 〜
「6発だ。6発以上、生き延びた奴はいない……!」
〜 ……チャキ、キリッ、チャキ、キリッ、チャキ、キリッ、チャキ、キリッ、チャキ、キリッ、チャキ、キリッ、カチャン……クルクルクルクルクルクル……! 〜
――上記の
ゼッテェやりたい事なんだから……黙っとけッ!
「オレが何故、リボルバーと呼ばれているか……じっくりと味合わせてやる……ッ!」
――【……ホントはこの一連のセリフ、オルセットに言って欲しかったんだけどなぁ……】――まぁまた、色々とツッコミたいが……この状況に訳も分からず、全員が
「さぁ……来いよ?」
「へっ?」
「掛かって来い!! ……って、言ってんだよ!? クソ野郎供がッ!」
――
「ハッ! テメェが貴族じゃあなかろうと、最初から気に入らなかったんだよッ! だから、得意げにその訳の分からねェ”魔道具”を取り出そうと……テメェを
〜 ……パアァァァァンッン! ビスッ! 〜
「……ある”
――銃口から
〜 ……グラッ、バタンッ! 〜
「「「「「「「あっ、ア
――穿たれた銃弾によって……見事なまでに脳ミソの内部が、グチャグチャにシェイキングされたアルベール。
倒れる寸前、ボスに向けて一矢報いるかの如く……引き絞られていた矢が放たれて
そして、奴の体は膝から崩れ落ち、ジョジョに
仲間達がようやく……彼を”
「まずは一人……!」
〜 クルクルクル……スチャッ、パパアァァァァンッン! ビビッスッ! 〜
「ギィィヤァァァァァァァァァッ!?」
――まるで”初めての痛み”を味わったかのような悲鳴が、ラグジャーから上がっては、その両膝が力なく地面へと崩れ落ちる……! よく見てみれば……彼の両膝には、”小さな穴”がいつの間にか一つずつ開いており……そこからタラタラと止めどもなく、血が溢れ出ていたのだ……!
「なっ、何だ……コレはァァァァァァァ……ッ!?」
「「「「「「あっ、アニキィィィィィィィッ!?」」」」」」
――途方もない激痛なのだろう。声を出すのも
「……ファニングショット、
――ボスが扱う”SAA”は、現代の
そして、今さっきボスが
【元の世界以上に、この一ヶ月間……練習する”弾”も”時間”も、
因みにだが、上記で豪語したボスの「ファニング」は……
だが、達人の領域ともなれば、
『ボスゥ? ジュ〜セェ〜したけど、もう出てイ〜イ?』
「あぁ、もう良いぞ」
――未だ硝煙上る”SAA”を右手に携えながら、ボスはそう呟く。どうやら彼らの”念話”は、黙ったまま以外にも……”声に出して喋る事”でも、相手側に
……どうしてそう言えるかって? それはだなぁ……?
〜 ……バサァ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……! 〜
「フゥ〜、やっとボクのデバンかぁ……オソいよ〜ボスゥ……!」
……このように、先程の”念話”が伝わってなければ……まずこのように、ノコノコとオルセットが、彼女のテントの中から出てくるであろうか……?
「悪いな、”仕込み”にだいぶ時間が掛っちまった……。ただ、さっきから伝えてた”打ち合わせ”の内容……チャンと覚えてるよな?」
「大丈夫だよ〜ボスゥ。それなら……」
「おっと、待った。確認するなら……「コール」のスキルの中で……だろ? 頼むぞ〜?」
「あっ、ゴメン……ボスゥ」
――どうやら、前話から使用している”念話”の正体は……「コール」というボスのスキルから、行えているようだ。
成る程。
道理で、”
「クゥゥアァァクゥゥゥゥ……ッ!? なっ、何で獣人の奴隷を……いや!? どっ、奴隷の首輪ナシのじゅ、獣人を……!?
「口を
「なっ、何を言って……!?」
「ねェ〜ボスゥ? ”テナヅケ”たって……ナニ?」
「……まぁ……ホラ、前話した……”ペット”……みたいな事だ。この世界じゃあ、たぶん……”奴隷”も同然なんだろうけど……」
〜 プッツン! 〜
「……フゥゥゥゥゥゥゥゥ……フザケルナァァァッ!」
――ほぼ一瞬で猛獣の如き、怒りの
だが、今はそれが一瞬にして”恐れ”の視線へと塗り替えられ……一部の者は更に”
「ボクがボスの”ドレイ”だって!? フザケナイデッ! ボクはボスの”ナカマ”だッ!」
――
「そうだぁ……口を
――
「……じゃあ、ボスゥ? もうやっちゃって……」
「待て待て、確認するって言ったろ?」
――左手の人差し指と中指を揃え、首左側面の頸動脈をポンポンと軽く叩きながら……横に並ぶオルセットに、そう言い聞かせるボス。
「エェェ〜、ケッキョクするの〜?」
「訓練後、初めてとも言える……マトモな人間相手の実戦だ。夜中にたまに襲ってきた”野党”とは……全然違うんだよ、オルセット。だからだ」
「……分かったよ〜モォ〜」
「あっ、ありえねェ……!? なっ、何で獣人が……人間に……ッ!?」
――そう再び呟くラグジャーであったが、それは彼の周囲に存在する他の
人は太古の昔より……”理解の及ばない物”には、本能的に
だが、果たして……この
「さて……命令だ、オルセット。
「りょ〜かい、ボスゥッ!」
――
【ありえない……! こんな事、ありえない……ッ!】――今にも逃げ出したい思いで一杯だが、両膝を撃たれたが故に……その場から一歩も動けず、ただ必死に顔を絶望で歪ませる事しか出来なかったラグジャー。
だが、そんな”後ろ向きな表情”ばかりの
「……おっと、そうだ。このままだと不公平だな……?」
「「「「「「「……へっ?」」」」」」」
――思わず、マヌケな声をあげてしまう……ラグジャーと
「お前らがお探しの、二人のエルフ……それなら多分、オレらの後ろにある”テント”の中に居るぞ?」
――
「「「「「「「……ッ!?」」」」」」」
「オレらはたったの”二人”。対して、バカでマヌけ揃いだろうと……お前ら傭兵団は”
「「「「「「「……何だと……ッ!?」」」」」」」
「俺ら一人に対して、最低三人……いや、これ以上言ったとしても……バカでマヌけ揃いじゃあ、理解なんてとても……」
――両手を頭の両側面に上げ、首を左右に振っては”やれやれだぜ”……という、呆れ果てたようなジェスチャーをするボス。無論……ここまでコケにされた以上、
「野朗供ッ! オレ達、鉄決傭兵団の意地を見せろッ! あの
〜 シャランッ! 〜
――そう叫ぶラグジャーを守るかのように……
「「「「「「……アイアイサ〜ッ! アニキィィィッ!」」」」」」
――雄叫び一発! そうして、一斉にボスに向けて殺到して行くのであった……!
〜 ドドドドドドド……ッ! 〜
「ヒャッハァーッ! オレが一番乗りだァァァァッ!」
――殺到する
「……フゥゥゥゥゥゥ……ッ!」
「ヒャッハァーッ! 間抜けヤロウがッ! ケモノ女だろうと……
――己の恐れを殺したいのか……完全に舐め腐った口振りで、丸腰のまま身構えるオルセットに向け、
〜 ガシッ! グリィッ! 〜
「ギャァラァイッ!?」
〜 ……カラン! キキキキキキキ……ッ! 〜
「「「「「……へッ!?」」」」」
――しかし、振り下ろされた剣が……オルセットを斬り裂く事はなかった……! むしろ、その剣を振る手は容易く
味わった事ない痛みと共に……その傭兵はマヌけな悲鳴を上げつつ、剣を手放してしまう。そして、取り落とした音に釣られ……後続していた筈の
「……オソイね、ソレ……?」
「なっ、何で……!?」
「ニャラァッ!」
〜 ゴシャァァッ! 〜
――捻られた右手首を、左手でガッチリ掴んだまま……オルセットは、”右裏拳”をフックパンチの要領で、
「オバギャイッ!?」
――ただの”裏拳”とは言え、人間以上の身体能力を持つ”
「ニャラァァァッ!」
〜 ブゥォォォォンッ! ゴキャァァァッ! 〜
――そして、トドメとばかりに……その大きく右に傾いた頭部に向け、オルセットは空手で言う”左
〜 フォン、フォン、フォン……ドサァッ! 〜
……それでも、高速の
【……ウワァァ……アレ、首の骨……絶対折れてるよな……? まぁ……一応、
だが……それでも彼女の成長を、どうやら嬉しく思っているようだ。
「キミタチ……ボスの事、”ブッコロス”……って言ったよね?」
――構えを解きつつ、自然体に立つようにしながらそう語るオルセット。だが、その声は”静かな怒り”に満ちていた……!
「キミタチが、ボスの事を”ブッコロス”……って言うなら……キミタチの方も、”ブッコロ”されるかもしれないって事を……
――何処ぞの”コ
「なのに、ニゲルの……? ハズカシクないの……? ボスにも、バカにしていたボクにも言われて……キミタチの”イジ”ってヤツは……そんなモンなの〜?」
――おっと、ボスから”挑発する”と言う事も学んだのか……不敵な笑みをしつつ、そう語るオルセット。これに関しては、
「……まぁケド、ボクはそんな事……ド〜デモイイんだ。……
〜 ドンッ! 〜
「キミタチゼンイン……ゼッタイにボクが、
――右足で、軽く地面に
「……いっ、イイ気になるなよォォォッ! このッ、ケモノ女がァァァッ!」
――オルセットの挑発に
無論、その剣は……一人目を
「……ジュウセンキャク……ッ!」
〜 ブギャァァンッ! 〜
「……へっ?」
――【……あ、アレ? 剣を振り下ろしたハズなのに……何で、俺の腕の感覚が……?】――そう奇妙に思った
「……は、ハハッ……アレェ? オレの腕……
――涙目にそう語る傭兵が、右に左に辺りを見回す。だが……その
〜 プシャァァァ……ッ! ドバドバドバ……! 〜
「ギニャァァァッ!? オレの腕がァァァァァァ!? なっ、何をしやがったァァァァァァァァァッ!?」
「……ただの”ジョウダンマワしゲリ”だよ? それで、キミの”ケンをモッた手”をケットバシただけさ。でも……キミやボスでさえも、
――そんな”
目の前で、スプラッター映画張りの”
「……でも、ボクはジワジワと苦しめる……ってのは、スキじゃあないと思うから……!」
〜 ブギャァァンッ! ドゲシャァァァッ! ゴロンゴロンゴロンゴロン……ガサァァァ! 〜
「キッチリ、トドメはサシテ上げるね……?」
――岩石を叩き割る
その凄まじい衝撃を傭兵の体は受け流しきれず……ゴロンゴロンと転がって行っては、夜の森の茂みの中へと消えていくのであった……! 因みにその転がった距離、おおよそ五メートルである……!
【ワァ〜オ……チョッピリ、ノリ目に名付けした”
「……な、何なんだよ……テメェッ!? 何なんだよ、一体ッ!?」
――ようやく、自分達が相手していた相手が
上記のように、一人の
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! キキィッ! 〜
「ヒィッ!?」
――聞いた事もない疾走音。
「……もう来ないの? ホラ、ボクがここまで来てアゲタんだから……やる事は分かってるんでしょ?」
――真顔のまま、その
「……ち、チキショォォォォォォ! このッ、クソケモノがァァァァァァァァッ!」
――キスしてしまいそうな至近距離にも関わらず……恐怖に飲まれそうな
〜 ドゴォォォォッ! 〜
「オボファァァァァッ!?」
――胴の革鎧を貫通するかの如き、途方もない衝撃……! 何が起こったかを理解出来ないまま、
〜 ドガァァァァッ! ガサササァァァッ! 〜
「ゴホッ! ゴホッ! オゲェェェェッ! 何が……起こって……ッ!?」
――数時間前に食べた
そう理解しつつ、
〜 キラン! 〜
「……へっ?」
〜 ドグサァァァァッ! 〜
「グハァァァァァァァァッ!?」
――【何で!? 何で、オレが
次に
「ウワァ……”カ◯ブの海賊”のワンシーンかよ……!?」
――そう思わず、ボヤいてしまうボス。その脳裏には、トアル
種明かしは簡単である。オルセットはまず……
最後に……着地した後に、起き上がる最中の
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! ドゴンッ! 〜
「ギィヤァァァァァァァッ!?」
――何てこった。オルセットが”消失マジックの如き速さ”で駆け出した! しかも、樹木に
「……ゆ、夢だ……! こんなの……夢なんだ……!」
――刀身どころか、”剣の
「……もう、シャベらないで……!」
〜 ブゥゥゥゥンッ! ボコォォォォッ! 〜
――そうして、そこにトドメと言わんばかりの”右ストレート”ッ! 顔面に叩き込まれ、大人しく沈黙した
「……クッ、クソォォォッ! こんな事やってられるかァァァッ!?」
「あっ、オイッ!? 逃げるなァッ!?」
――恐怖が臨界点に達したのか……
〜 ……パアァァァァンッン! ビスッ、バタンッ! 〜
「ギィヤァァァァァァ!?」
――オヤマー? 石にツマヅいたのか……突如スッ転んでは、逃走が失敗に終わる
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ……ッ! 逃すワケねェだろ、クソッタレ供が……ッ!」
――右片手に”SAA”を構えつつ、そう呆れたように語るボス。無論……その銃の銃口からは、真っ白な硝煙が立ち上っていた……!
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! ザザザザザザザザ……ッ! 〜
「ヒィィィィッ!? 来るな、来るなァァァァァッ!」
――ボスの銃声に反応したのか、素早く周囲を見渡したオルセット。そして、その結果で見つけた”転んだ
〜 ブゥゥンッ! 〜
「ヒィィッ!?」
――
これは大変だ。すぐに治療せねば……! そう思って頭を上げれば……?
〜 グゥオォォォンッ! 〜
「……あっ」
〜 ドゲグシャァァァァァァッ! 〜
――恒例の”マヌケな断末魔”を上げる暇もなく……その
「……新体操選手もやれそうだよな……オルセットって……」
――そう。もっと恐ろしいものの
頭だけでなく、頭がメリ込んだ地面にも……より大きな”
「さて……オレも、オルセットに任せっぱなしじゃあ……カッコ付かないよなぁ……?」
――肩を回し、首をコキコキと鳴らしながら……余裕の歩みで、地面に横向きに倒れ伏すラグジャーの元へと向かうボス。
〜 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……ザザッ! 〜
「んっ?」
「くっ、来るんじゃあねェッ! アニキの元へと行かせるかッ!」
――そんなボスの向かう道を塞ぐのは……倒れ伏すラグジャーの元で、ジョジョに恐怖に歪がまされて行った表情で、今までの一部始終を眺めていた二人の
奴らにとっては、絶望に変わりない状況である。だがそれでも……ヘッピリ
『ボスゥッ!? 今行くねッ!』
『待て、オルセット! オレは大丈夫だ、打ち合わせ通りにやってくれ』
――少し離れた場所から、心配そうな
だが、たった数秒にも満たない間と言えど……態々立ち塞がった
「……おいおい、一丁前に剣を構えて……オレに勝算があるってのか?」
――自身の一挙一動にビビり散らかす敵に対し、飄々とそう語り掛けるボス。
「……て、テメェに近づければ……! 少なくとも……あの、バケモノ何かよりは……ッ!」
「ガアァァァァァァッ!?」
「ヒィィィッ!?」
――自身達の後方辺りに存在していた、オルセットの猛獣の如き強烈な
『オルセット、ステイッ! 待て待て。こんなショ〜もない奴らの言う事を聞いて……イチイチ、キレるんじゃあねェよ……!』
『エェェ〜ボスゥ〜でも〜!』
『でもじゃあねェよ、怒る価値すらコイツらにはねェんだ。それよりも……他二人が逃げないよう、見張っておいてくれ』
『……ハ〜イ』
「やれやれ……さて、待たせたな? ちょっとは時間をやったんだ……勝つための勝算は考えられたか?」
――そう、飄々と語り掛けるボス。だが、立ち塞がる
「チキショウッ! ブッ殺してやるゥゥゥゥゥゥッ!」
……数え切る前、暴発気味のフライングである……! 両手にガッチリ剣を掴み、大上段に構えては……血走った目で真っ直ぐ、ボスに目掛けて突撃して行く……ッ!
〜 ……パアァァァァンッン! ビスッ! 〜
「ギィヤァァァアァァァァッ!?」
――十メートルにも満たない距離。剣を構えたまま、死兵な気迫で突撃してくる相手とは、誰もが怯んでしまいそうなモノだが……その揺れ動いていた”右腕”を冷静に撃ち抜き、武装解除を見事に成功させるボス。
〜 ……カランッ! 〜
「……言ったよな? ”勝算”は考えたかって? そんなクソダセェ行動が、テメェの答えなのか?」
――硝煙立ち上る銃を両手に構えつつ、そう呆れた口調で語るボス。その照準の先で……傷口を手で必死に抑え、涙を流しながらウメく
「……フゥゥゥ……フゥゥゥゥゥゥッ! クッソォォォォォォォッ!」
〜 ブゥゥゥンッ! パシィィィッ! 〜
「ッ!?」
――追い詰められたが故の、一矢報いる一撃……! そんな思いが込められた
「……ほぉ? 良いガッツじゃあねェか? エェ?」
「うっ、嘘だろ……ッ!? オレの全力だぞッ!?」
――ありったけの力をかき集め、ボスから逃れようとモガく
「……学んでねェなぁ……? まっ、ちょうど良い。実験に付き合って貰うぞ? ……タフネスッ!」
〜 キィィィンッ! 〜
――何かが
〜 ギュウゥゥゥ……ミシィッ! 〜
「ギィヤァァウァオアォォォォォッ!?」
――
「フン、来世でもっと鍛えとくんだな……いくぜ? ……
〜 ギュ、ギュッ、ギュッ! ギュウゥゥゥゥゥ……グシャァァァッ! 〜
「ギィヤァァァァァァァァァァァァァッ!?」
――
『オルセット、構えろ。今からコイツをソッチに投げつける……!』
『エッ!? ど、どうしてッ!?』
『前の訓練の時に教えたろ? 実戦はできなかったけど……複数の敵を相手する際は、
『……あっ、そっかッ!』
『
――そう伝えると、左手に持ち替えていた銃を……ズボンの背中側のベルトへと再び挟み、仕舞い込むボス。
「おっ、オレの……オレの手がァァァッ!?」
〜 ブゥゥンッ! メキャァァァァッ! 〜
「オベェェェェッ!?」
――容赦のないボスの”左ボディブロー”ッ! 素早く手首に掴み変えられ、跡形も無く原型を失った左手を、号泣する涙目に眺めていた……
〜 ガシィィッ! ブンッ! ブンッブンッブンッブンッ……! 〜
――そこから素早く、ボスは
周囲にまだ他の
「なっ、何をする気なんだ……?」
「ウォォォォォォラァァッ!」
〜 ……ブンッブンッブンッブンッ……ブゥォォォンッ! 〜
――不安を隠しきれないラグジャーの呟きも虚しく……既に声を上げない
スキルで強化されてるらしいとは言え……流石、「人外(笑)」な身体能力を言うだけある……ッ!
……おい、こんな時にバカにしてんじゃあねェよッ!? クソッタレがッ!?
〜 フォン、フォン、フォン……! 〜
「フゥゥ……ジュウホウキャクッ!」
〜 ズゥゥオォォォンッ! ドギャァァァッ! 〜
――飛んでくる
「……エェッ!? ボビャァァァッ!?」
〜 ドゴオォォォッ! ゴロンゴロンゴロンゴロン……ジュウゥゥゥゥッ! 〜
「ギィヤァァァァァァッ!? 熱いッ! 熱いィィィィィッ!」
「おいおい、オルセット……? オレは”盗賊の丸焼き”なんて、注文してないぞ?」
――何てこった! 蹴り出された
そして、二人はハンバーグのタネでも作られるかの如く、揉みくちゃに重なり合いながら転がって行き……ボス達の
ボスの
因みにだが……ボス達の
そのために、
「アァ〜ゴメン、ボスゥ……。大丈夫ゥ〜? 当たらなかったァ〜?」
「大丈夫だ。て言うか……遊戯用のゴムボールを出して、それで”オルセットの蹴りの威力”をある程度測った際に……散々蹴ったし、それを
「……アァ、そっか! だから、ヨケられたんだねッ!」
――【まぁ、ギリギリかつヒヤヒヤしたけどな……今も? 一人だけ、ハリウッドとかの”アクションスター”か、”ジャ◯プ漫画の主人公”張りの戦い方してるしで……まぁ、”基礎の指導”をしたのはオレだけど……】――途中から、やや訳の分からない愚痴らしき事を言っていたが……薄暗くも目の前に広がる
――【サァ〜てッ! ボクもボスのトコロに、モドろっとッ! ニャフフ……ボスゥ、アトでホメテくれるかなァ……?】――ボスの訓練の賜物と願いたいが、彼女も大概……横切る惨状に対し、何の感慨も持っていなかった……! いや、ただ
「……おい、何なんだよお前らッ!? 何で、
――自身を哀れな目付きで
「……誰が”絶対”……殺すなって言ったか? ……誰が”誰を”……殺すなって言ったか?」
「……エッ?」
「フンッ、”敵の情報”を
「フザケんじゃあねェよッ!? クソ野郎がッ!?」
〜 ゲシャァッ! 〜
「オベェェッ!?」
――いかにも不機嫌な表情のオルセットが、横たわるラグジャーの腹目掛け……”右ローキック”を叩き込む……! ”消失マジック”な速さはなかったが、それでも食い込んだ
「シャベラないで。ボスがシャベってるでしょ?」
「よせ、オルセット。コイツにはまだ
「でも……!」
「オレの事、思ってくれてるのは嬉しいよ。けどな? いつも言っているように、やって”良い事”と”悪い事”はあるって……教えてるだろ?」
――オルセットを
「てっ、テメェらは一体……!?」
「んっ? そうだなぁ……
――自身のスラっと”引き締まった脚”を指差しながら、そう飄々と語るボス。
「テメェ……ッ!? フザケてんじゃ……ッ!」
〜 ゲシャァッ! 〜
「オバァァッ!?」
――ボスに甘えるような……そんな”嬉しそうな表情”だったのが一変! 再び”不機嫌な表情”に逆戻りしたオルセットが、横たわるラグジャーの腹目掛け……”右ローキック”を叩き込む……!
先程よりも弱かったようであるが……それでも食い込んだ爪先が、奴の嘔吐を再び促しそうになる……!
「だから、シャベラないでッ! ……アッ、そうだボスゥ?」
「あっ、アァ……何だ?」
――【こっ、コレが”女”って奴なのか……?】――オルセットの切り替えの速さを前に……何か”勘違い的な恐怖”を、失礼に感じつつも応答するボス。
「アシナガオニイサン……って、何?」
「あぁ、それか? それは……まぁ、話すと長くなるから、まずはそこで転がってる”ゲス野郎”の始末が先だ」
「エェェ〜? 気・に・なァ・るゥ〜!」
「……簡単に言えば、本当は”あしながおじさん”。その人は……本当は違うけど、オルセットやテントで寝てるエルフ達みたいな……不幸や理不尽に
「……ヘェ〜。ヨウは、
――【まぁた、このクセかぁ……嬉しい時とかに良くやってくるんだよなぁ……】――少々困り気味だが、
奇妙な光景だが……これが現代の猫であれば、それは「親しみや甘え」、「愛情表現」などを意味するのだ……!
「おいおい……悪りィが、”あしながおじさん”は
「……そう。まっ、イイや! ボクには、ボスがイるモン……!」
――一瞬、本気で残念そうにシュンと落ち込むが__瞬時に切り替えては、再びボスに頭を擦り付け始めるオルセット。
「おいおい、オルセット? 一応、今はマジメな場面だぞ? そう、オレにイチャ付くのは終わってからでも……」
「気色悪いモン、見せるんじゃあねェよ!? このッ、クソッタレ野郎供が……ッ!」
〜 ゲゲシャァッ! 〜
「オバベェェェェッ!?」
「……ボスゥ? ボクにヤメロッて言わなかった?」
――ボスに甘えるような……そんな”嬉しそうな表情”だったのが一変! 再び”不機嫌な表情”に逆戻りしたオルセットが、横たわるラグジャーの腹目掛け……”右ローキック”を叩き込む……!
先程より
「悪りィ。思わず、
「……この、クソ野朗供……!」
――必死に両手で蹴られた腹を抱えるラグジャー。その呟いた言葉が、ボスとオルセットの二人に聞こえなかったのは幸いであろう……!
「……御言葉ですが。自分の置かれた状況が、分かって言ってんのか? エェ? 仕事のためとは言え……二人の”子供のエルフ”を
……前言撤回、しっかり二人には聴こえていたようだ。猛獣の如き睨みに、犬歯を剥き出し、威嚇音を唸らせるオルセット……! そして、鬼のような形相なボスが、”SAA”の銃口を横たわるラグジャーの眉間に、グリグリと
これには、流石の図太かった奴も……自身が”断頭台”に掛けられたと、ようやく理解したようだ……!
「やっ、やめてくれ……! こっ、殺さないでくれ……!」
――歯をガチガチ鳴らし、迫り来るボスの顔面に対し……必死に
「……あぁ、殺さねェさ……」
「……エッ? じゃあ……?」
――眉間から離れる冷たい感触に安堵しつつ……顔を上げては、離れたボスの表情を伺うラグジャー。だが……その表情は、ラグジャーの恐怖を
「テメェが知っている事……全部、
〜 ドゲシャァッ! 〜
――不適な笑みから一変! 再び”鬼の形相”に戻ったボスが放つ”右ローキック”によって、頭を蹴り飛ばされるラグジャー。先程からの”両膝からの出血”も相まって、意識が
【済まねェ、オルセット。気絶したこのゲス野郎を……ベースキャンプの端にある
<異傭なるTips> ポーション(2)
唐突に恐縮ながら、そもそも身も
端的に言って仕舞えば……”回復薬”という存在は、◯者の皆さんが大好きであろう、”チート”なのである。
色々と便利な現代の技術だが……この”ポ
現代的に言い換えるのであれば……ある意味”再生医療”の
現代風に「回復薬の概要」をザックリ言うならば……(存在の真偽は不明だが……)「飲む
”ジクソーパズル”を想像して欲しい。この
そして、現代の医療が行なっている事としては……その”欠けたパズルピース”が、欠けた部分がから自然に……”ニョキニョキ”っと……植物の如く、時間を掛けて生えてくるのを手助けしたり……
そして、”ポーション及びやくそう”などの「ファンタジーの回復薬」と言うのは……この”欠けたパズルピース”の部分に、ビッシャッ! ……とかけるだけで、次の瞬間には”欠けたパズルピース”が瞬時に、ニョキッと生えてくるのである……!
しかも……個人によって、「パズルの完成形」というのは全く違う。”欠けたパズルピース”の部分が大きかったり、小さかったり……あるいは誰の形にもハマらないような歪な形だったりと……すぐに
「ファンタジーの回復薬」と言うのは、そう言った「
一つの解釈を言うのであれば……服薬するか、あるいは患部に直接かけた際の”回復薬の成分”が、その傷周辺の患部の細胞を”瞬時にコピー”……。
そして次の瞬間には、「適合率100%の細胞のクローン」として”回復薬の成分”が変身しては、欠損した細胞の
随分と奇妙な光景の連続だと思うが……私が想像しうる限りだと、これが一番”ポーションによる治療”に関して、分かりやすく解説出来ている事だと思うので、勘弁して欲しい……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます