第25話 RE:Side-OR? トアル未来ノ日常



 ――初めに言っておこう……。この話は、本編の”現在”にあたる話ではない。今回の話のタイトルにもある通り、第一章から遠く離れた……トアル未来の話・・・・である。



「……ニャアァァァ〜ン」



 ――スイス、フランス、イタリア、ドイツなどなど……ヨーロッパの主要な国々をもまたぐ、”アルプス山脈”のふもとと勘違いしてしまいそうな大自然の中……クスノキと思われる一本の樹木の木陰のもとで、独特な大口を開ける声を発していたのはオルセットであった。


 そんな彼女が右片手に掴み、口の中へと運んでいたのは”フィセル”と言う種類のパンを使った、”バゲットサンド”であった。……イメージがつかない? ならば、”オシャレなカフェ”や”SUBW◯Y”などで見かけるような、「大きフランスパンなサンドイッチ」と思って貰えれば、今はそれで良い。



 〜 ガブッ! ミチィィィ……ブチッ! 〜



 ――獣人特有と思われる立派な”犬歯”もあってか、結構な厚みを持っていた筈の”バゲットサンド”は、僅かな抵抗を見せる事もなく……アッサリと噛み千切られるのであった……。えっ? 具の内容? イヤイヤイヤ……これを聞いたら、◯者の皆さんはたぶん……嫉妬しっとに狂ってしまう筈ですよ?



「ニャグ、ニャグ、ニャグ、ニャグ、ニャグ……あぁ〜サイッコ〜!」



 ――えぇ? ずべこべ言わず聞かせろって? ……仕方ないですねェ……嫉妬しても責任は取りませんよ? ンンッ、オルセットが大口で頬張ほおばっていた”バゲットサンド”……。その具として挟まれていたのは、今も仄かな湯気を上げ……濃厚そうなチーズが絡む、超厚切りな”サーロインステーキ”であった……ッ!


 その厚さは”五センチ”は優に超えた物で、彼女の噛みちぎった断面から……焼けた肉の食感と、レアに近い柔らかな食感の両方を楽しめると言われている、「ミディアムレア」な焼き加減に仕上がっていると分かる。”三センチ以上が極厚”と言われているらしい日本じゃあ……容易に何枚もの”おさつ”が吹っ飛ぶ代物であろう。


 因みに、彼女は知っているかは定かではないが……アメリカには彼女が食べている”ステーキサンド”に似た、「チーズステーキ」と言うファストフードが存在しており……一部の州の地域で、人気をはくしているらしいぞ?



〜 キュッ、キュッキュッ……カチャ、ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ…… 〜


「プニャ〜! あぁぁ〜やっぱ、この”ミルクセ〜キ”も、甘くてサイコ〜」



 ――口元からこぼれ落ちた淡黄蘗うすきはだしずくを、常人よりも長い舌で舐め取った後にそう言うオルセット。満足そうに目を瞑る彼女が持つ、大きく口の開いた”直飲み水筒”からは、濃厚な甘さと程良い冷気がコンコンと立ち上っていた。相当上等なミルクセーキなのだろう……。


 とろみが強く、バニラの香りも濃い。それに、その一リットルぐらいの水筒をミルクセーキで満タンにするために、一体幾つの卵黄が入れられたのか……想像が付かないものだ……。


 まぁ、こんな事を言うのは野暮だろうが……ステーキサンドの重さを緩和するであろう”お茶類”ではなく、ミルクセーキと言うチョイスは珍しいと言うか……少々、子供っぽい気がするのは私だけであろうか……?


 ただそれ以前に……その”直飲み水筒”の傍に置いてあった”フタ付きバスケット”の中には、彼女の食べていたバケットサンドと同じであろう物がまだ、”二個”も顔を覗かせていたのが地味に驚きであったが……ッ!



 〜 ガブガブッ、ガブッ……ゴックンッ! 〜


「プニャ〜おいしかった〜! ……まだあるけど……先にゲームしちゃおっと……!」



 ――バケットサンドを掴んだ手にベッタリと付いていた肉汁や、玉葱タマネギ大蒜ニンニクの香り漂うステーキソースをペロペロと舐め取った後に、そう言うオルセット。


 そうして一通り満遍まんべんなく舐め終わった彼女は、腰の右側に付けていた小さなポーチに手を突っ込み……ん? 手を突っ込んだ!? そんな馬鹿なッ!? そのポーチ、彼女の手首ぐらいまでしか見た目の深さがないのに……明らかに腕まで飲み込んでいる・・・・・・・・・・ぞッ!?


 だがその前に……ソースなどを舐め取った手を、アルコール消毒しておけよ!? ……ともツッコミたいが……それ以前にこれは、ボスのスキルの影響か……はたまた彼女が新たに体得したスキルなのか……?



「え〜っと、あっ! あったあった!」



 ――そう言って彼女が取り出したのは、赤と青のコントローラーらしき物が付いた携帯ゲーム……えっ!? 「◯intendo ◯witch」ッ!? ばっ、馬鹿な!? コレの発売日は”2017年”……ッ! ボスが転移(?)されたのは”2016年”なので、ギリギリ彼はこのゲーム機の存在を知らない筈……ッ!?


 ……と言うか……彼女の装いも随分と現代的な……?



「よ〜し! 今日こそ”里”の攻略しちゃうぞ〜っと」



 ――まぁ、それを具体的に話すのならば……彼女の服装は、異世界ウォーダリア的なファンタジックなよそおいではなく……肉汁がしたたる”マンガ肉”がデカデカとプリントされ、その下に「I♡MEAT」と書かれた”Tシャツ”に、着崩したオレンジの”薄手のパーカー”を着込み、デニム生地きじの”ホットパンツ”……そして相変わらずの”素足”と一部異様ながらも、かなりラフな格好をしていたのだ……!



「……そういえば……こっちの世界に、こんな”魚の亜人”って居なかったなぁ〜」



 ――ピコピコとスティックやボタンを操作しながら、勇者らしき”青い衣を身にマトった”主人公を動かしつつそう呟くオルセット。……あれ? コレって……最新作の「ゼ◯ダの伝説」じゃあ……!?



「けど、やっぱキレイだよなぁ〜。ボスのコキョウもそうだけど……もしも行けるなら、ボクもボスと一緒に……ハ◯ラルにでも行ってみたいなぁ〜」



 ――ホラァ!? やっぱり〜ッ! それにィ!? ファンタジー世界の住人が、ファンタジーな世界に行きたいって……地味に贅沢な事言ってますよォォォッ!? もうその世界に住んでいる住人だってのに〜ッ!?



「アァァ〜ッ! ヤラレチャッタッ!? も〜ッ! ビリビリの矢なんて撃ち込まなくても、ボクだったらケってブッ壊せるんだけどなぁ〜ッ!」



 ――あらら……どうやらオルセットのプレイスキルはまだまだ未熟なようである……。と言うか……その場面、攻撃してくる対象しんじゅうをブッ壊したら……流石にラスボス戦で、困るんじゃあ……?



「あ〜あ、やっぱ食べてからにしよ〜っと」



 ――そう言ってオルセットはゲーム機の電源を切ると、再び取り出したポーチの中に押し戻すのであった……。そういえば、ポーチの横幅……全然ゲーム機の横幅と釣り合わず小さかった・・・・・・・・・・のだが……ホント、どうなっているのだろうか……!?



 〜 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……。 〜


「……ん? ファレェ……?」



 ――バスケットの中から新たに取り出した、バケットサンドを頬張り始めていたオルセットが喋る。彼女が向くその足音の方向……彼女がもたれ掛かっていた樹木がソビえ立つ、小高い丘から姿を表したのは……スラリとした細身を持つ、青年のような男であった。



「……あっ、あの……おっ、オルセット特将とくしょう?」


 ――チョッピリ恐れ多そうに声を掛ける男性。


「……んっ? エルフ……あぁ、チョ〜ホ〜班の人?」



 ――そう問い掛けた後、再びくわええ直したバケットサンドを咀嚼そしゃくするオルセット。……ん? エルフッ!? ……おぉ! よく見れば耳が尖っている! 正にエルフだッ! だが……和装? えっ!? 何で和装? 何で”作務衣さむえ”を着込んでいるのだ!?



「と、特将……ちゃんと覚えて下さいよ……」


 ――何かと長い付き合いがあるのか……タメ息を吐くエルフの男性。

 ……こっそり”胃薬”を服用していそうな表情だ……。


「ゴメンね〜。キミ達って似たような顔が多いからさ〜? ボスとチガって、ボク、覚えられなくてね〜。アッ、ただ……キミ達がブサイクだとか……ワルく言ってるワケじゃあないからさ? ね?」


 ――能天気に言うモノの、後半は誤解を招きたくないのか……慌てて訂正するように言うオルセット。


「……ハァ、私も悪く言いたくはありませんが……よくそんな性格で、この組織の”No.2”を務められておりますね……?」


「ヘヘェ〜ン! だってボク、ボスのミギウデ・・・・・・・ってヤツだしねッ! あっ、後! この”$♩〆▼□”の中じゃあ……ボスとイッショで一番の”フルカブ”ってヤツでもあるからねッ!」



 ――エルフの男性の話を行っている間に、食べ掛けを完食し終えたのか嬉しそうに右手で”ピースサイン”を彼に向けて突き出しつつ、歯を見せる満面の笑みで答えるオルセット。


 えっ? 不自然に読めない部分がある……? 申し訳ありませんねェ……? 例えばの話ですが……もしも、一世一代の告白をしようとした時……! その告白の”結果”がフラれる・・・・など、事前に分かっていたら……貴方はドキドキとした感情を持つでしょうか……?


 常に未来が見えるというのは、便利なようで実は詰まらなかったりするんですよ? 賭けやギャンブルだって、当たるかどうか分からないこそ……楽しめるんです。


 端的に言えば……明日に何が起こるか分からないこそ、人生や生きる事は楽しい物な筈なんです。そしてそれが、回りくどいようですけど……”読めない文字化け部分”への答えなのです……!



「……そうですね。仕事もチャンとやって頂ければ……の話ですが……」


 ――”ギクッ!?”と言った擬音が聞こえてきそうな勢いで、オルセットは身を震わせる……。


「な……何の話かなぁ〜? し、仕事なら〜ホラッ! ボスの呼びカけには……チャンと、ボク出てるけど……?」


「確かに……その事に関しては、ボス様からもしっかりとお褒めは頂いていますね……。しかしッ! 私が言いたいのは……そう言った”スペシャルミッション”以外での任務ミッションの事です……!」


 ――あからさまに目を逸らしつつ、再びミルクセーキをゴクゴクと飲み始めるオルセット……。


「特将……いえ、オルセット様? 貴方様は今月……”アドステ”で発行される任務を、おいくつこなされましたか……?」


「エェェット……いくつだったけなぁ……? アハハ……たくさんやったから……覚えてないやぁ……」



 ――再び目を逸らしつつ、ミルクセーキをゴクゴクと飲み始めるオルセット……。その様子を見てか、特大とも言えるタメ息を吐きつつも……作務衣の胴辺りにあったポケットから、”スマホ”と”トランシーバー”が合体したかのような見た目の携帯端末を取り出す。



「……では覚えがないようですので、僭越せんえつながら私が言わせて貰いますが……今月、オルセット様が完遂した任務ミッション数は……”ゼロ”になります」



 ――その言葉を他所に再び、”ギクッ!?”と言った擬音が聞こえてきそうな勢いで、オルセットは身を震わせる……。ただ、この時驚きなのが……エルフの男性が持っていた”携帯端末”、アレからホログラムらしき映像・・・・・・・・・・虚空こくうに投影され、彼女に見せつけるように”0”の数字を示していたのだ……!?


 ボスが築き上げた組織……一体どれほどの技術力を持っているのだろうか……ッ!?



「ごっ、ゴメンね〜。先月……ちょっと、ボスからのお願いが多くて……それで……疲れちゃって……あぁ、ホラッ! 今日みたいにど〜しても休みたくてさ〜」


「……確かに、特に危険な”スペシャルミッション”の数は”二つ”程ありましたが……先月、オルセット様が完遂した任務ミッション、”ゼロ”になります」



 ――再び、エルフの男性の言葉と共に、虚空に”0”の文字がデカデカと投影され……それ他所に”ギギクッ!?”と言った擬音が聞こえてきそうな勢いで、オルセットは身を震わせる……。



「だっ、だからさ〜? とっ〜てもキケンだったんだよ〜? ホラ、そのセイでボクもストレス溜まっちゃってさ〜? だから〜チョッピリ休まざるをエなかったと言うか……」


「……そうですね、確かに。総司令官であるボス様を含めた特将の方々は……この”楽園”を守るために尽力して頂いています。その事は……我々スタッフ一同、身に染みる思いで存じております。それも、一生の恩でも返せない程に……!」


 ――そう言って、エルフの男性はオルセットに向けて深々とお辞儀をするのであった……。


「でしょでしょ!? だからさ〜ボクもノンビリ休める”ケンゲン”ってのはアッてもいいんじゃあ……」


「……ですが! 先々月、オルセット様が完遂した任務ミッションでさえも・・・・……”ゼロ”になりますッ!」



 ――またまた、エルフの男性の言葉と共に、虚空に”0”の文字がデカデカと投影され……それ他所にもう”ブルブル”と言った擬音が聞こえてきそうな勢いで、オルセットは身を震わせる……。



「……オルセット様? 私は気づいていない訳じゃあないんですよ? いい加減、私の目を見て話して頂けませんか……?」


「だっ、だからさ〜? ボクだってハタラいているんだから……休みたい……」


「……他の特将の方々は、特命を熟されつつも……毎月のノルマである”一つ”以上の任務にんむを何かと熟されていますよ?

 特に、我々エルフの姫君である”&<;¥様”なんて……特命に加えて日々の経理や業務に追われているにも関わらず……戦闘班のスタッフと同等のノルマである、”月に三つ以上・・・・の任務”を熟されているのですよ!?」


「……リルちゃんと、ボクを同じにしないでよ〜」


 ――そうブーたれつつ……背後の樹木に強く体を押し付けながら、木の葉の隙間から垣間見える青空を眺めようとするオルセット……。


「……オルセット様? 甘ったれた事を言わないで下さいよッ! じゃあ、総司令であるボス様はどうなんですか!? 【あ〜一週間、何にもやらず休みてェ〜!】……といった感じに愚痴を零されても、ほぼ毎日しっかりと……業務と共に我々にお定めなさったノルマである”一つ以上の任務”も、自ら熟されているんですよ!?

 それと比べて……オルセット様は胸を張って、ボス様にノルマを熟していると言えるのですかッ!?」



 ――相当鬱憤うっぷんが溜まっていたのか……ジョジョに熱の込もった口調で怒鳴っていくエルフの男性。この時のオルセットは、周囲が暑苦しい日本の夏を連想するような”気温”でないにも関わらず……何故か額やコメカミに汗が垂れていたのであった……。勿論、未だ目を逸らしてである。


 その姿を見た彼は、再び大きなタメ息を吐いては……?



「……いい加減にしろよ? この、ニート猫が……ッ!」


「……フニャッ!?」


「そのパンの原料である麦を、誰が作ったと思っている……? そのパンに挟まっている肉の命を……! チーズの元を……! ソースに使われている全ての原料でさえも……! はぐくんだのは誰だと思っている……ッ!?」


「ニャ、ニャ……ニャにを言って……!?」


「もう我々エルフも、生きるために……沈黙を貫く必要はないのです。えぇ……私もボス様には一族同様、大恩だいおんがあるため……その右腕である貴方様の数々の怠惰たいだを見て見ぬフリしてきましたが……えぇえぇ、もう限界ですねぇ……?

 スタッフの半数以上がここ最近、オルセット様の”食道楽”や森林区画での”昼寝”をする姿が数多く目撃され、”あまりの怠惰”に不満を持っていると……信じたくなかったのですが……」



 ――なるほど? ”スペシャルミッション”や”任務ミッション”の区別はハッキリと付かないが……つまりオルセットはここ最近、自らの”特権階級”に胡座あぐらをかいては、食っちゃ寝ばかりして・・・・・・・・・・いるニート・・・・・と化しているのであろう……。


 その姿に、ボスの組織の部下達であろう”スタッフ”と呼ばれるらしい大多数が、【特別な仕事以外もチャンと仕事しろッ!】――と抗議を申し立てているのが、今の現状なのだろう……。



「ヒ、ヒドイよォッ!? ボク達がキミやみんなを守るために、ガンバッて戦っているんだよ!? なのに、なのにナンでそんなぁ……ッ!?」



 ――両目から急激に溢れ出した涙を零しながら、負けじと怒鳴り返すオルセット。しかし、特大とも言える感情の波を喰らったと言うのにも関わらず、エルフの男性は微塵にも取り乱さずに……ケロッとしたすまし顔であった……!?



「”ニート猫”と言う無礼な発言も含め、当然です。何せ……これは総司令である、ボス様公認・・・・・なのですから……!」


「……えっ?」


 ――ハトが豆鉄砲を食ったようかのように……エルフの男性の方に顔を向けては、キョトンとしてしまうオルセット。


「全く……つい先日”ParaDROID”を通じて、ボス様自ら布告されたばかりですよ?

 ……ホラ、【自主的に任務ミッションおもむかず……食道楽や昼寝、ゲームなどで遊び呆けている”オルセット特将”を見かけた場合、その態度に不満のあるスタッフは遠慮えんりょなく”愚痴”や”不満”をブツけてもヨシッ! ただし、それを理由に物を投げつけたり、素手や武器による私刑リンチを行ったものは、問答無用に”一週間の懲罰房ちょうばつぼう送り”とする】……と」



 ――”ParaDROID”と言うらしい携帯端末を再び操作し、虚空にその布告された文章を投影するエルフの男性。オルセットは、【ホントにィ〜?】――とでも言いたいような胡乱うろんげな目付きで、その文章を読み進めて行く。だが……読み終わるにつれて、額やコメカミに垂れる汗がジョジョに増してゆく……!



「コレ……ホント、ボスが書いたの……?」


「当然ですよ? 【面倒クセェ〜】……とおっしゃられつつも”一から書類を制作”し、それを傭兵団内のネットワークにアップロードされています。勿論、”D-AI”様のチェック及びデータの保管は済んでいますし……我々諜報班のみならず、傭兵団内のスタッフは誰でも知ってる事ですよ?」


「えぇ〜ボォスゥがァァァァァ……!?」


「それだけの事をしている訳です。いい加減、年貢ねんぐの納め時ですよ? ニート猫様?」


「だからって、言わないでよぉッ!? モォォォォ〜ッ!」



 ――【公式だからね?】――と物語ってそうな、物凄くイイ笑顔でサラリと”ニート猫”と言うエルフの男性。一方のオルセットは、組織設立後もこういった経験部下からの罵倒がなかったのか……地面に背を付けては、駄々っ子の如く両手両足をジタバタさせ、みっともない姿を晒すのであった……。



「ニート猫様? こうなったのも、この組織……いえ、もうこの国の王・・・・・と言える立場となったボス様が、我々国民スタッフの”士気”や”不満”を思って行っている事なのですよ? そのボス様に次ぐ”No.2”……ボス様の近衛このえであり、王妃おうひにも近い存在であるニート猫様は、いい加減……”立場”と言うのを自覚なさって下さいよッ!」


「……ボスを含め、ボクも……そ〜言ったカタ苦しい事〜キライなんだけどなぁ……。後〜ボスが”オウサマ”って呼ばれてる事ォ……ボク、チクっちゃおうかな〜?」


「……ボス様の故郷の”価値観”や”元の立場唯のダイガクセイ”からは、そう呼ばれたくないのかもしれませんが……我々の世界の価値観では、そう呼ばれるに相応ふさわしい偉業を幾つも成し遂げているのです。その英雄ヒーロー様に……我々は一生をけてでも、受けた大恩に対して報いたいのですよ……ッ!」


「……そう、アリガトね……」



 ――エルフの男性から目を逸らすように、樹木周辺に生えていた青々とした茂みの上で不貞寝するオルセット。一方の彼は、その静かながらも心の中では熱狂的であろう忠誠心ある語りを終えたところで、体を横向きに不貞寝する彼女に冷たい眼差しを送る……。



「何故ですかニート猫様……。任務ミッションでしたら、どんなモノでもたった”一つ”熟せば良いんですよ? それこそ……居住区画のドブさらいなどの”清掃任務クリーンミッション”、他の任務に赴く人の留守を預かるなどの”留守番任務シッターミッション”と言った、「低級任務ルーキーミッション」をたった一つです……ッ!

 専門的な知識を多少と必要とする、研究開発班や食糧班などの「生産任務ファクトリーミッション」などの「中級任務ベテランミッション」は勿論……魔物討伐や未開拓地域の探索などを行う「開拓者任務パイオニアミッション」などなどの「上級任務エリートミッション」と言った……何日も掛かるような難しい物でさえも、態々やらなくていいのですよ……!? なのに、何故こんな……?」



 ――既に布告されて長いであろう、傭兵団の成り立ちの一部を語りながら尋ねるエルフの男性。だが、そう言われてもオルセットは不貞寝したままであった。だが、彼女の何かが琴線きんせんに触れたのか……顔だけを彼に向ける。



「……ねェ? イイ加減、”ニートネコ”って言うのヤメテくんない? ボクは、オルセット。オルセットッ! ボスからモラった名前がチャンとあるんだからァァァッ!」


「嫌だと思うなら、今すぐにでも”任務ミッション”を受注するようおもむいて下さい。ボス様もこんな巫山戯フザケた布告……サッサと解消したいからと、何が何でもクソニート猫様を働かせるようにと、厳命されていますので……」


「ちょっと!? 今、クソニートって言った!?」


「はい、そうですけど? ドクソニート猫様?」


「ちょっとォォォッ!? さっきよりヒドくなってるよッ!? モォォォォォォォッ〜!?」


 ――幻視だと思いたいが……エルフの男性がオルセットを罵倒する度に、肌艶はだツヤが良くなっているのは気のせいであろうか……?


「……本当に嫌だと思うなら、逃げようなんて考え・・・・・・・・・を見せずに直ぐにでも行って下さい」


 〜 ビクッ! 〜


 ――駄々っ子のように転げ回った挙句……うつ伏せの状態から、這うように樹木の背後に向かおうとしていたオルセットに対して、冷たく言い放つエルフの男性。


「なっ、何の話……? ボクはただ……」


 〜 ブオンッ! ピタッ! 〜


「……へっ?」



 ――オルセットの逃亡の素振りを見ていたエルフの男性は、何処からともなく”異様にぶっとい警棒”を取り出しては、オルセットの方へと素早く向けるのであった……ッ!



「二十ゲージ、対暴徒鎮圧用試作大型拳銃「ライオットリボルバー」です。元々は、ロシア製の珍しいリボルバー回転式ショットガン散弾銃を、拳銃サイズギリギリにまで”短小ソードオフ化”した物が元だとか……。

 今回のドクソニート猫様の逃亡を見越して、ボス様が緊急配備……唯一許可なされた武器になります。勿論、使用するのは”実弾”ではなく……被致死性ひちしせいの”ゴムスラッグ弾”ですが……」



 ――なんと!? 取り出したのは警棒などではなく、拳銃ハンドガンサイズの散弾銃ショットガンであった! しかも地球の犯罪組織への流法律出を懸念してのがないのを良い事に恐らく、容易に”ソードオフ系統タイプ”の武器が量産されているらしい……!?



「ちょ、ちょっと!? 武器とかのリンチはダメなんじゃあ……!?」


「個人的には、飲んだくれの金属馬鹿供が愛用する武器の弾薬なんぞ、使いたくないですけどねェ……? けど万が一……傭兵団”No.2”である、オルセット様が抵抗するなら……! ……と言う事ですから……」


「……き、キチの中じゃあ、ボスがウテないように……!」


「今回だけは……です。それだけ、ボス様も本気と言う訳なのですよ? ドクソニート猫様?」


 ――そう言いつつ、エルフの男性は撃鉄ハンマーに親指を掛ける。


「それに、オルセット様の存在が確認されて以降、この区画から他の区画へのオルセット様の通行許可は一時的ながら”使用不可能ディスコネクト”になっています。もし私から逃げられたとしても……囲まれるのは時間の問題になります」



 ――そうして、掛けていた親指に力を込め……最後まで撃鉄ハンマーを引き切るエルフの男性。この状況にオルセットは、冷や汗を流しつつも【……コレ、どうもホントみたいだね……】――と考えがマトマったのか、体を起こしながらエルフの男性に向けてブスッとした膨れっ面を見せる。



「……ボスに”モンク”言ってやる……!」


「いや……オルセット様? 今回の件は流石に……全て、貴方に非が……ッ!」


 ――少々呆れ顔なエルフの男性が進言する小言を無視しては、何故か首元の頸動脈に右手の人差し指と中指を押し当てるオルセット。


「スゥゥゥ……ちょっとォォッ? ボォォォスゥゥゥゥゥッ!? 今、チョ〜ホ〜班のエルフの人に、”デッカいリボルバー”を向けられてるんだけどッ! ど〜ゆ〜事ッ!?」



 ――通信機器もないのに、開幕一喝! 己が降り掛かってきた理不尽の数々を(恐らく)スキルの効果を介して、その先に居るらしいボスに向けてブチ撒けてゆくッ!


 【ハァ、オルセット様……どんだけ自由人なんだか……】――常人が見たら、壮絶な独り言・・・・・・にしか見えない”舌戦ぜっせん”を前に……「ライオットリボルバー」を未だ右片手で構えつつ、心中でそう呟くエルフの男性。


 ……おっと? そんな二人の様子を見ている内に、どうやらその雌雄しゆうは決したようである……!



「……如何でしたか? ニート猫様?」


「……ツベコベ言わずハタラけってさ……。しかもやらなきゃ……ボクが行きつけの店はおろか……ヨウヘイダンカンレンの全ての店で、ボクだけお肉やお魚料・・・・・・・・・・理ゼンメンキンシ・・・・・・・・だって……!」



 ――まるで某有名な”燃え尽きたボクサー”の如く……世界滅亡を前にしたような悲壮感ひそうかん漂う表情で、泣き崩れるオルセット。その姿に再びエルフの男性はタメ息を吐きつつも、尋ねるのであった……。



「……ニート猫様? 言いましたよね? 今回、ボス様は”本気”だと?」


「そんなぁ……明日、マツザカギュウのヤキニクバイキングしたかったのに……!? オスシも……マグロや…サバとか……食べまくりたかったのに……!? あっ、チョウショク……! 明日、このステーキサンドも食べれないって分かると……!?」



 ――未だ”orz失意体前屈”に近い姿勢で泣き崩れているオルセットを見て、エルフの男性が再びタメ息を漏らす。まぁ……そうだろう。

 彼女の発言が毎日……とは思いたくもないが、こんな食道楽をやっていては、組織で自家栽培や自家生産出来ていたり、彼女に給付される給金が莫大であったとしても……という感じである。要は”悪目立ち”し過ぎであろう……。



「ニート猫様? 本当……何故なんですか? そんなに任務ミッションに行きたがらないのは……?」


 ――呆れてはいたが、ほんのチョッピリだけ哀れみを抱いたのか……そんな質問をするエルフの男性。それに対し、オルセットは未だ”orz”の状態であったが……。


「……ボスに言わない……?」


「……えぇ、僭越せんえつながら……聞きましょうか?」



 ――【全く……私は諜報班だと言うのに……任務ミッションでないからだしも、ボス様が居ないと……オルセット様は相変わらず迂闊うかつですね……】――とオルセットが非常に落ち込んだ口調で尋ねるにも関わらず……シッカリと”心の報告書”に書き込む気満々で、哀れむような口調で返答するエルフの男性。


 それを聞いた彼女は”orz”の体勢から、背後の樹木にもたれ掛かかるように……”体操座り”をしては、顔を両膝の間に埋めるようにしながら、ポツリポツリと呟き出す……。


「……ボクね? アドステに表示されているミッションってね? ホント……ボスをチャンと守れているのかって、落ち着かないんだよ……。

 ”ルーキーミッション”なんて、全くボスを守れている気がしないし……”ベテランミッション”は、頭の良くないボクはほとんど出来ないし……ボクが一番、カツヤク出来る”エリートミッション”でさえも……何日も”$♩〆▼□”からハナれると、”ボスは大丈夫かな……?”って、気になってしょうがないし……」


「……」


「そりゃあ、さ? ボクだって働きたくないワケじゃあないんだよ? 昔と比べたらさ? 今はスペシャルミッションの数なんて、グ〜ンと減ってるし……戦う事なんて、ショクリョウチョウタツ以外……センソウとかトウバツなんて言葉、ほとんどキかないぐらいだし……。

 ホント……お肉やお魚料理のゼンメンキンシはヤメテホしいけど……こんな”平和な時間”がズゥゥゥ〜ッと、ツヅいてホシイなぁ〜って思うし……」


「……」


「まぁ……頭が良くないなりに色々言ったケド……結局、ボクはボスを守りたい。ここを……”$♩〆▼□”を守っているボスを守りたい。

 だからルーキーミッションで色々していたり……それこそ、エリートミッションで長くハナレテいるなんて……それをやっていて、ボス守るのに間に合わ・・・・・・・・・・なかったら・・・・・……って思うとね……? 頭が……グチャグチャになるんだよ……」



 ――なるほど? ボスの築き上げた組織及び……その後の異世界ウォーダリアでは、大規模な戦闘がなくなり、ほぼ平和な状態となったらしい。しかしながら、そんな中でもやっぱりそこは治安国家な日本ではなく……乱世かつ無法な異世界であると。


 だが……ボスに襲い掛かる危険が完全に無くなった訳ではない以上、そんな”平和な任務ミッション”をやっていて本当に大丈夫なのか……!? そんな不安が、オルセットの中に常に付きまとっているのだろう……。



「……まったく。恐縮きょうしゅくながら言わせて頂きますが……ニート猫様は、やはり頭がよろしくないですね」


「ニャッ!? ひっ、ヒドイッ! ヒドイよォォォ〜ッ! 自分がエルフだからって、そう言いたいのッ!?」


 ――ガバッ! っと、顔を勢いよく上げて、怒鳴るようにそう語るオルセット。


「いえ……私が毎回、明確に嫌味を言いたいのは……少なくともあの”飲んだくれの金属馬鹿供”だけですよ。……ですが、今はどうしても……ニート猫様に言いたいものですね……」


「やっぱり、ヒドイじゃあないかッ!?」


「落ち着いて下さい、ニート猫様。貴方様の先程語って下さった事に”同情”しなければ……こんな事は言いませんよ……」


 ――そう言っては、彼女の”お腹”に狙いを定めていた「ライオットリボルバー」を下ろすエルフの男性。


「……つまり?」


「ハァ……短慮にならないで下さい、ニート猫様。まだ私は”過程”も述べていませんよ?」


「あっ、ゴメン……。”タンリョ”は……ダメだよね……」


「まぁ……エルフである私としては、理知的かつ論理的に話を進めていきたいですが……過去にボス様が散々苦労なさったと聞く、ニート猫様です。仕方なくですが、端的に言うのであれば……私だって、ニート猫様と同じ気持ちです」


「……いい加減”ニートネコ”って、ヤメテホシイけど……どゆコト?」


 ――分かりやすい程に、首を傾げるオルセット。


「ニート猫様を思い、色々と省かせて頂きますが……”王”と言える立場のボス様が、頑なに多くの護衛を付けたが・・・・・・・・・・らない事・・・・に似ているなと思ったからです。

 【確かに安心するけど、お前達も考えてみろ? 寝ても、飯を食っていても、便所に行っていても、更に自分の部屋でさえ……どんな時でも四六時中、ず〜っと見張られているって……落ち着かないだろ?

 安心だけど……お前らの世界で言うなら、”暗殺者”に四六時中付け狙われてみたいで、嫌じゃあないか? こう言うのを”プライバシーの侵害”って、オレの世界では言われてたんだよ】……と、護衛を増やすべきだと進言していた臣下や国民達に、ボス様が言われた時は……正に目からうろこでしたよ……!」


「……つまり……どゆコト?」


 ――熱心に解説していたエルフの男性だが……途中から恍惚こうこつな表情で”ボスの言葉”を再現するあまり、結局オルセットには伝わらなかった模様だ。


「おっと、失礼しました……。禁止されているとは言えど……我々エルフにとっては、ボス様は崇拝すうはいするに値する程の大恩人……! 【オレは元の世界でも、あまり頭は良くなかったんだぞ……?】……とご謙遜けんそんされど、元から視野の狭かった我々エルフに……次々と、新たな境地を示しては……!」


「……ねェ? ”まだス〜ハイしてる”……って、ボクからボスにチクられたくなかったら、サッサとド〜ユ〜コトか、教えてくんない?」


「ハッ!? もっ、申し訳ありませんでしたッ! ニート……いえ、オルセット特将ッ! どうか……どうか、今のはご内密に……ッ!」



 ――オルセットの言葉を聞いて正気に戻ったのか……握っていた「ライオットリボルバー」を投げ捨てるような勢いで、土下座をするエルフの男性。そんな態度にオルセットは味を占めたのか……首の頸動脈を、右手の中指と人差し指でポンポンと叩きながら、こう語るのであった……。



「ど〜しよっ、かな〜? サッキのコトを話すついでに、今すぐこのクカクからボクをカイホウして、ジユ〜にしてくれるなら〜」


 〜 ブンッ、チャキッ! 〜


「それはダメです」



 ――土下座の状態から素早く上半身を起こしては、オルセットの胴体に「ライオットリボルバー」の銃口を向け、ゆっくりと立ち上がるエルフの男性。


 【……チッ】――おっと、似たような前科でもあるのか……小さく舌打ちをするオルセット。



「ハァ……流石に今回は見逃せません……ッ! それに、私はまだクソニート猫様のご質問には、答えられていませんからね?」


「……ハ〜イ」


 ――不本意なのか……目を逸らしたまま両脚を抱え、まるで”揺り椅子ロッキングチェア”のように自身の体を前後に揺らすオルセット。恐縮……と言い難いが、お行儀ぎょうぎ悪いぞ?


「またも不本意ですが……僭越かつ端的に言わせて頂くと、ニート猫様と出逢であわれた頃に比べ……ボス様だって、お強くなられて・・・・・・・おられるのです」


「……ボスが?」


 ――【本気で?】――と言いたいような表情で、呟くオルセット。


「えぇ。特将であられるクソニート猫様は勿論、他の特将の方々と比べると……総司令であるボス様個人の実力・・・・・・・・は、ご本人も苦笑される程の”最弱クソ雑魚ナメクジさ”であります。しかしながら……それでもです。

 それでも、ニート猫様と出逢であわれた頃に比べれば……武器も、装備も、実力も、そして我々”組織”と言う力でさえも……ボス様にはあるのです」


「……まぁ、そうだけど……」


 ――どうも納得のいかない表情で、顔を背けるオルセット。


「フランスの名作の一つ、”三銃士さんじゅうし”の中にこんな言葉があります。【One for al一人はみんなのためにl,all for onみんなは一人のためにe】……最初はボス様が、とある引き合いに出された比喩ひゆなだけでしたが……今じゃあ、”ボス様の強さ”を体現している言葉・・・・・・・・だと……ハッキリ言えます」


「……ホント、ソ〜ユ〜の好きだよね……エルフって」


「知識こそ、真の宝ですからね……ッ! ボス様がモタラしてくれた知識はどれも偉大な……!」


「もしも〜し? お〜い?」


「……おっと、失礼しました……。まぁ、結論を行って仕舞えば……ニート猫様? もう少し、我々”スタッフ”を信用しては如何でしょうか?」


「……どゆコト?」


 ――再び、分かり易い程に首を傾げるオルセット……。


「ニート……いえ、オルセット様? ボス様は何のために……我々”亜人”の能力を最大限に活用できる”班”を取り決め、この楽園を様々な形でお守りするよう命じられているか……? お分かりになりますか?」



 ――【えぇッと……ゴメン、分かんないや】――後頭部の髪をポリポリと掻きつつ、そう言うオルセット。その態度に、エルフの男性はもう何度目か分からないタメ息をこぼすも、話を続ける。



「我々は下劣クソッタレな人間と比べ……万能ではありません。むしろ、苦手な物は苦手と決めつけ……意識から遠ざけ、突き放し、記憶の彼方に追いやり、挙句の果てには”人間は下等”……という愚考を、長きに渡り続けてきました……。その結果が、”同胞の奴隷化”……更には”■■■■■”です。ですから……」


「……ねぇ? 結局、回りクドクドになってるケド……結局ナニ?」


「おっと、度々失礼いたしました……これは私共エルフの”長所”であり、”短所”ですね……」


「……うん。まぁ、そうだね」


 ――至極、興味のなさそうな相槌あいづちを打つオルセット……。


「ですが……ボス様は、そんな我々の”短所”にほぼ目もくれず……我々の”長所”に目を付けて、「研究開発班」の”魔法部門”や”魔法薬学部門”及び、「諜報班」に「医療班」……そして、この傭兵団の”中枢ちゅうすう”の一つとも言える「食糧班」の”農業部門”を我々にお任せ下さりました……。

 そして……ボス様の活躍を支えるために、我々は日々の成果を出せるよう……常に研鑽けんさんを積み重ねております……!」


「ウ〜ン……だからァ、ナニが言いたいの?」


 ――知恵熱でもでも出始めたかのような……シカめっ面をしつつ、チョッピリイラついたように言うオルセット。


「……フゥ。つまりですよ、オルセット様? 様々な形であれど……ボス様の組織自体を守っている私共”スタッフ”の力を……特将と言う、最もボス様に近いお立場と言えど……舐めないで頂きたい・・・・・・・・・です……ッ!」



 ――部下スタッフという立場上……今までほとんどオルセットに対して、柔和かつ物腰柔らかな態度で接してきたエルフの男性。だが……ここで初めて”明確な敵意”とも言えるようなスゴみを、彼は思いっきり彼女にブツけるのであったッ!



「……ニャフフ、イイねェ……久しぶりにチョッピリだけ……ゾクッ! ……ってしたね。ボスが好きそうな……」


「……フフッ、ええ。今やほとんどのスタッフが、優雅かつ平和に近い暮らしを送っていますが……それ以前に、特将様方及びボス様直々に……我々は鍛えられていますからね……!」


「じゃあ、それなら……ボクはキミタチに任せて、ゆっくり休日を……!」


「……ニート猫様? まだそんな事を言うのでしたら……ニート猫様の好物禁止どころか……ボス様に進言して外食は全面禁止。そして、クソニート猫様が食べれる食事は、”自炊”のみにしてしまいますよ?」


「ニャッ!? そっ、それはホントに困る……ッ! ”えるふヤ”だけで、ゴハンなんて……!」


 ――再びこの世の終わりのような……狼狽うろたえを見せるオルセット。


「おっと、そう言えば……三食外食に頼り切っているオルセット様の自室には、調理用具なんて全くありませんでしたよねぇ……? 因みにドクソニート猫様? 最近、体重計には乗っておられますか?」


「ニャッ!? ニャッ……ニャんてハレンチなッ!?」


 ――自身のお腹を両腕で抱えるように隠しながら、エルフの男性を怒鳴りつけるオルセット。


「……ハァ、自覚及び巫山戯ふざけている余裕があるのでしたら……定期訓練以外にも、チャンと任務ミッションにも赴いて下さいよ……。そうしないと……好物以前に、ボス様に自己管理が出来ないポッチャリさんとして……嫌われちゃいますよ?」


「そっ、それだけはイヤだッ!」



 ――【全く……本当にボス様の事がお好きなんですね……】――内心呆れつつも、チョッピリだけホッコリとした気持ちで、頭を掻きムシりながら戸惑うオルセットを暖かく見守るエルフの男性。


 〜 ガバッ! 〜


「ねっ、ねェ!? こうしちゃあいられないよッ!? まだ、アドステにボクが出来そうな”ミッション”は残っているかなぁッ!?」


「全く……自分の”ParaDROID”があるなら、それで検索して下さいよ……」


 ――目にも止まらぬ早さで飛び起き、ジョギングするかのような高速の足踏みするオルセットに対し……顔を背けつつ冷たく突っぱねるエルフの男性。


「そっ、そんなぁ〜!? じゃ、じゃあ! 今から……ッ!」


「……と、言いたい所ですが……そう言うだろうと思って、お忙しい中ながらも……ボス様がニート猫様のために見繕みつくろって下さいましたよ……?」


「ほっ、ホントッ!?」



 ――飛び掛かるような勢いで、エルフの男性の顔面へと肉薄にくはくするオルセット。だが、そのキラキラ……もといギラギラとした眼差しと近さを失礼のないように押し退けつつ、彼は語る。



「えっ、えぇ……。ですが、今回のような事は一遍いっぺんこっきりですよ? 任務ミッションの受領も、特別に私が受け持ちますけど……今後は自主的に! お願いしますね……?」



 ――再び「ライオットリボルバー」を何処からともなく仕舞い(?)つつ、空いた手の人差し指を立てながらそう語るエルフの男性。そんな彼の静かなスゴみに、少し引いてしまうオルセット。



「わ、わかったよォ……それで? ミッションはナニ?」


かしこまりました……少々お待ちを……」


 ――そう言っては、もう片方の手に持っていた”ParaDROID”を手慣れた手つきで素早く操作し始めるエルフの男性。


「……フム。任務ミッション難易度は中級ベテラン。内容は「■■■商会、隊商の護衛」ですね。任務ミッション期間は、早くて一日から三日程度……長くて一週間以内になってますね……」


「へぇ〜■■■ショ〜カイかぁ〜。ズイブンと、付き合いが長いねェ〜」


「えぇ、任務ミッション時における外貨獲得及び、その他諸々でお世話になってますからねぇ……特に、ボス様が言う”資金洗浄マネーロンダリング”では……」


「……いつまで続くんだろうなぁ……そんな”キタナイコト”……」


 ――唐突に足踏みを止め、ショボンと落ち込んでしまうオルセット。


「……オルセット様? 我々の姫君である”&<;¥様”と同じように、その高潔な精神を持つのは大変喜ばしい事ですが……ボス様が言うように仕方がない事・・・・・・なのです……!」


「……」


「我々は、この世界ウォーダリアではただの傭兵……しかも、非合法な軍隊・・・・・・。それも……下劣クソッタレな人間どもには、一切認められない……存在しない軍隊ゴーストアーミーなのです。ボス様が語る”真の平和”が訪れるその時まで……■■し続けなければならないのです……!」


 ――影のある表情で、静かだが悲痛かつ納得のいかない口調で語るエルフの男性。


「ですが、我々が存在する以上……さいは既に投げられています。そして、歩み続けなければなりません……! ”真の平和”への一歩を常にやさないためにも……さぁ、ご認証を……!」


 ――そう言っては持っていた”ParaDROID”の画面を向けつつ、オルセットへと差し出すエルフの男性。


「……う〜ん、なんか……ボスが言ってた”カルトキョウダン”ってヤツに、キミタチ似てきてない? その言い方ァ?」


 ――戸惑うような口調で言いつつも、差し出された”ParaDROID”に右手の平をかざすオルセット。


「まさかッ!? そんな”◆◆”の”◆◆◆◆騎士団”を率いていた◆◆◆◆◆◆◆◆◆と、私達が同じなんて……!? そんなあんまりな事を言うのですかッ!? 特将ッ!?」


 〜 ブォン! ピロロロロロロ……ピオンッ! 〜


「……言わないよ。ただ、何となくボスがイヤだと思うような感じがしただけ。だから……気をつけてね?」


 〜 Biodata authentication. Special General Olset, the mission has been received. 〜



 ――円錐えんすい状のような光が”ParaDROID”から投影され……かざされたオルセットの手を上から下へと満遍なく照らしていく……! 少しした後、光が消えたかと思えば……上記のような”流暢りゅうちょうな女性の英語音声”が、”ParaDROID”から発せられるのであった……!



「……前から思うけど、やっぱ分かんないなぁ……”エイゴ”って……」


「ちゃんと学習してください、ニート猫様。ボス様に毎回任せているとは言えど……必要になる任務ミッションがあったらどうするんですか……? それに我々諜報班では、最も簡単な”暗号文”として使われる物ですよ? 英語は・・・……」


「そうなんだろうケド……分からないモノは分からないのさ〜。それに、ボクはボスを守る事に全力でありたいしね?」


「……ニート猫様……」



 ――色々と言いたそうな呆れた口調で、タメ息を吐きつつそう呟くエルフの男性。オルセットはもう聞き飽きたのか”ジト目”な横目で軽く睨むだけで、特に何も言わずゆっくりと立ち上がる……。



「じゃあ……準備するから、ちょっと待ってて」


「……おや? ステーキサンドはもう宜しいので? それにミルクセーキもまだ……?」


 ――少し意地悪イジワルそうな口調と表情で、オルセットに進言するエルフの男性。


「……み、ミッションが先ッ! 残ったのは、”スーちゃん”とかにでもあげといて! まだ食べてないから!」


「成程? ■■■■様ですか……。確かに、の方でしたら……ある意味”無限の胃袋”を持っていると言っても、過言ではありませんからね……。しかし、彼の方はニート猫様を恐れている・・・・・のでは……?」


「とっ、とにかく! 渡しといて! ミルクセーキはボス経由でもイイから、ボクの部屋のレ〜ゾ〜コに入れといてね!」


「……かしこまりました」



 ――ちょっとした謎の間があったものの……貴族や執事が良くやりそうな「ボウbowアンドandスクレイプscrape」というお辞儀をうやうやしく行うエルフの男性。そのお辞儀の後、オルセットの傍にあったバスケットや水筒を回収し終わるのを一通り見届けると……彼女は目を瞑ってはこう呟く。



「……バトルアップ……ッ!」


 〜 ピィカァァァン……ッ! シュワワワワワァァァァ……! 〜



 ――もう何処をツッコめばいいのか分からないが……。


 エルフの男性が思わず目をつむってしまうような閃光が、オルセットの胸の中心から放たれたかと思えば……その光と同時に”超古代の光の巨人ウル○ラマンテ◯ガ”へと変身した時のような……ある意味神々しい効果音と共に、光が彼女の全身を包み込んで行く……ッ!



 〜 パシュゥゥゥゥンッ! 〜


 ――そして、ボスの「ガンガンズクリクリエイト」で銃を供給サプライした時と似たような音と共に、彼女を包み込んでいた光が一気に弾け飛ぶッ!


「……いつ見ても……お美しい……!」



 ――左腕にバスケットをブラ下げるエルフの男性が、光から現れたオルセットに向けてそう呟く。しかしながら……そう言われた彼女の格好は真っ向に反する程、物々しい物であった・・・・・・・・・……!


 ”タイガーストライプ”という迷彩柄が両袖に施された、香色こういろメインの「コンバットシャツ」……。前開きが出来るジッパー付きの軽装かつ、先程の”タイガーストライプ”という迷彩柄一色に染まった深緑色メインの「タクティカルベスト」……。


 スキニーパンツのようにピッタリとした伸縮性のある素材で作られたらしく、これまた”タイガーストライプ”という迷彩柄一色に染まった、黒ベースの「タクティカルパンツ」……。そして、つま先とかかとが露出した、黒色の”トレンカ”らしき物で保護された素足……。


 ……と、まだ以上ではないが……現代の軍人から見たら、中々に奇抜な部分がある格好になっていた。と言うよりも……完全に「戦闘準備完了」と言わざるを得ないよそおいであろう。


 まぁ……”護衛任務ミッション”と言うだけあって、”イブニングドレス”などのめかむ装い方が、間違いではあるのだが……。



「……フゥ、さてと……後はソウビのカクニン……っと」



 ――だが、最も特徴的なのは……レッグ、バックサイド後部、ショルダーと、計三組六個の拳銃用ホルスター・・・・・・・・を、装備しているところであろう……。その内の一組にオルセットは手を伸ばし……素早く正面に構える。


 〜 スチャッ……バッ! 〜


 ――世界中の軍隊で広く普及されている「9mmパラベラム弾」を、瞬間的に三連射する「三点バースト」機能が組み込まれた、法執行機関向けの拳銃である「ウォレッタ 93R」……。


 〜 チャッ、ポチッ、スラッ……ガチャッ、パシッ! ……チャキンッ! 〜


「……ショダンはチャンと入っていた……ドラムマガジン内のザンダンも大丈夫……!」


 〜 カチャ、スチャンッ! ガッ……チャキンッ! チャッ……。 〜



 ――”初弾の確認”や”マガジンチェック”などの一通りの点検を二丁とも済ませると……安全装置セーフティを作動後、その二丁を仕舞っていた”サムブレイク”タイプの、レッグホルスターに……!



 〜 スチャッ……バッ! 〜


 ――東側旧ソ連突撃銃アサルトライフル弾にほぼ等しい威力を持つ、世界最強の自動拳銃セミオート弾薬、「50Aアクション・Eエクスプレス弾」を発射出来る大型自動拳銃「デザートイーグル」……。


 〜 チャッ、ポチッ、カチャッ! ……ガチャッ、パシッ! ……ガチャンッ! 〜


「……ショダンはヨシッ! それに……重いけどスライドの動きもナメらか……やっぱ、■■■■のジッちゃん……イイ仕事するね……!」


 〜 カチャ、カチャンッ! ガッ……ガチャンッ! チャッ……。 〜



 ――自重で落下するマガジンを難なく受け止めつつも、”初弾の確認”や”マガジンチェック”などの一通りの点検を二丁とも済ませると……安全装置セーフティを作動後、その二丁を仕舞っていた”フロントブレイク”タイプの、バックサイドホルスターに……!



 〜 スチャッ……バッ! 〜



 ――たった一発ずつしか撃てないが、それでも”アフリカゾウ”や”クジラ”を相手に出来る……最も強力な狩猟用弾薬の一つ、「460ウェルザビー・マグナム弾」をブッパなせる、中折式大型拳銃「テンプソン・コンテンダーEMアンコール・モデル」……。



 〜 チャッ、チャキンッ! ……スルッ……。 〜


「……ショダンはヨシッ! ……バレル内もツルッツルのピッカピカみたいだし、キレイだね……! ……もっと、■■■■・■■■■みたく、タクサン撃てるとイイんだけど……ブレイクオープン式だと無理って、ボスとかジッちゃんが言ってたからなぁ……」


 〜 ……スルッ、カチャ……チャキンッ! チャッ……。 〜



 ――たった一発だったが”初弾の確認”などを行い、一通りの点検を二丁とも済ませると……少し特殊な機構の安全装置セーフティを作動後、その二丁を仕舞っていた”フロントブレイク”タイプのショルダーホルスターに……!


 それと大変恐縮ながら、どの銃も彼女に合わせたであろう……入念な調整カスタマイズが膨大に施されていたのだが……そこは未来を知りすぎるとアカンッ! ……と言う訳で、描写は割愛かつあいさせて頂く……!



「……そう言えば、ニート猫様? 以前から不思議に思われていたのですが……小銃ライフル突撃銃アサルトライフルはお使いにならないのですか? その装備ハンドガンばかりでは、硬度の高い鎧を着る下劣クソッタレな人間や、頑強な外殻を持つ魔物相手には……いささか、火力不足では?」


 ――慇懃無礼いんぎんぶれいな物言いで言うエルフの男性。それに対し……オルセットは膨れっ面で軽く睨むも、こうこたえるのであった。


「もぉう、チョ〜ホ〜班って……今まで何を調べてきたのぉ? ボクが走り回って戦うのがキ・・・・・・・・・・ホン・・だって、昔から知ってるでしょ? それに、それだと……君達が好きな”スナイパーライフル”よりも、素早くカマえ易い”ハンドガン”の方が、ボクの”戦い方”に合ってるって、分かってるでしょ〜?」


 ――チョッピリ不機嫌な物言いで、そう語るオルセット。


「成程? でも、六丁とは言えど……やはり拳銃ハンドガンじゃ頼りないのでは……?」


「そんなことはないよ〜? 狭い場所でのキンセツセントウなら、長くてカマえニクい”ライフル”より”ハンドガン”方がタヨりになる場合があるッ! ……って、ボスが前に言ってたしね? それにボクなら、ボスと違って”ナイフ”がなくても……この体で、テキをシュンジにボッコボコに出来るからねッ!」


「なっ、成程……。確かに、ニート猫様の”格闘攻撃”はすさままじい物ですからねェ……! それで閉所へいしょでも……という事ですか……」


「ねェ……? ホント、知らなかった・・・・・・? 後、ホント……ニートネコって、ヤメテホシイんだけど……ッ!?」


「おっと、これは失礼致しました……どうやら、情報不足だったようですね……」



 ――どうやらオルセットの”知性”を試していたのか……そうクツクツと声を漏らした後、再び慇懃無礼そうな物言いで言うエルフの男性。その様子に再び膨れっ面になる彼女だったが……気持ちを切り替えたのか、軽くタメ息をした後に彼に尋ねる。



「ねぇ? 任務ミッションに近い、モヨリの”トラム”はドコ?」


「少々お待ちを……」


 ――エルフの男性が素早く”ParaDROID”を操作した後に、答える。


「今回の任務ミッションへは、”バレッド王国線・マケット領南部行き”のトラムを使うと近いみたいですね。発車時刻は……最短が後”五分”で出発しますが……」


「ヤボな事は聞かないでよ。ボクを誰だと思ってるの?」


「……そうでしたね。ですが、念のため……ニート猫様の”ParaDROID”に、目的地の駅と終点の駅をマーキングしておきますね?」


「……ボクをバカにしてる?」


「エェ、勿論。嫌でしたら、早くトラムに間に合うよう……行ってくださいね?」


「……モォォォ〜、分かったって……」



 ――……エッ!? と、トラムッ!? ヨーロッパけんで親しまれる交通手段だと言われている……あのっ、トラム路面電車だとッ!? じ、自重がない……! 、オルセットの装備に加え……ボスの組織は、一体何処までの技術力と(ファンタジー世界への)自重のなさを持っているのだ……ッ!?



「まっ、最初はイヤだったけど……新しく発売されたって言う〜”パラDXバーガー”を、帰りに食べられそうだし〜このミッション、ノらないとね〜」


「……りてないのですか、ニート猫様……?」


「……ウルサイよ? ボスの命令とは言えど……流石にボクも怒っちゃうよ?」


「こっ、これは失礼致しました……」



 ――ストレッチやジャンプなどをして体をほぐしていたオルセットに対して、呆れた口調で言うエルフの男性。


 しかしながら、オルセットはもう黙ってられないと思ったのか……怒気の込もった口調でそう言うと、軽く身震いしつつも恭しくお辞儀をしては、彼は自身の非礼を詫びるのであった……。



「全く、キミはチガうケド……ボスのジャマをするヤツは……ボクが許さないから……ッ!」


 〜 ザッギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ! 〜



 ……目で追えない程の速度で走り出す寸前、彼女の琥珀色アンバーの瞳は猛獣のように……いや、その中に一種の”狂気”をはらんでいるかのような輝きを放つのであった……。






「……流石は、雷光の二丁ライトニング拳銃使い・アキンボ……! いつ見ても……銃を使わずともあの速さなら、最初期からボス様をお守りしていたのも……納得ですね……」



 ――彼女が居た一部の地面がエグれ、そこからモウモウと上がる土埃つちぼこりに涙するも……土埃が晴れた後に、エルフの男性は微笑ましく……その蛇のように伸びる土埃の先を眺めるのであった……!





<異傭なるTips> 今後の展開


 皆さん、お久しぶりです。ノーズトラベラーです。

 ジョジョに執筆を積み重ねてきた事で学んだ経験や知識を用い、新たに構築し直した「リメイク版」……如何だったでしょうか?


 「いつ、メインの傭兵団を築き上げるんだ!?」……と、少なからず不満に思っている人がいると思い、今回は少しだけ……構想をしているボス達の傭兵団全貌の片鱗へんりんを、成長しているオルセットの日常からチョッピリ、お送りしました。


 勿論、皆さんは分かっていると思いですが……今回登場した内容を詳細にここでネタバレしてしまうと、今後の展開の”楽しみ”が台無しになってしまうので控えます。


 ただ……ど〜しても言いたい事としては、今後ボスの”相棒バディ”となる仲間達は、今回のオルセットのように基本的に”三種類”かつ、特注の「専用装備」を所有していて、傭兵団内では圧倒的な戦力を有しているとだけは言えますね。


 『まず、”並の人間”や”屈強な人間の軍人”でさえも装備しても使えない……異世界人だからこそ』をコンセプトに、既に主人公のボスを含め……相棒となるキャラ”ほぼ全員”の装備の構想は済んでいます。なので、それを一つの楽しみとして頂ければ……と思っています。


 しかしながら……大変申し訳ない事を申し上げなくてはなりません。この小説の”旧版”から読み始めている方なら、もう既にお察ししていると思われますが……”旧版”と”リメイク版”の内容が、非常にかけ離れている事・・・・・・・・です。特に第一章の終盤なんかは……ですよね?


 そのため、以前は『リメイク版が終わったら、その内容を元に旧版の第三章を進める……』と言った、今では”バカげた事”だと思う事を考えてましたが……幾度もの思案の末、”旧版”は<未完>とさせて頂きます……。


 初期から”旧版”をご愛読頂いた皆様には、大変申し訳ありません……。

 「更新頻度&作品の量」を取るか、「表現出来なかった事への再挑戦&作品の質」を取るかで、悩んだ末の結果です。


 (余談ながら……普段食べている食事だと、前者の「バイキング形式」が好みだったりします。(笑)……とは言っても、美味しい物をお腹一杯に食べたいというのは、値段が異なっても私が食事に求めていることだったりしますねェ……)


 しかしながら、執筆を辞めたいと言う訳ではありません。誠に恐縮ながら、不粋に思われるかもしれませんが……私が未だ目指す「ゲームクリエイター」の道への”修練のため”……と言うのも、実はこの作品を書く目的だったりします。そのため、第二章の「リメイク版」の構想も鋭意製作中だったりします。


 ただ、二つの投稿サイト……「小説家になろう」と「カクヨム」に同時投稿するのが地味に大変なので、今後はどちらか一つに絞ろうかと考えています。そのため、片方に絞った際はどちらか一方でご愛読頂いていた方には、大変恐縮ながら……お先にお詫び申し上げたいと思っております……。


 今後も不定期、亀の子並な更新速度ですが……。

 ご愛読は勿論、どちらのサイトになったとしても……”評価”や”感想”、”誤字報告”も頂けると有り難いです……。


 何卒、今後も宜しくお願いします……。

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