第9話 RE:Contact-8 晩飯ヲ守リ抜ケ
~ ウィィ~ン、ピピピピピ! ~
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ウルエナ>
和名:
年齢:5歳(メス)
体重:64kg
体長:102cm
肩高:72cm
属性:無
<レベル:12>
HP:927/927(
MP:34/34
DE:0
能力値
[ Strength ]
<身体強化 Lev.2>
<犬歯強化 Lev.2>
[ Perception ]
<嗅覚強化 Lev.5>
[ Vitality ]
<体毛擬態 Lev.3>
<忍耐 Lev.1>
[ Agility ]
<強壮 Lev.4>
<強靭 Lev.4>
《詳細情報》
バレッド王国辺境「スップリ森」など、ウォーダリア各地に必ずと言っていい程生息する、狼に
性格は残忍かつ
他の魔物が狩り得た獲物を、平気で横取りする
しかしながら、実際は真逆な事実であり、彼らが”横取り”をするのは……”成功率
その上、彼らが”屍肉”や”腐肉”を積極的に食す事で、死体が腐食していく過程で
また、一部の冒険者の間では「ドウモウな魔物」と認識されているが、それも誤解である。
確かに、屍肉や腐肉を漁っている際のウルエナは気性が荒く、近づく者には
しかしながら、それでも人間に興味を示すのは……何かしらの”獲物”を人間が持っている時や、”群れ”に人間の魔の手が向けられた時のみである……。
もう一つ、彼らが”狡猾”だと言う事を証明する事象に、彼らの”体毛”が挙げられる。”ウルエナ”の体毛は、”自身の感情”によって変化する
それは言葉通りに、相手を”
因みに、何故か地球の一部ハイエナ同様、”雌”が「群れのリーダー」になる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
――「……無自覚だろうがコイツ、”逆ハーレム”って奴を
スキャンしていた個体……ここは
結果は、見事に全員”
一回り程小さいモノの、それが「計4体」とスキャンにあった
ただ、ザッとは見てみたものの……”ウルカノ”と比べれば彼らの戦闘力は「平均LV.8」と、彼女より下回っていたため戦闘時の最も警戒すべき対象は、”
「ぼっ、ボスゥゥ……ッ!?」
――思考の海にドップリと沈んでいたボスであったが、銃を持たない右腕にしがみついてきたオルセットの顔を
今にも溢れんばかりに、目に涙を浮かべている彼女を見た彼は、自身の気を引き締めるためにも言葉を
「しっ、心配すんな! オルセットッ!
大丈夫だ! コイツらに勝てるから安心しろッ!」
「ちっ、違うよぉ! ボスゥ!
に、逃げようッ! 逃げようよッ! ボスゥ!」
――しがみついた腕を必死に揺さぶりながら、彼を説得しようと試みるオルセット。しかしながらボスは、極力目の前の魔物達に聞こえないよう、声を潜め……?
「ダメだって、オルセット……!
コイツらの目的は多分、オレらの後ろにある
ここで逃げたら、明日以降の飯が食えるかわからねェんだぞ!?」
――と「スキャン」から得た”屍肉喰い”の一文から、
「だっ、ダメだよ! ボスゥ! 逃げようッ!
こんな……魔物がいるのに、勝てるワケが……」
~ バッ! プウェェエェェェッ! ~
「ッ!? ボスゥ! 前ェェッ!」
「ッ!?」
~ ジャキッ! ……ピタッ、スルスルスルスル……~
――「なっ、ナイスな判断だ……オルセット……」しどろもどろながらも、彼女の警告に反応できた事に
何が起こったかと言えば、二人が話している最中……一瞬の隙を突いてウルカノが彼の首筋目掛け、
だがしかし……何故か銃口を向けられたウルカノは、唸り声を上げつつもゆっくりと雄達がいる場所まで、後退して行くのだった……!
「ほっ、ほらな? アイツらは狡猾……”頭が良い魔物”だから
さっきの
――と、得意げにウルカノに向けていた銃口を軽く上げ……軽く銃を左右に振り、オルセットにアピールするボス。
……まぁ、しかしながら「理解している」と言う事は、”恐れを抱く”と言う事と同時に……
……まぁ、そこは一度置いておこう……。
話題は変わるが、彼は”
~ウィィ~ン、ピピピピピ!~
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<フリントロック・ピストル>
全長 約36cm
重量 約1.00kg(銃のみの重さ)
装弾数 1発
使用弾薬
略称「フリピス」、「FP」。
1620年頃、フランスで考案された
<世界初の拳銃>……とは、「
ただ……最も広く、多く、実用的な拳銃として普及した点で見れば、<世界初の拳銃>……とも言えなくないだろう。
このように、世界初
しかしながら、……「
そのため……”適切な距離”と、しっかりと”敵の急所”に当てる事が出来れば、唯一の利点となる「高い威力」が、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<基本性能>
(
(
(
(
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
――と言うように、先程狩った「コーカサス・ボア」の”
……”銃”や”飛び道具”が登場するゲームではお馴染みな、「”
ただし、今はまだあくまで予想……。
彼の戦闘実績が
危険だが……今後確かめる際には、フリピスの威力以上の”HP”を持つ「強力な魔物」との戦闘で、検証しなくては……とも、彼は心のメモに書き留めていた。
しかしながら、ここで彼は……”脚”や”下半身”と言った「急所から離れた部位」に当てない限りは、充分にこの「ウルエナの群れ」に対しての
「うっ、うん……。
その”ジュウ”……って武器がスゴイのは、さっきのボアで分かってたケド……。
でも……でも、ボスゥ……!」
「……逃げるワケには行かねェよ……」
「どうして……ボスゥッ!?」
――今し方、
まぁ、無理もない。現実的に考えれば、”5対2”……と少数ながらも、「数の暴力」は目に見えているのだから……。
私がその場に居れば、間違いなく彼女の意見に乗っているだろう……!
だが……警戒したのかウルカノ達が、再び彼女を囲むようにしつつ”犬のお座り”に似た姿勢で、ボス達に鋭い
「それはな……オレが、
「エイ……ユウ……?」
「……普通の人よりも、何処かしらスゴイ所があって……普通の人じゃあ出来ない様な事をやってのける……スゴイ奴! ……って事だよッ!」
「……」
――ウルカノ達に注意を払うがために、横目に
「……それにな? オレはこの世界に来てから決めてるんだよ……!
もう”逃げ続ける人生”になんて、絶ッ対ッに戻りたくない……って。
だから……オレは逃げない。こんな
「……」
――自身の”戦う動機”を力説するボスであったが……相変わらずオルセットの視線は、何故か
「そっ、それによう……?
かっ、カワ格好良いオルセットを守るのは……おっ、男として当然だろッ!」
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! 〜
「……へッ!? おっ、オルセットッ!?」
――唐突すぎる事に、ボスは
それもその筈、彼は格好付けたかったのか……話の終わり辺りに、彼女の方に振り向きながら叫んでたのだが……再び”消失マジック”の如く、何故か
ボスも……解体したボアも……何もかも残し、逃亡して……!?
〜 ガブッ! ガブガブッ! プエェェッ! 〜
――だが、ボスの不運は続く……。
走り去った際に立ち込めた”一本の
一匹の”ウルエナ”が、彼が苦労して解体した”ボア肉”の背中部分を喰い千切り……「美味い!」と言わんばかりの鳴き声を、上げていたではないか……ッ!?
「ッ!? この野郎ォォォッ!?」
〜 キンッ! シュボッ! ズバンッッ! ニャインッ!? 〜
――状況を察したボスは、即座に
無論、結果としては……生まれて初めて味わう”
~ ……ピタッ、プニャ〜ンッ! プニャ〜ンッ! スルスルスルスル……~
「ッ!?」
――再び背後……先程、ボスがウルカノ達を見ていた方向に、またまた不穏な唸り声を聞いた彼が恐る恐る振り返ると……? そこには、ウルカノを含めた”5匹”のウルエナ達が
「……マジかよ、群れは元々”6匹”だったって事か……ッ!?」
……
……彼の内心では、冷や汗を流すしかなかった……。
今し方のウルエナ達の攻撃が、余りにも
木の枝や天井の
自然界では、様々な
それが、”ウルエナ”の場合は――”戦力”などで大事なハズの”群れのメンバー”を
こう言った動物にはない”あり得なさ”が、「動物」と「魔物」を明確に分ける違いなのかもしれない……!
「……クソッ!
……何なんだよ、コイツら……ッ!?」
……そんな
……。
……考えてなかった……ヤバかった……。
……その沈黙は、そう言った”図星”なのだな?
……分かった、もう
――今更感しか感じらないが、やっとマトモな心構えになったのか……?
……頼むから”黙る”か、もっとマシな”実況”をしてくれよ……!
……
そして、私の言葉を聞いて安心したのか……未だ怯えを見せるウルカノ達に対し、長い深呼吸の後にボスが切り出す……!
「……フゥゥゥゥゥゥゥ……OK、ウルエナ供?
正直
――首を傾げたり、お互いの顔を見合わせを続行していたウルカノ達であったが……ボスの”高圧的な物言い”は
「その犬
……今から……テメェらを……”敵”として
――物凄い”上から目線口調”なのが尺に
語っている最中の彼は、ジョジョにだったが”顔中”から次々と、汗が吹き出し始めていたのだから……。
だが、これまた驚きだ……! 再び、ボスの”言動”か……はたまた、彼の”
そして、彼もまた負けじと威嚇代わりの”不適な笑み”を浮かべ……左手に握っていた
そして、左側の
「一応、狡猾……”賢い”って事で言ってやるが……。
テメェら……こう思っているんじゃあないか? 「コイツ、ブキ、モッテナイノニ、ナゼ、アキラメナイ……!?」……って、感じに?」
――ボスの言い分を聞き終えた瞬間、ウルカノは「ッ!?」……と、息を飲むかの如く臨戦態勢に低くしていた姿勢を、”神社の
……ただその時の周囲の雄達は、そんな彼女の態度をただ見つめて「
「……ホント、テメェら人間臭ェなぁ……ッ!?
まぁ、いいや……じゃあ、何でそんな自信満々なのか……教えてやろうかァァッ!」
――と、両手を”斜め45度”……魔法使いが、魔力を
彼の両手が再び”赤く”光出たかと思った瞬間、
これまた初めての経験に、一瞬目を閉じ怯んでしまうウルカノ達……。
〜 キキンッ! シュボッ! ズバンッッ!
ニニャインッ!? ……ドサッ!〜
――だが、彼女達が目を開けるよりも早く……
〜 ザッザッザッザッザッザッ……ブウゥゥンッ!
ザドシュゥゥッ! ……ドサッ!〜
――次に、何かが
〜 ブウゥゥンッ! ……ゲシャアァァッ! ニャインッ!?
ザッザッザッザッザッザッザ……ッ! 〜
――そして、何かが
〜 ……プッ、プニャ〜ンッ! プニャ〜ンッ! …… 〜
――自身の周囲に転がる4体……いや、3体の
〜 ……プニャ〜ンッ! ザシュウッ! 〜
――嫌な音がした方向を向けば……立ち上がるニンゲンの足元に、ピクピクと
「……フゥ〜とまぁ、こんな感じだ。
筋トレついでに毎日、海辺の道路で”走り込み”をしていた
――いや……未だ困惑しているあそこのウルカノのように、そんな突拍子もない理由じゃあ訳が分からないぞ? ……ボス君? 一体、赤い閃光を放った後……
……何って、
撃って、ダッシュして、斧を叩きつけて、近くのオスを蹴り飛ばして、またダッシュして、引き抜く暇がなかった斧の代わりに、解体用ナイフで
……スゥ、OK……OK、OK……。
自覚はないかもしれないが……君も
……ハァ?
――一応、○者の皆さんには補足しておこう……。
前話では、「ストレス緩和」のため調子に乗る発言をしていたボス君だが……だからと言って、
……”フリピス”という
「2丁、3丁と出したが……パッと見、見た目は変わらない感じだな……。
て言うか……何で、毎回手が光るんだ? しかも
発しているオレでも眩しいぐらいに……。 ……んっ?
……と、先程の「ガン
「
……と空中に表示される”ステータス画面”と
「ガンクリ」の”
今回のウルカノ達による”対多数戦”や、”リロードに時間を裂けない”状況では、
……おいっ、おいッ!
――んッ? 何かね……?
途中から、急に
……少し、休憩していただけだ。
……まだ、敵が残ってるってのに呑気な……!?
それよりも、まだあのウルエナが困惑してるようだから質問したいのだが……。
……?
目眩し……と言う有用性でガンクリをする事は、さっき見ていて分かったのだが……。何故、予め複数丁の
……はッ? しなくて当たり前だろ?
そもそも、オレは”アイテムボックス”や”インベントリ”……”ゲーム”や”ラノベ”なんかじゃあ当たり前な、「無限収納、次元収納、四次元ポ○ット」……そんな、
……だが、なくても複数丁は持てるだろ?
バカかッ!? ゲームとかじゃあ、あんまり表現されねェけど……
オレが好きな拳銃の一つ、「M1911」……通称”ガバメント”なんかは大体「1,1kg」、1
んで、体感だけど……ガバメントに近いか、それよりも
”銃弾”だって、たくさん持てば重いのにッ!?
――なっ、なるほど……。
要するに「装備やアイテムの重量制限」があるのか……。
だが……そろそろ私に怒鳴るよりも、あのウルエナの方に注意した方が……!
……気の性と思いたいけど、なんかお前と話している間……やけに
――まさか!? 君は、そんな”メタフィクション”が
……気の性だと思っとこう……。
「……さて、ウルエナさん? 群れは壊滅、対処法は分からず仕舞い……。
つまり、圧倒的な形成逆転したワケだが……まだオレらの獲物を狙うつもりか?
……因みに、武器はまだまだだせるぞ?」
――と、左の胸ポケットから既に空になった
何故なら、さっきの台詞は”
”まだまだ出せる”とは言ったが、実際は「残り一丁分」を
出したら最後……気を張らないと、
獣との交渉なんてバカらしい……地球じゃあそれが当たり前だろうが、やけに人間臭い”ウルエナ”ならもしかしたら……!?
……と彼は、”
〜 ……プウェェェウェウェウェ! ……プウェェェウェウェウェ! 〜
「……あっ? なんだよその鳴き声……!?
さっきからその笑い声みたいな鳴き声に、ムカついてはいたが……。
そんなあからさまに、”笑っている”みたいな
〜 ……プウェェェウェウェウェ! ……プウェェェウェウェウェ! 〜
「……おい、やめろ! とっとと諦めて、別の獲物を探せッ!」
〜 ……プウェェェウェウェウェ! ……プウェェェウェウェウェ! 〜
「……クッ、黙れって言ってんだろうがッ! このクソッタレェェッ!」
……不気味! ……圧倒的、不気味ッ!
ギリギリとは言え、未だ”切れる手札”があるボスに対し……まるで、
この耳障りで不気味な雰囲気の鳴き声を前に……ボスは只々、困惑を隠すために彼女を怒鳴りつける事しか出来なかった……。
〜 ……ザッ、ザッ、プウェェェェェェェッ! 〜
「ッ!? のわぁぁぁッ!?」
――なんとなんとッ!? これまた予想外ッ!
ウルエナ周囲の”取り巻きである雄達”を倒したのに……背後から忍び寄っていた
〜 バタンッ! プウェェッ! ガブッ!
プウェェッ! ガブッ! ガブッ! 〜
「クソッタレェェ……!
ホント……テメェら、奇襲が好きだよなぁぁ……ッ!?」
――飛びかかる直前辺りで、背後からの足音に気付けたボスだったのだが……。
ご覧の通り、一歩遅く……振り向いた瞬間に押し倒されてしまったのである……!
そして、”喉”や”首元”目掛け噛み付いて来るウルエナに、彼は”首”と”顎下”を何とか掴み、噛まれまいと必死の抵抗を試みる……ッ!
「けどなぁ……このまま喰われて……
〜 プウェェッ! ガブッ! プウェェッ! ブゥゥンッ! バキァァッ! 〜
――数回に渡る攻防後、ボスはウルエナが一瞬高く首を上げる瞬間を見つけ、そのタイミングに右拳で奴の”目”を狙い、”右フック”で殴り抜いたのだッ!
これには、奴も
だが彼はその
〜 グサッ! 〜
――よろけから立ち直ったウルエナが、噛み付いてくる瞬間を狙って首に突き刺したのだ! ……だがしかし……ッ!?
「ッ!? クソッ! 逃すかよッ!?」
……しかしながら、ボスがそう思ってしまう程に……
〜 ガバッ! ギュウ……ッ! グリッ、グリグリ……! 〜
――だからこそ彼は、
〜 ドサッ! 〜
その甲斐あってか、何とか奴は倒れたのだが……ただ、終わった後もその絵面的には……その……恐らく……一部の人以外、
人が必死こいている時に、なんて実況してんだよッ!?
あるからなッ!? 武術としてッ! 「総合格闘技」や「ブラジリアン柔術」とかの、”寝技”にこう言う技あるからなッ!?
――とまぁ、内心は荒ぶっていたが……外見では奇襲してきた
〜 プウェェェェェェェッ! ……ザザッザザッザザッ、バッ! 〜
「どわぁぁぁッ!?」
――しかし、彼の運命はとことん”
安堵して直ぐに起き上がらなかったボスも悪いが……それ以上に、今し方撃破されたウルエナを見たウルカノが、
「クッ! この……ッ! 退きやがれェェ……ッ!」
――さらに分が悪い事に、先程のウルエナと違い……ウルカノの「
言葉は全くないモノの、まるで
「ハァハァハァハァ……クソッ! クソォォォッ! クソォォォォォッ!」
――根気も充分あって……そう語ったように、ボスの”体力”も、”根性”も
それ以前に、友人の”シベリアンハスキー”に偶然馬乗りにされた際は、難なく退けられたのに……! 先程のウルエナは、そのハスキーよりも”チョッピリ重く強い”ぐらいだと思ってたのに……! 何なんだよコイツはッ!? この強さはッ!? 重さはッ!?
圧倒され続け、反撃の隙も見えない彼が出来た事は……
〜 プウェェッ! ガブッ! ガブッ! プウェェエェェッ!
ガブッ! ガブッ! ガブッ! ブゥゥンッ! スカァッ! 〜
「ッ!? ダァァァァァァァァッ! クソォォォォォォォォォォォッ!」
――運命はボスを
最後の賭けにと、先程と同じように放った”右フック”が
しかしながら、そんな彼の雄叫びに一瞬怯む……と言ったご都合展開もなく、彼女の鋭い牙が……防御の間に合わないボスの”喉”目掛けて突き進む……ッ!
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! ドッゲシャァァァァッ! 〜
……しかし、運命はボスを
何故なら、どこか
……いや、正確に言えば
……そして、喰らった彼女は……その
〜 ヒュゥゥゥゥンッ! ドガァァァッ! ガサァァァッ! 〜
……その後、ウルカノは叩きつけられた樹木の根本にあった”茂み”に落ち、生死不明になってしまったが……少しの間は起き上がりはしないだろう……恐らく。
しかしながら、熟練の
「アァァ、イッテッテェェ……アレッ?
ウルエナは……ッ!? お、オルセットッ!?」
――そう言いながらゆっくりと上半身を起こすボスの視線の先には、チョッピリ息を切らしつつも平然と
一方で彼女は、すぐには彼の呼び掛けに応じず……蹴り飛ばしたウルカノの方向を何故かジッと見つめていた……。
〜 ……クルッ ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…… 〜
「な……何だよ? オルセット……?
何で……そんな……怖げな顔をして……!?」
〜 ……ガシッ! 〜
――少しの間見つめ続けた後……振り返っては無言のまま
〜 ザッギュゥゥゥゥンッ! 〜
「ドワアァァァァアァァァァアアァァァァァァッ!?」
――西部劇などで
〜 バッ、キキキキキィィィィ〜ッ! ゴロンゴロンゴロン……ドサッ! 〜
――数分後、「トルガ村」付近の森で少し開けた場所に、オルセットは自身の脚に”急ブレーキ”を掛けるかの如く止まった。
だが、止まる直前に……何故かボスのジャケットの襟を掴んでた左手を離してしまう……。無論、その時は彼女の”消失マジックの如き速さ”は、消え切っていなかった。
……そのため、駅で急ブレーキする電車に乗っていた際の”
「……ゲホッ、ゲホッ! ……ハァハァハァハァ……。
デロリアンで西部開拓時代にタイムスリップした、
……さて、何故か”
……おい、お前の好きな”オフザケ”だぞ? ノッテみろよ……おいッ!?
……何処が私への”皮肉”となるのか、”
オイッ!?
――ようやく諦めがついたのか、自身にゆっくりと迫る足音が聞こえて来ていたので、うつ伏せになっていた状態から顔を上げると……
恐る恐るボスが更に見上げてみると、そこには勿論……自身を見下ろすように佇むオルセットが居たのである。
「……よっと、フゥ……。
……オルセット? まず……オレを助けてくれた事には、感謝してるよ……」
――全身に付いた汚れを払いながら立ち上がると、とりあえず”助けた事”にお礼を言うボス。
「けど……何でだよ?
何で、オレに何も言わず……突然、逃げたんだ?」
――語気が強まり始めるボスに対し……真っ直ぐ見つめていたオルセットは黙ったまま一瞬、目を
「それに……! さっきみたいに、ウルエナ供と戦った場所から
――よりボスの語気が強まるも、彼女は目を逸らしたまま黙り続けた……。
「……なぁ? そのままダンマリとかやめてくれよ?
助けてくれた事には、ホント感謝してる……! けどな? 今、大事なのは……何で、逃げたり引きずったりした”
オレは今、聞きたいんだよ! オルセットッ!?」
――ジョジョに語気を強め、最終的には怒鳴るようにオルセットに言ってみるも……彼女は怒鳴られた際に、一瞬目を
しかし、この態度に彼は
「なぁ!? 頼むよオルセットッ!?
この質問に答えるのはそう難しい事じゃあないだろ!?
ボア肉もそうだけど……それ以前にオレは、
〜 ブゥンッ! パチィィンッ! 〜
「ヘボしッ!?」
〜 ズザザザザザァァァァァァ……ッ! 〜
――「……な、何が起こったんだ!?」
……自身の間抜けな悲鳴を棚上げしつつも、ボスはそう思っていた。
無論、そうだろう。言い終わろうとした際に、左頬に
そして、先程の転がった際の慣性のように……今度は軽い土煙を上げながら、クロールの息継ぎ
「ウッ……イッタッタッタ……」
〜 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……バタンッ! 〜
「……ボスのバカァァッ!」
――滑った部分の痛みを
「……え?」
「バカッ! バカッ! バカァァッ! ボスのバカァァッ!」
「わ、分かった! 分かったからッ! 落ち着けッ! オルセットッ!」
――何やら、オルセットに勘違いされている模様であると悟ったボス……。
彼女を退かしてから、誤解を解こうと上半身に力を込める彼だったが……
覚えのないダルさを前に……慌てて「ステータス」を確認すると、彼は目を見張ってしまう……!
ボアとウルエナとの連戦によるものか、いつの間にか彼自身のレベルが「2」にアップしていたのだ!
だがしかし……「HP:11/121(VIT:+7)」と、
「おっ、落ち着く……? 落ち着いてられないよッ! ボスゥッ!」
――いつの間にか、話が進行している事に気づき……一瞬”ハッと”なりつつも、何とか現実に戻ってこれたボス。
「わっ、分かったよ! だけど”何が”なんだッ!?
”何が”オレがバカだった事なんだ!? ”何が”落ち着いてられないんだッ!?」
――「
「だって、だって……!
さっきボスは、ボスは……! ギリギリ、
「……えっ?」
「……えっ? じゃあないよッ! ボスゥッ!
何、オトボケな顔をしちゃってるのさッ!? 心配して当然でしょッ!?
逃げようって言ったのに、逃げなかったのもバカな事でしょッ!?
……戦って……戦って! 死んじゃうって事はッ!?」
――「オレが……死ぬ……?」
これはどういう事かと言えば、ウルエナ戦時に彼の中で渦巻いていた「彼の思い」はこうだ。
「絶対にボア肉を守る!」、「絶対に逃げずに、テメェらを倒してやるッ!」
……それに関する事以外、
……”ちっぽけな逆境”という……
人間、誰しも”余程の事”や”覚悟”がない限り……「別に死んでも良い」なんて常に思わないだろう。ましてや……織田信長が「人間五十年、
無論、彼の記憶にハッキリとあるのは「ショッピ
……そんな、自身の感性をオルセットに気付かされ、いよいよ自身の記憶喪失も……本当に
「……じゃあ」
「……ッ?」
「……じゃあ、オルセットは……そんな事を言うぐらい……
……不意打ち気味に、呆然としていたボスから質問を掛けられ……思わず目をパチクリさせてしまうオルセット。少しした後、見つめ合うようにしていた視線を逸らし……右手の甲で涙をゴシゴシと拭いながら、彼女は口を
「……ないよ」
「……えっ? じゃあ、なんで……!?」
「ないよッ! そりゃあないよッ!
ボクだってボスと同じ、”キオクソウシツ”しているんだしッ!」
「……まっ、まぁ……そうだよなぁ……」
「でも! ”キオクソウシツ”しているけど……ッ! 覚えてないけど……ッ!
なんか……こう……スッゴク、
――「体が覚えていたんだろうな……。あの走りも、蹴りも……!」
驚きつつも、ボスは
「……じゃあ、オレに会うまでに
「そっ、それは……」
――再び目を逸らしてしまうオルセット。
「……言いにくい事なのか?」
「……」
――目を逸らつつ、
「……大丈夫。
笑ったり、変に言ったりしないから……オレに教えてくれないか?」
――そう言われると、オルセットは目を逸らつつも何度かボスをチラチラと見た後、彼の耳元近くまで頭を下げて……?
「……逃げてた……」
「……えっ? よく聞こえないぞ?」
――オルセットが、表情を見れない事を良い事に……チョッピリ、悪戯っぽく微笑みながら言うボス。
「にっ、逃げてたんだよッ!
……”魔物”や、”ヤトウ”に……会ったらすぐ……”ピュ〜”……って……」
――思わぬ怒声に慌てて耳を
しかしながら、その後のオルセットの発言は……何故か、声が尻すぼみに小さくなって行ってしまう。
「アレ、おかしいなぁ?
オレと会った際は、
「いっ、言いたくないでしょッ!
ボスが”優しいニンゲン”だって事、分かんなかったんだし!
後……はっ、恥ずかしいワケだし……」
――再びボスと目を合わせて怒鳴っていたオルセットだったが……またまた目を逸らしながら声が尻すぼみに小さくなって行く……。
その際に若干、
「あぁぁぁッ! ボスゥゥゥッ! 笑わないって言ってたでしょッ!?」
「
だからそう……軽くても、ポカポカ殴るのはやめてくれッ! マジで死んじまうぞッ!?」
「……えっ? あっ、ごっ、ゴメン……ッ!?」
――彼女の軽い”猫パンチ”が眼前で交差する両腕に当たる度……ジョジョにだが、先程の
「……エッ!?
「ねっ、ねぇ……ボスゥ?
何で……突然、”死んじゃう”なんて言うの?」
「……さっき、オルセットに殴り飛ばされて……オレは今、瀕死の重症……」
「……ヒンシノジュウショウ?」
「……さっき言ったように、”死にそうな大怪我”って事だよ……!」
「えっ!? ウソッ!?
あれ、
――「……”パンチ”だと思ってたのに、”軽いビンタ”で瀕死にされるオレの”紙体力”って、一体……!?」
体と共に、自身の
〜 ポタッ、ポタッ、ポタポタッ、ポタッ……_ 〜
「……?」
「ウグッ、ヒグッ……ごっ、ゴメンねェ……! ボズゥ……ッ! ゴベンねェェェ……!」
――知らず知らず、ウルエナ以上に
”紙体力”な事も含め……少し複雑な気持ちになっていたボスであったが、それ以上に彼女が純粋に自身を心配してくれていた事や、ビンタした事を今のように号泣する程に謝っていてくれていたため……彼女を嫌に思う気持ちは直ぐに四散していた。
そして、彼の胸元に顔を
「分かった、分かったよ……オルセット……オレも悪かったって……。
オレが”死ぬかもしれない”……って、心配掛けちまったんだよな?」
「……うん」
「……で?
オルセットとしては、”逃げるべき”と判断した事を……オレは”逃げない”って言ったから、オレがした事は”バカ”だったと?」
「……うん……。やっと……分かった?」
「あぁ……身に染みて分かったよ……」
「……?」
「……今みたいに、”痛いと思うぐらいに理解した”って事!」
「……へ〜」
「……ただし、
「……ゴメン」
「……分かったなら良いよ、オルセット」
――「……こんなにも、オレの事を思ってくれる奴って……家族以外に
記憶喪失の身であるため、正確には覚えてなかったモノの……少なくとも、家族以外でこのような
「……じゃあさ?」
「?」
「何で……何で、オレを助けてくれたんだ?
オルセットの
「……アイソヲツカス?」
「あぁ……好きじゃあないとか、相手にしてらんない……って事な!?」
――彼女の扱い方をまだまだ難しいと感じつつも、
すると、未だ涙を流しつつも埋めていた上半身を起こし……小首を傾げていたオルセットが、ジッと彼の眼を見つめ始めたのだ。そして、今更気づいたように慌てて右手の甲でゴシゴシと涙を拭くと……軽く俯きつつも、ポツリポツリと語り出すのであった……!
「
「ッ!?」
「それを
だけど……戦う事はバカバカしいって覚えてたから、ボクは……逃げちゃって……。
……けど……戦いたくなかったけど……”オクビョウ”なボクだけど……。
それ以上に、「ボスを助けたい」って気持ちが……逃げている時に大きくなって……」
「……」
「だから……助けたんだと思う……。
ボクも……
「……これ程思ってくれるなら……オレも”
「ぼ、ボスゥ? 大丈夫? ボクがビンタした所が……痛むの?」
「あっ? あぁ……大丈夫だ、大丈夫だ……。
ちょっと……目にゴミが入ってな……」
「えぇッ!? ほっ、本当に大丈夫ッ!? ボスゥッ!?
ボクのビンタで”ヒンシノジュウショウ”になったんだから、それじゃあまた……!?」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょッ!?
そこまで、オレは貧弱じゃあねェよッ!? 」
「……ヒンジャク?」
「弱々しい……って事だけど、オレはそうじゃあねェぞッ!? ……たぶん」
「……えぇぇ〜? どっちなのさ?」
「とにかく! 目にゴミが入った程度じゃあ、オレは死なねェよッ!」
「……よ、良かったァァァ〜ッ!」
――そう言うと、ヘニャヘニャと体の力が抜けたのか……再びボスの胸にゆっくりとダイブして行ってしまうオルセット。「……また涙と鼻水塗れになるのかぁ……」と、再び内心でタメ息するボスだったが……そんな呆れとは裏腹に、彼の両手は彼女の背中と頭に回され、再び彼女を慰めていたのだった……。
「……ありがとな、オルセット……」
――小声で呟くボスだったが、彼よりも耳の良いオルセットには丸聞こえだったようで「えっ!?」……と顔を上げ、お互いが至近距離で見つめうような構図が出来てしまう。
こういう場合、洋画などでは……問答無用で気持ちが
「お前さん達?」
――舞台は
腕を組み、右足の爪先を”トントン”と小刻みに上下させ……目の前で繰り広げられる寸前だった”甘ったるいシーン”に
不意打ちな声掛けに驚愕を隠せないボス達は、お互い飛び退くように離れ……その場に正座した。
無論……オルセットの方は、何故かボスを見て瞬時に彼を真似ただけなのだが……。
「べっ、ベルガ婆さんッ!? なっ、何でここにッ!?」
「……何で? 何でって、此処は”アタしゃ
薪割りしている最中に、そこの獣人の嬢ちゃんのギャーギャー声が、
――冷や汗が止まらないボス。
そりゃあ、あの”B級映画”にもありそうな「
……オルセット? 頭に”
「所で……?
いい雰囲気を邪魔して悪いワサけど……今日、
「「……あ゛ッ!?」」
――その一言は、頭の中で必死に「ラブシーン」に対する
その後、ボスとオルセットによるお互いの必死な弁護も
しかし昼前辺りに出発し、既に夕暮れに近かった
結果、その日の夕食は再びベルガが採ってきていた、
チャン♪ チャン♪
<異傭なるTips> 部位攻撃
人間、”腕”や”脚”を無くしたとしても、
部位を無くした事による”心の痛み”や、”
しかし、
”魔物”は多種多様かつ、不定形な者も存在するため
(頭部)
人体の急所。貧弱な装備でも、高いダメージを狙う事が出来る。
負傷すると、ダメージを受けたショックで
負傷が深刻になれば__勿論、待つのは”死”だけである__!
(腕部)
人類の特許。高いダメージは狙えない部位の一つ。
負傷すると、
負傷が深刻になれば__道具や武器など”手で扱う物”を
余談だが__四足歩行の魔物相手では、”脚”と同じ効果が出る事もある。
(脚部)
人類のもう一つの特許。高いダメージは狙えない部位の一つ。
負傷すると、”移動速度”及び、”
負傷が深刻になれば__ダッシュする事が出来なくなり、歩く事すらままならなくなってしまうだろう__。
(胴体)
人体のもう一つの急所。頭部程ではないが、
負傷すると、生命維持に支障をきたしてしまい__通常時以上に”スタミナの減少”が早くなったり、
負傷が深刻になれば__勿論、頭部同様に待つのは”死”だけである__!
__と一部を紹介したが、これ以上は彼らの冒険を見て行く事で、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます