その日は、父に感謝を伝える日のはずだった。

 この短編には、余計なことは一切書いてありません。それなのに、その行間や空白に、様々な感情が読み取れて、共感や感動を生みます。
 父親のことが嫌いな主人公。父親は会社にもいかず、寝てばかり。そんなことだから、主人公は大学にも行けなかった。家事もできない父親に愛想をつかした主人公は、家を出て一人暮らしをしながら働き始めた。しかし思ったより仕事と家事の両立は大変で、主人公は初めて嫌っていた父親に理解を示すのだが……。

 当たり前は、当たり前じゃない。
 本当にあなたに大切な人はいませんか?
 その人がいてくれることも、当たり前ではない。

 深く考えられ、作られた短編。

 是非、御一読下さい。

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