第37話 長峰凍夜は生きた証を残した。

碧陽学園が甲子園三連覇をしてから10年が経った。


あの時、長峰凍夜と言う最強の球児がいた。その凍夜は甲子園でいや

野球においてとんでもない偉業を次々と成し遂げていた。

だから、世界中の全ての野球関係者が彼を獲得しようと甲子園に

来ていたり、碧陽に来ていたり動き回っていた。


しかし、誰もがプロで、メジャーで活躍する彼の姿を想像していた

だろう。でも、それはかなわぬ夢になってしまった。


甲子園決勝、9回2アウトまで追い込んだ凍夜。この時も完全試合を

成し遂げる直前で、球場全ての人があと一球コールを出していた。

そして、最後の凍夜の超速球、遙のミットに入り、審判がストライク

コールをし、ゲームセットを迎え、凍夜は甲子園三連覇、完全試合と

偉業を成し遂げたが、その凍夜は投げた直後にマウンドに倒れこんだ。


その時は騒然となった。遙や、洋子達、そして、早苗もスタンドから

かけつけたりした。その様子が世界中のメディアに流れ、さらに

混乱した。凍夜はすぐに救急車で運ばれた。しかし、凍夜は一度も

反応する事はなかった。


病院には部員全員、翔子達、碧陽学園の皆が集まってその凍夜の状態を

見守った。そこにめぐみ達もやってきて、めぐみは洋子達と

一緒に見守る事にした。


だが、翌日、医者から凍夜が亡くなった事が告げられ、全員が悲しみに

つつまれてしまった。


その事はすぐに公表され、学園側が色々迫られたりもしたが、洋子や早苗が

会見を開き、これまでの事を説明したりした。洋子はすぐにその場で

監督を辞任したり、早苗が凍夜の義理の母だった事も説明した。

碧陽学園三連覇は一瞬で暗いものになってしまった。


しかし、そんな中でも、凍夜の事を称えるべきだと、野球ファンが

集い、メディアでも、絵里や凍夜にかかわった人達が声をあげ

それが次第に評価を得て、碧陽への風評はやわらいだ。


そんな中、碧陽三連覇の祝賀パレードを開いたりなど、碧陽は

盛り上げていた。それも、凍夜を称えての事だった。

そして、洋子も監督に戻れる事になり、騒動から半年ほどで

碧陽野球部は活動を再開する事になった。それまでは少し自粛

していた。凍夜についてマスコミが何か月も碧陽にいたり

していたからだ。


それもおさまり、冬から動き始めたが、凍夜の事を知らなかった一年

の半分が止めてしまったり、問題を起こしたりしてしまっていたが

残った部員は凍夜を尊敬し続ける後輩が野球部をなくさないように

する為に動いたのだ。


そうして、凍夜が亡くなってから一年が経ち、その甲子園に碧陽学園

野球部の姿があった。


そして、その甲子園には凍夜の銅像が置かれていた。あれだけの

偉業を成し遂げた世界一の選手をいつまでも忘れないように

作られたのだ。


野球界でも、毎年、凍夜が亡くなった日は黙とうをし、長峰凍夜という

偉大選手を忘れないようにしていた。


その凍夜とめぐみの子であるゆいは大きく成長していた。物心ついた

時からめぐみに野球を教えられ、ゆいも野球を好きになり、自分から

進んで練習をするようになっていた。


その中で、自分の父親である凍夜の事をゆいは10歳になった時

初めて聞かされた。それまでにも野球をやっていたとかまでは

聞かされていて、亡くなっている事も聞いてはいた。


ゆいはそれを聞かされ、感動した。そして、自分が凍夜の後を継ぐと

めぐみに言った。その二人は今、アメリカに居て、ゆいはそこで

プロを目指し始めた。そのゆいの力はすぐに覚醒し、凍夜に近い

力を出していた。それがすぐにメディアに伝わり、日本でもさわがれ

ていた。超可愛い美少女がアメリカで活躍しているという事でも

話題になっていた。ゆいは美少女のうえ、スタイルも良いので

すぐにメディアがくいついていた。


そして、ゆいは自分が凍夜の娘だという事も公表し、その事はすぐに

世界中に広まり、凍夜の再来等と話題が沸騰した。


そのゆいは有言実行をし、学生時代、アメリカで完全試合をし

高校の二年の時に、日本に帰国し、三年の時、ソフトの大会で

全てを完全試合にしたり、次々と快挙を成し遂げた。


そして、ゆいは日本代表になり、世界大会でゆいはそこでも

パーフェクトをし、日本を世界一にした。そこからゆいは

アメリカでプロになり、引退まで負け知らずの偉業も達成し

ソフト、野球界にその名を残した。それは凍夜が生きていた

証を残す為でもあった。


その通り、凍夜、そしてゆい達の名前は永遠に野球界ではもちろん

世界でずっと語られる存在になった。そうして凍夜はこの世界に生きた

証を残したのだった。


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ラストボール!余命三年のエースはマウンドに生きた証を残す 3698 @daproject3

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