第31話 合宿一日目。碧陽野球部誕生秘話と凍夜強制混浴へ!

球場から旅館までは近いので、練習は遅くまで行われる。練習の

メニューは凍夜が考えているのでそれだけでハードな練習に

なっていた。

 

時間になり、初日の練習は終わるが、ほとんどの部員がしばらくそこから

動けないでいた。


「長峰、きつすぎないか?」

「それぐらいしないとダメだろ。お前らは」

「しすぎもよくないぞ」

「そうか。なら、別のを考えるか」


凍夜の事だから別のにしてもきついだろうと二年全員が思っていた。


旅館に戻ってから、遙達は風呂に行った。凍夜も誘うとしたが

凍夜は洋子と話があるからと言って断った。

その洋子の部屋に凍夜は訪れた。


「凍夜君、大丈夫?」

「ああ。何も動いてないからな」

「動かなくても倒れたじゃないですか」

「それもそうだな」


その部屋にはマネージャーの二人もいた。


「どう?一年生達は?見込みありそう?」

「そうだな。経験者とゼロからって極端なのが集まったからな。まぁ

去年やあいつらよりはましだ」

「ま、去年までのと比較しちゃうとね」

「あの、去年って夏に優勝してましたけど、それが悪かったですか?」

「ああ。ダメなのは俺が入る前の奴らだ」

「そう。あの時は私もなんとかしてあげたかったけど、皆全然やる気が

なくてさ。ほとんと小学生より弱かったと思うわよ」

「よくそれで甲子園勝ちましたね」

「私も不思議に思ってるわ。今でね。でも、それはちゃんと現実で

形にも記録に残ってるわ。だからこれからはそれを継続する為の

努力をしないと」

「そうだな。でも、俺がいなくなってから弱くなったっていう絵も

見えるがな。数年後ぐらいに」

「そうならないようにするのが私の仕事よ」

「でも、あんたもずっとここにいるわけじゃないだろ?話ぐらいは

あるんじゃないのか?他の学校からのスカウトとか」

「そうなんですか?監督」

「まぁなくはないわね。うれしい事に監督じゃなくてもコーチとして

来てほしいとか、指導してほしいとか色々話は来てるわ。しかも

強豪校からもそうでない所からも」

「すごいですね」

「あの、じゃぁ監督は」

「安心して。私はここから離れる気はないわ。私が作った野球部だからね」

「そうなのか?それは初耳だな」

「誰にも言ってなかったからね。話す暇もなかったし」

「私、聞きたいです」

「私も」

「俺も聞いてみたいな」

「あら、あなたも聞きたいなんて。じゃぁ話してあげよう」


そうして洋子は野球部を作ったきっかけを話した。元々碧陽の卒業生で

ある洋子はその在学中に野球部のマネージャーをしようと思ったが

その時の碧陽に硬式の野球部はなかった。だから、自分で作ろうと

したが、選手になれない自分だけでは無理なのもわかっていたが、それでも

チラシを作ったりして、部員を集めようとした。


そうして何人か話を聞いてくれた生徒がいて、五人集まり、とりあえず

部活にする事はできたが、それでも硬式ではなく軟式での形になった。

それは洋子が卒業するまで変わらず、卒業してからもしばらくは軟式野球部

のままだったが、洋子はどうしても碧陽で野球をしたかったので監督に

なる事を決め、そこからどうにか人数を集めようやく試合ができ去年の形の

野球部ができた。


でも、それから数年経ち、全然結果を残せなかったので、この年でダメ

なら廃部にもなりかねなかったようだ。そこに、凍夜が入ってきて

最弱から一気に最強になったのが今の野球部だ。


「監督がそこまで野球を好きだったなんてな」

「好きじゃなかったらやらないわよ。あなただって、気になったから

野球をしようと思ったんでしょ」

「そうだな。病室にいた時は、テレビを見るしかなかったからな。その

テレビにも飽きてて、唯一見れたのが野球だったな」

「あ、今度は長峰先輩の話を聞きたいです」

「うん、聞いてみたい」

「それはめんどうだな」

「まぁ、いつかは話してあげなさい。それよりお風呂に行きましょうか。入れる

時間もあるからね」

「わかりました。長峰先輩も一緒に行きましょう」

「女の方に行けるわけないだろ。それに俺は一人で入る」

「それが行けるのよ凍夜君」

「?」

「ここ、混浴なんだって。だらかあなたが入ってきても問題ないわ」

「それ、あいつら知ってるのか?」

「知ってるけど、もちろん入らないように言ってあるわ」

「なら問題ないじゃないですか。先輩行きましょう」

「おい」


凍夜は二人に連れられて混浴の方に向かった。そこはどうやら更衣室も

男女一緒で、そこには他の客も数名いた。しかも、若い子もいたが

凍夜が入ってきて、逆に喜んでいた。それはやはり凍夜がイケメンで

有名人だからだ。しかも、朱音や黒子もそれから洋子もだが、他の

女性もタオルもつけずに凍夜に見せる様に裸になっていた。


「どう凍夜君、女風呂の感想は?」

「ここは混浴だろ。なら何もかわらん」

「あいかわらずだね。普通の男の子ならアソコを手で隠したりするん

だけどね。あなたじゃ無理か」

「先輩は女の子に興味ないんですか?」

「ないっと言ったらうそになるな。今なら」

「じゃぁ少しは興奮してるんですね?」

「それはない」

「なんでないんですか?」

「それは秘密だ」


凍夜はめぐみの事は言わなかった。なので余計に朱音が積極的に凍夜に

くっついてきたりしていた。しかも、洋子も今はプライベートだからと

凍夜に豊満な胸を押し付けたりの逆セクハラをしていた。


そうして風呂から上がり、凍夜は部屋に戻る。そこで当然、遙達にどこで

風呂に入ってたんだと聞かれ、凍夜は隠さず混浴と言い、そこに居た全員が

うらやましがっていた。

それに当然凍夜はツッコみ、全員を黙らせてから、一人先に就寝した。


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