第32話 チートな凍夜の苦手なものはお菓子?

合宿二日目。凍夜以外の部員は体が悲鳴を上げているが、それでも練習は

続ける。二日目は、凍夜一人対全員の勝負をする。当然凍夜は全力では

出さず、今回は変化球を混ぜての練習だ。凍夜は変化球も全部できるので

予想するのはほぼ不可能だ。


だから凍夜は来た球に反応できるようになれと指示をした。が、当然

すぐにできるわけがなく、全員が三振をした。凍夜の変化球は世界一

の変化なので打てなくて当たり前だった。


それを休みながら何人かに行い、それでレギュラーも決めていた。

凍夜の球に当てれば他の投手ならヒットになる可能性があるからだ。

そうして凍夜が見て、洋子と話し合う。その練習だけで二日目は

終了した。


「じゃぁ今の所、このメンバーがレギュラー候補ね」

「ああ。ほぼ経験者だがな、一人だけ初心者から選んだ」

西川涼介にしかわりょうすけ君ね」

「ああ。地味だが、体力はある。努力もしてるみたいだからな。あと

こいつは理解しながら打席に入っている」

「理解?」

「相手の投手の投げ方を見たりしてからバットを見ている」

「それは皆そうじゃないの?」

「そう見えてるようでできてないんだ。それができるのがプロ

だからな。あいつはしっかり予想もして俺の変化球を最後に

当てやがった」

「なるほど。じゃぁ順番としては」

「一番だな。こいつが出れば後が楽だ」

「そうね。それであとは」


そんな感じで話し合い、その後、凍夜はすぐに部屋を出た。また

朱音達に混浴に連れてかれると思って先に一人部屋を出た。


そうして三日目になり、この日は練習試合をする事にした。

時間がないので、7回までのルールにし、六組に分かれ

試合を行った。そこでレギュラーも決める試合と言ってある

為、全員が真剣に勝負をする。


これで有利になるのは打者の方だ。昨日のもそうだが、凍夜の

超速球や変化球を相手にしてきてるので、それよりレベルの

低い相手なら大体打てるだろうと思っていた。


しかし、二年はともかく、一年は体力がなかった。凍夜の

訓練でほぼ使い果たしているので、普通に動くのもきつく

なっていた。でも、レギュラーがかかっているので一年

全員はやる気だけは見せていた。


そうして試合は続いていき、夜になり、三日目が終了した。

旅館に帰ってからも一年はあまり寝付けれなかったようだ。

レギュラーは学園に帰ってから言われるからだ。

そうして翌日になり、この日は練習ではなく、使わせてもらった

球場の掃除や整備、旅館の人達の手伝いなどもした。


そうして15時。碧陽野球部は旅館を後にした。


学園に戻ってきたのは夜の初め頃になり、全員グラウンドに

集まり、洋子が話し出す。


「皆、合宿お疲れ様。さすがに初心者の子達にはきつかった

かもね。でも、これをできないとこの先もレギュラーには

なれないからね」

「ハイ」

「じゃあレギュラーを発表するよ」


部員全員が緊張する。これで夏に試合に出るかが決まるからだ。

そうして洋子は名前を呼んでいく。やはり二年が中心で凍夜を

含めた八名が二年だった。そして最後の人で、洋子は凍夜と

話していた彼の名前を呼んだ。


「ぼ、僕ですか?」

「そうよ。一年からはあなたがレギュラーよ。これから一年生からは

一人、もし、それ以上の逸材がいたらその人数に合わせて決めて

行くわ。狭いけど、それを目指してもっと努力しなさい」

「ハイ」


そうして碧陽のレギュラーが決まった。ここからは地区大会、そして

甲子園に向けての練習になる。その間、凍夜は大会の三日前ぐらい

前まで学校自体にそれまでの間の休みをもらった。


その凍夜は家にいた。めぐみとゆいと三人で過ごしていた。


「なんか悪いわね。毎回休みを取ってもらう感じになって」

「気にするな。俺らはまだこんな年だからな。しかたない。俺より

お前に負担をかけてる方が悪いと思ってるよ」

「私に?」

「ああ。ここなら知り合いには会わないだろうが、あまり外には

出れないだろう。買い物行くぐらいでな。お前の歳で赤ちゃん

抱いて外に出るのがな」

「そうだね。ま、今はネットで買い物できるからね。それは

いいけど、たまには外で遊びたいわね。だから、ゆいちゃんが

寝てる間とかに公園にいったりはしてるよ。もちろん、10分

ぐらいにしてね」

「そうか。すまないな」

「大丈夫。私はすごい幸せだから。なんならもう一人ぐらい

作っちゃう?」

「お前が良いなら俺は構わんが」

「じゃぁしましょう。おっぱいもまだ出るからね」


めぐみはその気になり、子作りをした。凍夜はできるなら一人だけ

の方がよかった。めぐみに負担をかけたくなかったからだ。


なので、休みで家にいる時は凍夜が家事をする。料理も一流で

本当にできないことはないチートな凍夜。買い物をする時も

レジで並んだ瞬間にお金を出し、店員が打ち込む前にトレイに

お金が置かれているので店員はだいたい驚く。選びながら

計算をしてるからだ。


それ以外でも、家の中の掃除を完璧にこなしたり、何をすれば

節約になるのかも知っている。そして、夜でもめぐみとエッチ

の時も、初めてした時に、何も知らなかったので、めぐみに

頼りっきりだったので、エロの知識も全部覚えて、それを子作りに

いかしていた。


なのでめぐみは凍夜に聞いてみた。


「苦手な物?」

「うん。全部できちゃうからさ。凍夜って何かできない事って

あるのかなって」

「ああそうだな。初めてのものはできないぞ」

「でもすぐになれちゃうでしょ?本当にできない事とか」

「そうだな。嫌いな食べ物はあるぞ」

「え?でも、今まで何でも食べてた気が」

「ああ。今までさけてきてたからな」

「それって」

「お菓子だ」

「お菓子?」

「ああ。食べれなくはないが、苦手な方だな」

「そういえば間食とかしないよね。私は食べてるけど」

「小さいものに金をかけたくなかったからな」

「そっか。じゃぁ明日買ってこよう。何が食べれないかを

検証だね」

「楽しそうだな」

「うん。やっぱり一緒にいれるからね」


そうして翌日、凍夜はめぐみに言われお菓子を買ってきて、初めて

グミ、そしてこれも初めてのガムを食べてみた。凍夜の

苦手な物はガム系だったようだ。そんな風に凍夜は休みを

すごしていた。


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