神はどこに?

 生まれた世界で、神の加護が無かった。

 神の存在する世界で、他に人々は加護を持っている。

 それなのに、俺にはそれが無い。

 俺だけじゃない。ここにいる仲間は、みな加護が無い。

 そのせいで、辛い目にあっていたものもいる。

 俺は気づいた。神の加護が無いのは、俺が神だからだ。俺は加護を与える存在。

 その証拠に、敵対する存在は、みな死んだ。俺が殺した。

 しかし、誰からも罰せられていない。

 死ぬ間際に、天罰が下るといった奴もいるが、それを下すのは俺だ。

 能力があるのに、不当に扱われた存在を解き放ち、自由に生きるように進めた。

 その結果、街がひとつ滅んだが、こうなったのはこの街の連中が悪かっただけのこと。些細なことではない。俺の指示した結果、こうなったのなら、それが正しい。


「あれの思考、単純すぎて怖い・・・」

「加護が無いというのは、強者の証というのは、間違いではなりません」

「少し、知った気配がある・・・」

 城塞都市には、10人程生き残りがいました。それぞれ、強者のオーラを纏っています。

 その連中は、多少の差があれ、先程のような事を考えています。

「光と闇、それぞれの転生者ですね・・・」

 それなりに、戦功を上げたけど、神の域までは届かなかった存在のようです。普通に生きれば、それなりの暮らしを約束されるはずですが、道を間違えてしまったみたいですね。

「世界の秩序くらい、守れないのですか?」

 それなりの、力があるなら、それにふさわしい生き方をしてほしいものです。

 加護が無く、生き辛い思いをしていても、力があるなら打開できたはずです。神も、それを期待していたはずです。

「この行いが、神の望む結果なのでしょうか?」

 エメラルダ達が、この状況を黙認しているのは、介入する方法が無いから。それは納得しています。

 この場合、上司である戦女神の事が気になります。現状、地上にいるので心が人に引っ張られています。あの世界とは、ちがう思考になっている事は自覚しています。

「細かい事は、後で考えます。この状況を、私は許せません・・・」

 人の生死は、正直興味ありません。私が許せないのは、クズノハのこと。

 彼女の罪は、消せません。罪には罰を。それを実行したのは私です。実行させた原因は、あの連中にあるなら、理不尽な怒りをぶつけても良いでしょう。

「それだけの力が、私にはあるのだからっ!」

 正直に、真正面から戦いを挑む事はしません。

 不意打ち上等!油断しているほうが悪いですよ、ここ、戦場ですから。


「次は、何処を救済する?」

「隣の街のギルドに、面白い商人がいるらしい」

「なら、そこかな?」

「なるほど、神も一枚岩ではないようですね・・・」

 私の持つリスト、この連中も持っているみたいです。

「誰だ?」

「名乗るほどのものではないですよ、死に行く人には・・・」

 そう言いながら、2人ほど始末しました。

「馬、馬鹿な、この一瞬で二人も?」

「もう4人ですよ」

 続けて2人。弱すぎます。制限解除をする必要、無かったですね。レンの事もあるので、強化されたらどうなるか気になりましたが、大丈夫そうです。

 全力で殴るだけですが、それだけで敵は木っ端微塵です。

「俺達は、神だぞ、それが何故死ぬ?」

「あなたたちは、人ですよ。神では在りません。それと、神でも死にます」

 実際、殺した事ありますからね。あの世界には、神も混ざっていました。

「俺達を殺す、お前は何者だ?」

「何者でしょう?」

 そういわれると、考えてしまいますね。

「もらった!」

「あげません」

 少し考えたので、生まれた隙を突いて、攻撃されました。でも、無駄です。

「まさか、貴方様は?」

 私を見て、動きを止める存在もあります。

「どうする?」

「「貴方様の、手にかかれるなら、喜んで!」」

 そう言って、二人同時に襲ってきます。かつての部下ですね、気配に覚えがあります。ここで、私が殺せば、導いてしまいます。でも、使える配下は必要なので、遠慮なく、手にかけます。

「俺は、嫌だ、神なんだっ!」

 最後の1人が、逃げ出します。これは、光の方にいた奴ですね。

「見苦しいです。神を名乗るなら、最後までしっかりとしてください・・・」

「お前は、何なんだ?何で、俺達を・・・」

「私は、何なんでしょうね?」

 あっという間に、神を名乗った永遠の正義という連中を始末してしまいました。

 実際問題、私は何なのでしょう?

 休暇で、異世界に来ただけの、ただの存在だったはずですが、色々と考えてしまいます。

 命を奪うことに、ためらいはありません。でも、クズノハのときに感じた気持ちは、失った感情です。使命とか、色々と考えて、感情が薄れていたはずなんですけどね。自分を騙していただけなのでしょうか?

 神様に祈っても、答えが来ない事は知っています。神とは、そう言う存在です。いるのは確かですけどね。

 ここまで考えて気がつきました。

 これ、試練です。

 あの上司が、休暇をくれた事を、疑うべきでした。

 最初から、この休暇は、私への試練です。

 確かに、かなり長い時間、自分で考えるという事を放棄していました。効率重視の、流れ作業。これだと、あの人喜んでいませんね。ある意味、人の存在は神を楽しませる為にあります。

 あの人に、みられていると言う事は、私の喜びだったはずですね。

 戦女神様の事、いつから見ていなかったのか、思い出すと怖いです。

「これも、酷いですよね?」

「そうです、人が心配しているのに、他の人のことを考えています」

 やって来た二人は、私を見て膨れています。

「人の心を、読まないでください」

「そんなこと、私達には出来ません」

 出来そうですけどね、この二人なら。

 そうですね、これだけ想われるというのは、嬉しいものです。嬉しさは、力になります。

 まだ、色々と私には不足しているのでしょう。

「次は、何処に行きますか」

 試練は、まだ続くみたいです。









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 中途半端ですが、これにて一端この物語は終わりです。

 私達の冒険はこれからだENDです。

 色々と、練り直して続くかどうかは、未定です。

 

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