第三部第4話「燃ゆる陽炎」

スフバール聖鉄鎖公国における”終末の巨人”との戦いから約ひと月が経過した。


《ハルーラの禁術》によって奈落の領域に一時追放された巨人がどこに現れるのか、情報収集に務めていた”星月巡り”一行は、巨人との戦いを共にした”天翔ける流星”トゥーマ=ゼイルからの報せで、巨人がブルライト地方に再出現したという情報を得る。


巨人との正面対決以外で、竜騎兵団の存在を高く買えるところがあれば紹介してほしいというエルヴィン王の言伝を耳に挟みつつ、”星月巡り”一行は約2年ぶりにブルライト地方に戻ることとなった。


旅路の末に一行が足を踏み入れたのは、ブルライト地方北部にあるラージャハ帝国。ブルライト地方の覇権をハーヴェス王国と争う軍事国家だ。人族蛮族の垣根すら問わず優秀な者を登用し、拡大路線によって周辺諸国とは緊張関係にある。


街中の酒場で情報を集めていたところ、“終末の巨人”はラージャハ帝国、マカジャハット王国、ハーヴェス王国の丁度中間の地点に出現し、マカジャハット王国を目指してゆっくりと西に進んでいるという。マカジャハット王国にはほとんど軍事力がないため、ハーヴェス王国とラージャハ帝国の両国騎士団の連携による迎撃作戦が講じられているという。


冒険者のギルドの支店にも志願兵を募る依頼書が張り出されていた。”救世の聖女”なる人物が旗印となり、勝利と栄光は間違いなし、と謳われている。だがスフバールで巨人の強大さを知っている”星月巡り”一行は、それが無理やり戦力を集めるためのプロパガンダに見えてしまっていた。


さらに自分たちの手配書も貼り出されていた。情報伝達インフラの問題か、今この店にいる自分たちですら全く気付かれないような劣悪なものではあったが。


そして、一行はここでまたもやこの男と会うことになる。これで三度目。もはや誰も、これが偶然だとは思っていない。


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「ドーデンで出会い、ウルシラでも会い、そしてまたこのブルライトでも!これが運命ではなくてなんだろうか。ねえ、”星月巡り”の皆さん!」

―レヴィン=プラデッシュ

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一行の正体はすぐに露見し、ラージャハ帝国の当局に同行を求められることになった。


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「やあ、そんな目で見ないでくれよ。大枠では、僕は君たちの役に立ってきただろう?」

「今回もこうした方が、君たちが欲する人に会いやすいと思ってのことさ。ホントだよ!」

「まあそう言わずに聞いてくれよ。ラージャハの西、カスロット砂漠にある”元素の迷宮”に、聖戦士のひとり”炎使い”グレンダールが、自分の神器を封印している」

「え、神器は巨人を止められないじゃないかって?はは、まあそうなんだけどね…」

「さりとて君たちは現状、巨人に対して出来ることが少ないのも確かだ。ここは僕の顔に免じて、目的地に定めてもらえませんかねえ」

―レヴィン=プラデッシュ

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当局の丁重な拘束から”星月巡り”一行を解放したのは、約半年ぶりに会う人物であった。


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「久しぶりだな。長旅ご苦労だった。もっとも、俺は何の労いもしてやれないが…」

「ほんの数日前だが、クリスがハーヴェスに帰国したときに話を聞いている。お前たちも大分、苦労したようだな」

―”護国の騎士”シン=シャイターン

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“迅雷卿”ディード=スレインの名前で、ドーデン地方での数々の冒険を一行と共にしたハーヴェス王国の騎士団長・シンが彼らの身元保証人となった。彼は”終末の巨人”を迎撃するブルライト連合軍のハーヴェス王国側の代表として、ラージャハ帝国を訪れていた。


一通り現状の情報交換を済ませたあと、シンは一行に”救世の聖女”として喧伝されていた人物を紹介する。それは空中都市タージで別れた、もう一人の仲間であった。


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「シン将軍、この人たちは?」

「……仲間、さ。俺や、君の」

「じゃあ、あなた達がタージで一緒にいた人たち…ごめん、アタシ覚えてないんだ、貴方たちのこと」

―”救世の聖女”イオーレ=ナゼルとの再会シーンより

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再会したイオの首元の宝玉は砕けたままで、相変わらず記憶は戻っていないようであった。


シンとイオもまた、タージからの脱出艇が墜落してからの記憶が途切れているが、彼らもランドール地方で目が覚めた。《リザレクション》の魔法による蘇生の影響で、イオはほとんど動けない状態であったが、シンは彼女を守りながら蛮族の巣窟のランドール地方を徒歩で縦断し、2ヵ月をかけてハーヴェス王国に帰国を果たした。


その後、”終末の巨人”がブルライト地方に現れ迎撃のための連合軍が組織される折、”星月巡り”一行から王妹アイリス=ハーヴェスに宛てた手紙の中にあった、「巨人はオーブレイの遺物の一つであり、聖戦士の武器なら止められる可能性がある」という記述を元に、聖戦士の武器を持つイオとシンは連合軍に編入された。その際、イオーレ=ナゼルは士気向上を目的に"救世の聖女"という旗印となることになった。


もっとも、数日前に帰国した”白金の戦乙女”クリスに、巨人の強大さと聖戦士の武器が無力であった報告を受けてしまったが。しかし今更迎撃作戦を一からやり直しにするわけにもいかない。


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「全く希望がないわけではない。イオは巨人と共に再起動したタージの”管理者”として登録されているはずだ。聖戦士の武器に効果がなくても、こちらは何らかの効果があるかもしれない」

「楽観的かもしれないが、そのくらいしか当てがないのが現状だ。もし効果がなければ、彼女は俺が命に代えても無事に逃がす。それが役目だと思っているよ」

「いずれにせよ、蛮族が操る破壊兵器はどこかで止めなくてはいけない。イオに負担を押し付ける形になって心苦しくはあるが…」

―”護国の騎士”シン=シャイターン

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その後、シンの紹介で一行は”終末の巨人”と戦う連合軍の作戦会議に参加した。聖戦士の武器に効果がないことは士気への影響を考え、敢えて公表を控えたが、物理攻撃に比べて魔法攻撃や銃撃は多少有効なこと、対地攻撃の射程距離などの情報は実戦経験者の貴重な証言ということで重宝された。


結果として”星月巡り”一行は、証言の褒美として聖戦士の武器があると言われるカスロット砂漠の”元素の迷宮”の探索に関して帝国側で便宜を図られることになり、連合軍とは別行動を取ることに。シンやイオと、互いの息災を願いつつ別れることになった。



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「アタシの中にある力とやらが本当に役に立つのかわからない、不安はあるよ」

「でも、シン将軍が信じてくれるなら。アタシもあの人に守ってもらえたように、誰かを護れる力があるんだって、信じたいんだ」

「そうかぁ…だがイオ、あんただけは死んではいけない。命を粗末にせず、生き残ってくれ」

「これを君と今生の別れとするには惜しい。また、互いに元気で会えることを願おう」

「エノテラさんにドラコさん…だっけ。ありがとう。聖戦士の武器は通じないみたいだけど、それでも勝てると信じて、精一杯やってみるよ。こっちは任せて。そっちも頑張ってね!」


そうして別れたイオは最後に親指を立てて笑顔を見せた。記憶がなくなっても、”聖女”と祀り上げられても、彼女の前向きな笑顔だけは、以前のままに見えた。


―セッション内描写より

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“星月巡り”一行はレヴィンと共にカスロット砂漠へと向かった。旅人の往来が完全になくなった砂漠の中で、レヴィンは自分の正体を明かした。


レヴィンは、かつて降臨した聖戦士のように、この世界に受肉したラクシアの神の一柱だと名乗った。しかし聖戦士たちと違い、自分はこの大陸で信仰の習慣がないためほとんど力は持っていないとのことだが。


かつて見た夢の中で、神々と思しき者たちの議論の輪にいたことを覚えている者も多く、彼の正体に疑問を挟む者はいなかった。


レヴィンの第一の目的は、神々の世界から行方不明となっている”知識の神”キルヒアの捜索であった。


受肉した神々は、ベースとなった肉体が滅べば神として天界に戻る。かつての魔神王との戦いを経てほとんどの神が天界に戻り、大きく傷ついた魂を千年を費やして癒している最中とのことだが、主神ライフォスだけがついに戻らなかった。ライフォスの捜索と《大破局》の制御を目的にキルヒアは300年前に地上に降臨するも、これまた行方知れずとなってしまったという。


第二の目的は、聖戦士の武器の後始末であった。


地上に降臨した神々は人族の肉体をベースとしていたため、ベースとなった者の人としての人格と、神々としての魂の乖離が初期において聖戦士たちに多くの苦しみをもたらしたらしい。

聖戦士のリーダー・”勇者”ライフォスと聖戦士たちの頭脳であった”賢者”オーブレイは話し合い、ことを目的に、聖戦士の神器と言われるものを創り出したのだ。神器を持つことで彼らは人としての側面を弱め、神たる側面を前面に出しやすくなった。それをもって彼らは聖戦士となったのだ。


これは当代の間は役に立つものであったが、魔神王との戦いのあとに判明した不具合として、《聖戦士の神器の継承者は、暗示やマインドコントロールに弱くなる》というものが発見された。”賢者”オーブレイが生み出し所有していた”真理の杖”ル=ニィダは、さらにその制御を容易にするらしい。


オーブレイが狙って設計したかどうかは、わからない。だが聖戦士の末裔をコントロールできる魔法の品物がまだこの地上に残っており、しかもその”真理の杖”はオーブレイの死後、《大破局》のあと、誰にも行方がわからなくなってしまった。


レヴィンは、聖戦士の武器の”現代では余計な機能になってしまった”部分を中和する知識と技術を持って降臨したが、いかんせん普通の人間とほぼ変わらない肉体では神器の探索すらままならなかった。そこで、彼は30年ほど前から極少数の協力者と共に活動するようになったという。


そして、その協力者の親玉が、”元素の迷宮”で待っているとのことだ。


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「ちなみにこう見えても、僕は5000年以上前、最初に魔神王と戦った神々の一柱であり、第三のはじまりの剣カルディアを用いて一度目の封印に成功したんだ。凄いだろう」

「え、そんなことで粋がられても困る?はは、ごもっともだ」

「この大陸では無名なんだが、君たちへの信頼の証として真名を明かそう。僕は”風来神”ル=ロウドだ」

“自由なる風”レヴィン=プラデッシュ

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あまりにも荒唐無稽な話に聞こえるが、彼が嘘をついているようには思えなかった。


“元素の迷宮”は魔法文明時代の遺跡と言われており、その規模は広大で罠やガーディアンも強力であった。だが各所に”レヴィンの協力者の親玉”の痕跡がわずかに残されており、比較的安全なルートを辿れると共に試されている、と感じられた。


最奥で一行を待っていたのは、中年のドワーフの男性であった。彼こそがレヴィンの協力者であり、冒険者ギルドの頂点を担う”鉄血のギルド長”ハドルカ=ガドガリスであった。


ハドルカの祖父は、あるドワーフの部族長の側仕えであったという。その部族長は400年以上前に”炎使い”グレンダールとして神が降臨した。グレンダールは聡明で、聖戦士の武器の有用性と、その裏にある危険性に気付いていた。彼は神器を継承することなくこの迷宮に封印した。


ハドルカは30年ほど前にレヴィンと出会い、祖父の記録を頼りにこの迷宮を探索して聖戦士の武器のひとつ”紅灼の拳”オヴェロンを手に入れた。そして、レヴィンからこの世界の秘密を聞かされたという。


その秘密とは、



というものだ。


魔法とはこの世界の法則を乱すものであり、その歪みを是正する副作用として奈落の魔域や魔神を、”はじまりの剣の意思”が生み出している。


5000年以上前、第一の文明シュメルアの折。


はじまりの剣の原初の意思とは「自らを使って欲しい」というものであった。

それにより人族が第一のはじまりの剣ルミエルから、蛮族が第二のはじまりの剣イグニスから生み出され、終わることなき争いを繰り返していた。


しかしそれぞれの剣の主神ライフォスとダルクレムは闘争の果てに互いの力を認め合い和解しようとした。

それによって自らが使われなくなることを恐れたはじまりの剣は、魔神王という存在を生み出し全てを無に帰そうとした。風来神ル=ロウドは第三のはじまりの剣カルディアを手に魔神王と戦いこれを打ち倒し、カルディアの喪失と引き換えにこの世界を在り残したのである。


しかし、魔法が使われ続けることによりこの世界は少しずつ歪みを蓄積し、最初の戦いから4000年以上の時を経て、今から400年前に魔神王は蘇った。ライフォスは反対する神々を押し切って、はじまりの剣ルミエルを手に11人の聖戦士と共に魔神王と戦い、ルミエルを失うが魔神王を倒し世界を救った。


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「この世界は、はじまりの剣が生み出し、はじまりの剣の意思が支配する”剣の世界ソード・ワールドなのかもしれぬ」

「だが、それでは剣を失った人族は蛮族に大陸の主人たる地位を明け渡し、滅ぶべきか?ワシはそれはあまりにも救いがないと思っておる」

「ル=ロウド…レヴィンは、せめて人族は剣の意思から脱却し、自らの道を歩むべきだと言った。ワシも同意見だ」

「旧い記録を調べたが、聖戦士の中でも”賢者”オーブレイは、この問題に何らかの解決策を見出そうとした記録が残っておる」

「タージをその目で見たお前たちは、何かを感じただろうか。もしくは、何らかの道を見出したか?」

―”鉄血のギルド長”ハドルカ=ガドガリス

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“星月巡り”の一行はこの世界の人族の歩むべき道を訊ねられるが、さすがにすぐに答えられるわけもなく、ハドルカから”紅灼の拳オヴェロン”を託され佇むのみであった…


迷宮からの脱出時、”魔王の巫女”の手の者らしきアンデッドの軍勢に襲撃を受ける。強力な敵ではあったが、世界の真実を知ってしまい思い悩む一行にとっては、格好の八つ当たりの相手であった。


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「そういや、ドーデンで戦ったシモンはそんなことを言ってたっけな…」

「だが、あれこれ理屈つけてアレが悪い、誰が悪いだなんて、そんなことが今を生きる理由になるとは、俺は思わん」

「使わせてもらおう、こいつをな」

「理不尽に打克つは熱き鼓動。汝は”紅灼の拳オヴェロン”。世界に、勇気を齎すものなり!」

―バル=カソス

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====ボス戦闘====


デュラハンロード*1

ジャイアントゾンビ*1


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襲撃者を撃破し、迷宮から脱出した一行。


巨人との戦いの情報などを求めてラージャハ帝国に戻ったが、迷宮深部は時間の流れが外よりも遅くなっていたようで、数日の冒険のはずが外では半月以上が経過していた。


一行はそこで、予想を裏切る最良の報せと、想定だにしなかった最悪の報せを一つずつ得る。


良い知らせは、イオを中心とするハーヴェス・ラージャハの連合軍は”終末の巨人”の撃退に成功したこと。


悪い知らせは、ハーヴェス王国で大規模な内乱が起こる兆しを見せており、ハーヴェス国王ヴァイス=ハーヴェスに反旗を翻しているのは王妹アイリス=ハーヴェスであること。


はじまりの国・ハーヴェス王国で一体何が起こっているのか…?


次回へ続く。



【今回の登場人物】

セッション参加キャラクター

バル=カソス(グラップラー10)

エノテラ=テトラプテラ(バード10)

ドラコ=マーティン(コンジャラー10)

ライエル=クラージュ(ファイター10)

ルーヴ=デルタ=ヴォランティス(プリースト10)




“自由なる風”レヴィン=プラデッシュ 

種族:人間 性別:男性 年齢:外見30歳


第三部第2話「白日と青月」以来の登場。飄々とした捉えどころのない人物だが、タージ脱出後に見た夢では賢神キルヒアの側に仕えていた。

その正体は、第三の剣カルディアの神の一柱”風来神ル=ロウド”の受肉体である。しかし400年前に降臨した聖戦士たちとは違い、ル=ロウドはこの大陸で信仰されていないため力はほとんど持っていない。

この世界が”はじまりの剣の意思”によって、世界の住人による争いが絶えないよう計られた世界であることを知っており、せめて人族はその意思から解放されるべきだと考え、冒険者ギルドの長ハドルカを含むごく少数の者に世界の真実を伝えている。

5000年以上前、神紀文明シュメルアの末期、世界創造者の意思によって出現した魔神王とはじまりの剣カルディアを用いて戦い、剣を犠牲にこれを打ち倒した。

聖戦士の武器の正体を知っており、所在不明の"真理の杖"ル=ニィダの所有者に継承者がコントロールされる危険性があるとして、その不具合を埋める能力を持っている。"星月巡り"一行が持つ3つの武器、"翠星の弓"キルキナエ、"天空の槍"グングニル、"紅灼の拳"オヴェロンにその細工を施した。



“鉄血のギルド長”ハドルカ=ガドガリス (※公式NPC)

種族:ドワーフ 性別:男性 年齢:123歳


コルガナ地方にある奈落の壁の麓にその本拠を構える、冒険者ギルド本部のギルド長。

アルフレイム大陸の冒険者ギルドは、魔法文明末期に奈落を防ぐため建てられた奈落の壁を監視する守人の組織が源流となっており、この大陸のどの国家よりも歴史が古い。ハドルカは49代目のギルド長とされている。

戦略都市タージの巨大魔導砲による対地砲撃により冒険者ギルド本部は壊滅したが、本部に所属する冒険者は一騎当千の英雄揃いであり、人的被害は最小限に抑えられていた。しかし設備やインフラはそうもいかずギルドとしての機能が低下していたところ、その当事者から正確な情報を聞き出すため、また彼らに世界の真実を伝えるために、レヴィンを案内役とした上でカスロット砂漠の元素の迷宮の最奥で”星月巡り”一行を待っていた。

レヴィンを通してこの世界の真実を知っており、特に「魔法の使用」が奈落の魔域や魔神の出現の原因となっていることに頭を悩ませている。魔法は既にこの世界の人族の営みに欠くべからざる存在となっているからだ。聖戦士のひとり、頭脳役であった"賢者"オーブレイが、この問題を何らかの形で解決しようとしていたことを示唆した。




“救世の聖女”イオーレ=ナゼル 

種族:ティエンス 性別:女性 年齢:19歳 


愛称イオ。第二部最終話「遥か雲路の果て」以来の登場。聖戦士イーヴの末裔で”守護の斧”スワンチカの継承者。キングスレイ鉄鋼共和国の鉄道卿の後ろ盾の下、”星月巡り”一行と共に空に浮かぶ”忘れられた都市”タージを探索し、その最深部でタージの管理者として登録されるが、直後に”最後の聖戦士”オルエン=ルーチェの手によって殺害。ドラコ=マーティンの《リザレクション》で復活したが記憶を失う。

タージ脱出後、シンと共にハーヴェス王国に辿り着き庇護下に置かれていた。ブルライト地方に現れた”終末の巨人”に対抗出来る可能性があるとして見出され、"救世の聖女"として旗印となっていた。

エノテラとパーティーを組んで冒険者”紅の紫電”として活動したドーデン地方時代の記憶は戻っておらず、首元の宝玉は砕けたままであり、三つ編みだった紅い髪は宝玉を隠すようにおろしている。

以前に比べると落ち着いた物腰と言動を見せるようになったが、一方で自分を救ってくれたシンに精神的に深く依存している様子が見て取れている。

"終末の巨人"と戦い、これを撃退したと伝えられている。



“護国の騎士”シン=シャイターン 

性別:人間 種族:男性 年齢:27歳 


第二部最終話「遥か雲路の果て」以来の登場。ハーヴェス王国の騎士団長にして伯爵位を持つ貴族。第一部第4話「旧世界より」登場の王室議会書記官レイラの夫。”導きの王”ヴァイス=ハーヴェス王の命でキングスレイ鉄鋼共和国にディード=スレインの名前で派遣され、”星月巡り”一行と”忘れられた都市”タージを探索する目的を共にしていた。

タージ脱出後、《リザレクション》の後遺症でほとんど動けないイオを守りながら蛮族の勢力圏を生きて潜り抜け、ハーヴェス王国に生還を果たした。

“終末の巨人”に対抗するためハーヴェス王国とラージャハ帝国の連合軍が組織されることになり、ハーヴェス側の代表として、イオと共に”星月巡り”一行と再会した。

強大な巨人に対抗するにあたり、タージの管理者となったことでオーブレイの創造物をコントロール出来るかもしれないという一縷の望みを託してイオと共に戦う一方、記憶を失ったイオに負担を強いることに忸怩たる思いを抱えていた。

イオと共に”終末の巨人”と戦いこれを撃退したようだが…



【次回予告】


知っていたはずの世界が突然失われたとき、人はどうすれば良いのだろうか?


時代の狂気に呑み込まれ、翻弄されても、


人は誰かと共に在りたいと願うものなのだ。


たとえこの世界がそれを許さないとしても…


さりとて。


愛し合うものが、支え合うものが、争い合うことなど誰が望むというのか?


導きの王は故郷忘じ難く。梯の姫は自ら煉獄へと赴く。


人の意思は儚く、あまりに脆く。捻じれた輪廻を解く手段を持たなくとも


誰かが、この世界を前に進めなければならないのだ!


ソード・ワールドRPG第三部第5話「メビウスをなぞる」


冒険者たちよ、剣の加護は汝と共に。









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