第15話 朝の話① 先生の自己紹介

 次の日の朝の会。

みんなを見回し、満面の笑みで先生は、

「聴き手の様子を感じる発表カードを作ってきたの。

話し終わったら、これをみんなに分けて、

どんな技術を使ったか、解説するからね。」

と明るく言った。

そう言ったが、先生は、みんなを見回し、なかなか話し始めない。

なぜだろう。

朝は時間がないのに。

ちょっとの間をおき、

「始めます。」

と言い、再度、みんなを見た。

「私の名前は、松下です。」そう言って、また、みんなを見回した。

笑顔を振りまいている。

「私の好きなスポーツは」

で止まった。

何で止まるの?俺は、すらすら言ってよと思った。

野球?サッカー?バスケ?水泳?何人かが呟いた。

それを聞きながら、ニコニコ笑顔で机の下から四つ折りにした画用紙を出した。


絵が見えるように見せ、みんなの反応を観ているようだ。

すると、

「サッカーのユニフォームだ。」というつぶやき。

サッカー好きの石橋君が

「バルサのユニフォーム。サッカーだ!」

と叫んだ。

画用紙が開かれ、四つ折りが二つ折りになり、顔が半分見えた。

みんな見ている。

「メッシだ。やっぱりサッカーだ。」

今度は優君が呟いた。

サッカー好きはもう大混乱だ。

それを見ながら先生は、

「そうメッシがダブルタッチで抜くところです。

私の好きなスポーツは、サッカーです。

あんなに上手にできないけど、時間があったらサッカーに入れてね。」

と言って終わった。

教室は、まだ、ざわついていた。

少し時間をおき、

「こんな感じで自己紹介をしてくれればいいです。

自分の名前。

好きなことや挑戦している事、なんでも良いです。

好きな理由や挑戦に関係あることを付け加える。

これならみんな話せるでしょ。」

そう言ってみんなを見た。

それくらいなら、できると思い、俺は頷いていた。

みんなもそんな感じだった。

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