第16話 朝の話① 先生の自己紹介カード

 帰りの会で、先生の自己紹介カードが配られた。

「このカードを見ながら説明します。」と言って、先生が説明してくれた。


<先生の自己紹介カード> 

 話すことは左側①~⑥、聴き手の様子を感じる技術の説明は、右側。

① 始めます。 「間」をとりみんなを見る。視線が集まれば聞く準備ができた。

      聞いている子は視線で反応している。見ていない子には声をかける。

      視線でのキャッチボールをして次へ進みたい。

② 私の名前は、松下です。 「間」をとり、みんなの表情や態度を見る。

               笑顔なら受け入れてくれている。

               体を背けていたら、手立てが必要。

               視線や笑顔とのキャッチボールをしたい。

③ 私の好きなスポーツは    ここで切り、「間」をとりみんなを見る。

               なぜここで切るのと思ったり、どのスポーツと

               思ったりして、こちらを見る。

               スポーツの名前が呟かれたら、言葉での

               キャッチボールになる。

④ 四等分した画用紙を出す。  視覚情報、カラーの絵は興味を引くだろう。

         「間」をとり、絵を見てつぶやきが聴ければ、

               言葉でのキャッチボールができる。

       次の動きを導く「もっと見たい。」という要求が

                聴けたら、素晴らしいキャッチボールになる。

⑤ 開いて二等分した絵を見せる。 見せながら子どもの様子を観る。

「どんなスポーツか」

「自分の予想が正しいのか」といった、

                   自分の問いがあるので、集中して観る。

                   体の一部分から「メッシ」や

                  「サッカー」という子もいるだろう。

                  その言葉を受けて関係したことを言う。

⑥ 時間があったら、サッカーに入れてね。 最後に「間」をとり、全体を見回す。

                     笑顔や「いいよ。」と言った様子が

                    観たり聞いたりできればいい。


 俺は、話す内容より、聴き手の様子を感じることの方がたくさん書かれているとびっくりした。

「先生、こんなこと考えていたの?」という子もいる。

そう、今まで、考えたこともない景色が書かれていた。

驚いている俺達を見て、ニコニコしながら先生は、

「新しい世界。

入っていこうよ。

素敵な景色をきっと見ることが出来るよ。

学級の仲間と素晴らしい関係を築いていけると思うよ。」と言った。

素直に、こんなことが出来たらすごいだろうなあと思えた。

みんなも何か希望に満ちた顔をしているように感じた。

でも、心配性の春子ちゃんは、難しい顔をしていた。

それに気づいたんだろう、先生が春子ちゃんに、

「どうしたの?春子ちゃん。」と声をかけた。


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