第22話 エピローグ
帰宅すると、二人は岳斗の家の風呂に入った。試合の日のルーティンである。
今日の戦いは岳斗にとって、今まで自分が信じてきたことが、正しいと証明できた出来事だった。
それと同時に、これからも天記と共に戦い続けてゆこうと、強く心に誓った。
天記はというと、自分の力であの場を収束できたことで、これまでの岳斗の労に少しでも報いることが出来たのではないかとホッとした気持ちでいた。
二人は、心地よい幸せを感じながら湯船に浸かっていた。
しかし、今日は本当に疲れたようで、天記は湯船に浸かり、ウトウトしながら帰り際のことを思い出していた。
バスに乗る前、天記が一瞬後ろを振り返った時見たもののことを。
夕焼けのオレンジ色に染まった雲の合間に、白い龍のようなものが泳いでいるように見えた。
(気のせいかな、見間違いかも)
などと考えていると、一気に睡魔が天記を襲ってきた。
ポチャンッ!
「おっと」
うっかり眠ってしまい、脱力して湯船に沈みそうになったのを、岳斗がすがさず支えてくれた。
「天記さん、眠いですよね。俺もです。早く出て寝ましょう。」
やはり、岳斗はいつも自分を助けてくれる。
申し訳なく思いながらも、つい、甘えてしまう天記だった。
二人はその後、重いまぶたに耐えながら夕飯を食べた。
何を食べたのかは覚えていない。
それから、岳斗の部屋までふらふら歩き続けると、寝床に倒れ込み、夢を見ることもなく泥のように眠った。
「天記と聖水の剣」完
龍神の子 〜天記と聖水の剣〜 藤沢 遼 @ryo-fujisawa
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