第34話 さて、今回の報酬は?

 アロウザルに戻った僕らは、まずは報酬を受け取ることにした。

 王様は既に冒険者ギルドにお金を振り込んでいるとのこと。さあ、どうなるのかなー。


 ギルドに着いた僕とルルアとクラリエル、それからドーラさんは受付のモヒカンおじさんから、ドサ! とデカイ報酬袋を渡される。


「わあああ! ナジャ 、今回の報酬ってすっごい額なんじゃない?」


 ルルアはカウンターに乗っている、見たこともないくらい膨れ上がった袋を見て瞳を輝かせている。ちなみにクラリエルも、なんかハアハアしてる。


「それはそうとも。我らが国王は気前の良いお方なのだからな」


「いやー! 王様からの報酬なんて、なかなかあることじゃねえ。お前ら、最近どんどん成り上がってねえか? 報酬は全部で160000Gだ」


「じ、じゅうろく……」ルルアが口を開いて固まってしまう。


「ルルア、大丈夫かー? 戻ってこい!」


 ゆすり続けてしばらく、ようやくハッとした彼女は、


「やったぁああ! あたし達大金持ちになっちゃったよ。ナジャ 、とうとうここまで来たね!」


 と僕に満面の笑みを見せた。


「うふふふ! お金も勿論ですが、経験値とスキルポイントはどうなるのでしょう」


「ん? まあそれは、ドラゴンの上位種を倒したのだからな。それなりに貰えるだろう」


 ドーラさんは淡々と答える。そうだ、彼女はまだ落ちゲーのボーナスのことは知らなかったんだよね。


【武闘家ルルアに経験値5000、スキルポイント5000を付与します】


【聖女クラリエルに経験値5000、スキルポイント5000を付与します】


【聖騎士ドーラに経験値5000、スキルポイント5000を付与します】


「おお! やはり相手はドラゴンの上位種。素晴らしい経験値とスキルポイントだな」


 ドーラさんが一人興奮しているけれど、ルルアとクラリエルはまだワクワクした顔で待ってる。


【ギフト『落ちゲー』の効果により、ポイントボーナスが発生! 魔法使いナジャに経験値421119、スキルポイント421119が付与されます。ポイントをパーティメンバーに振り分けますか?】


「な、なんだとぉおお!?」


 聖騎士さんの両眼が飛び出さんばかりになってる。まあ、そうなるよね。


「ひゃあああ! すっごいいい」


「ああーん! 今回はまた格別ですわね」


 ルルアとクラリエルも凄い喜びっぷりだった。ドラゴンの上位種だったことはあり、そのポイントは別次元だった。僕は四人に均等になるようにポイントを振り分ける。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。ナジャよ、全く理解が追いつかないが、いいのか? 私にここまでのポイントを」


「もちろんだよ。ドーラさんのおかげで仕事をもらえたわけだし、今回助けてもらったからね」


「ナジャ様……私何処までもあなたについて行きますわ」


「ダメだよー! 何処までもはダメ!」


 なぜか僕の代わりにルルアが返答してるけど、まあそれはいいとして。この後みんなでスキル強化も一緒にすることになり、一つ変わったことがあったんだ。


 スキルオーブのところに行くと、一目散にクラリエルがシーフスキルを上げ始めてる。全くブレないよこの人、誰かなんとかして。ドーラさんは震える指先でスキルを上げていた。こんな経験は初めてなんだろう。


 そしてこれは僕の強化後のスキルなんだけど、


 ========

 名前:ナジャ

 ファイアボールLv99 フリーズLv99 サンダーLv99 スクウェア・ストーンLv99 ウインドカッター Lv99 フレイムLv99 フリージングアローLv99 ウォーターボールLv77 ライト・アローLv80 ボムLv84 アップ・オフェンスLv45 トルネードLv33 サンダーボルトLv51 ダークボールLv39 フォトンLv50 ライト・ガトリングLv35 フレアLv37 ヘブンズ・シャワーLv24 ダイヤ・キュートLv30 アイス・ストームLv30 ジュゲム ・ブラスト Lv1 バヨ・エ〜ンLv10

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 アイス・ストームの強化まで終わった時、今までにない虹色の輝きがスキルオーブから発せられて、こんなメッセージがオーブから表示されたんだ。


【最上位爆発魔法:ジュゲム ・ブラストを習得しました!】


【最上位感動魔法:バヨ・エ〜ンを習得しました!】


「なになにー!? 今のすっごい演出じゃなかった?」


 ルルアも驚きのあまり、僕の肩越しにオーブを覗き込んでるみたい。


「うん。今までとは別格の魔法っぽい。それにしても、感動魔法って……」


「きっと相手を感動させて無益な戦いを終わらせてくれる、みたいな感じじゃない? ナジャ 、とうとう最上位魔法を覚えたんだね! 流石!」


「まだまだだよ。必要なポイントが高すぎてほとんど強化できないし。ルルアも相当強くなってるな!」


「えへへ! ナジャと一緒だからだよ。いつもありがとっ!」


 ルルアの微笑に癒されつつ、僕は感動魔法について考えを巡らせていた。最上位も何も、初めて覚える系統だったからね。


 多分使う機会なんてなさそうだな。そんな風に思っていた僕の予想は、意外と早い段階で外れることになってしまう。

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