第22話 いつかはこうなると思っていた

『霧島 霧子』の遺体を回収したのは霊きゅう車である。

 ドライバーは独り、警視庁の人間であった。


 ………

「花田くん、そのドライバーがさ…行方不明になったんだわ…困ったことに」

 相良は頭をガリガリと掻いた。

「行方不明って…遺体は?」

「遺体はしっかりと車の中にあったんだけどさ…肝心の回収に当たった警察官が失踪中でね…まぁ…事件性があると言っていいやら悪いやらでね」

「事件性ってないわけないじゃないですか‼ 事件でしかないじゃないですか‼」

「うん…まぁ…そうなんだけどね、発表するわけにもいかんし~、それで俺のところへ回ってきたわけなんだ」

 ニタッと笑った花田

「なんかXファイルみたいですね」

「俺はUFOとか信じない性質なんだけどな…まぁ不思議なこともあるもんだ程度で済ませたいんだけど…」

「スカリー花田がキチッと解明してみせますよ」

「あっそ…そうしてくれると助かるわ俺」


 ………

 霊きゅう車にはGPSが取り付けてあった、コースを外れた霊きゅう車に本部から幾度も連絡してみるも応答はなかった。

 現場に何人か向かわせたがドライバーの姿はなかった。

「で、霊きゅう車と遺体を回収したわけだ、俺たちは消えた警察官の足取りを追うこと、建て前は、そうなっている」

「で…ここが発見現場なわけですね」

「うん…何もないけどね」

「こんな山の中で…足跡とか? 警察犬とか?」

「うん…一通りマニュアル通りの検証も捜索も行われたんだ…秘密裏にね」

「でも」

「そう何もない…犬は動きもしなかったらしい」

「消えた…と」

「花田君さ、キミ医師免許持ってる?」

「あるわけないじゃないですかぁ」

「そうだろうな、スカリー捜査官にはなれんということだ」

「相良さんだってモルダーにはなれないでしょ?」

「そこはさ俺、UFO信じてないからさ」

「聞き込みとかしてみますか? あの村で」

「いやぁ…無駄なことは、よそうよ…案外待ってりゃ現れるってことないかな?」

「はぁ?」

「いや…消えたんならさ、消えた場所へ戻るんじゃない?」


 ………

「相良さん? えっ?」

 花田は目を疑った、振り返ったときに相良の姿が見当たらなかったからだ。

「噓でしょ…戻るって? えっ? まさか相良さんまで消えた…の? どうすんのよー‼」


 山村で宿を取った花田が相良と再会したのは翌日のことである。

 彼の言葉通り、同じ場所へきちんと帰ってきたのであった。

「相良さん…どこへ?」

「それが説明できれば…いや…簡単なんだろうな~と思うよ」

「信じる気になりましたか?」

「なにを?」

「UFO」

「……いや…そんなもんは飛んでなかったな~ ところでさ本庁には連絡した?」

「いいえ…3日は待とうと思ってましたから」

「そうかい、それでいい」

「宿…いい温泉ありますよ」

「そりゃありがたいね…傷に効くかな?」

 相良は太ももを負傷していた。

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