第7話 ごめんなさい_| ̄|○

「これから告白かぁ。って無理かなぁ。」


だって俺は。モカの事が好きだという自信が無い。胸を張って好きだと言える気がしない。

いや、異性として好ましくは思う。ただモカが言う愛してる。この感情が分からないのだ。


俺は孤児だ。親が居ない。だから愛という物とはかけ離れていた。向けられる感情は村人からの好意、そして哀れみ。

剣が好きなのも、もしかしたらその穴を埋めていただけなのかもしれないが。


そんな俺に剣より好きな物ができるのだろうか?モカは良い奴だ。これは俺が保証する。

だけど。愛しては居ないのだ。


本当に彼女が良い奴だと思うなら。

俺は隣にいるべきで無いのかもしれない。

そう、彼女が勇者パーティ候補になった時。

そう思ったのだ。


俺以外にも、ガイル。ハルマ。後は何人か居るという勇者。アイツの周りには色んな人がいる。そしてできて行く。

幸せな人生が待っている筈だ。


「本当に。どうすりゃいいんだ?」


その言葉に答えるものは居ない。

静寂が俺を襲う。


でも本当に可愛いよな。モカは。この人ならば愛せるのかもしれないって厨二病っぽ。


なんかこう痛々しくなってきたからこの考えは一旦辞めよう。


今は誤解を解くことにしようか。うん。そうしよう。


モカにかけた記憶妨害を解く。


「なぁ。モカ。」


「遺言?良いよ!聞くよ。」


「違う!俺は浮気なんかしてない!」


俺は大声で叫んだ。頼む!信じてくれ!


少しの間静寂が走った。あれ?全然モカさん喋らないんだが?


少しモカは考えたように手を顎に当てる。

「ん。目。よく見せて。」


「あ、おう。」


下から俺の顔を覗くモカ。そんなに見られると

恥ずかしい。


「んー?嘘はついてないみたいだね。結構スコール顔に出やすいからね。」


「だから言ってんだろってそんなに分かりやすいか?俺は????????」


まあ。でも。誤解が溶けたようで何よりだ。


「じゃあ解くとするk」ドガァァァン!


「何この破裂音!?スコール!」


「いや!知らねぇ!いや待てよ?これ!時間決壊が破壊される音だ!」


「何それぇ?!」


時間決壊の影響で色の抜けた世界が段々色が戻っていく。


記憶妨害はかかったままみたいだが。誰だ!解いたの!


「クソ男ォ!」

ゴウッと音を立て何かが飛んでくる。ちょっ。こっちに向かってる!


「ちっ!誰だ!」

俺はその謎の物体を避ける。


「あーあ。外しちゃったかぁ。」


土煙の中から声が聞こえる。あれ?この声どっかで…


土煙が無くなり始める。

水色の髪?あれ?既視感が…


「お姉ちゃん!?」


「モカの姉さん?!」


あの家族嫌いなんだけど!?


「ピンポーン!さっすが私の妹だね。だからあんたは死ね。」


「うぉっ!あっぶねぇ!てか、なんで解けたんだよ!」


「あの魔法。意識はあるでしょ?長い一瞬だけどね。その間に頭の中で魔法式組んで解いたの。記憶妨害?っていうの?あれは数人しか解けなかったけど。荒すぎだよ。魔法。さすがクズ。」


モカの家族。俺の事が嫌いらしく。子供の頃からクズって呼ばれてんだよなぁ。まあそれ程モカの事を愛しているのだろうけど。


ロー学院の学服を着てるって事は…あのオッサンの横にいたのあんたか!?


「うっさいわね。死になさい。」


細い光の剣を無数に生み出しそれを編み始める。

そして広げ始め、槍状に尖らせ始める。

おいおいおいおい!やめろよ!それは!


「グングニル!」


いや。あのね?キレたのは分かる。それで神級の魔法出すか?お?お?


ああもう!

くっそォォォォォォォォォォォォォォォォ!

あれしかないか!?


「来い!断罪!」

実は断罪の剣。魔力を食うのだ。そして魔力に沿って進むことが出来る。

その為俺は糸状に魔力を伸ばす。村の剣まで。

その糸に沿って断罪は進むので実は断罪は家に置いたままでいいのだ。楽だね。その代わり家の壁ぶっ壊れっけど。


そろそろ着く頃か?断罪ってやべ。速度間違った。これはやばい。風圧がぁ!


あっ。これは死んだ。(周りが)


手に掴んだ瞬間。ブウウンとなり、もうそれはそれは酷いこと。弁償もんだよ。これ。


ただその風圧でグングニルが少しモカの姉さんの方に飛んだけどね。まあ主導権あっちにあるけど。


俺は詠唱を始める。流石に神級の魔法を消すのに無詠唱はキツイ。


「手に持つは断罪。たたっ斬るはてめぇの罪!

片っ端から無に帰す!ギルティ・ブレイク!」


えーい。と剣を投げる。速度はおよそ数千キロ。俺もビックリ。

黒い光と白の光がぶつかり合う。

バチバチと光が走る。

次の瞬間。どちらの光も消え、断罪が落ちてくる。


糸状の魔力を伸ばし、断罪をこちらに引き寄せる。

パシッと断罪を手に取り背中に背負う。


って柄がないのでそのまま落ちる。ダサっ。

おい。クスクスと声が聞こえたぞ。学院長達だな?その顔。覚えたからな。


「はぁ。ホントなんなの?そのぶっ壊れ能力。」


「姉さん!そろそろ怒るよ!」


くっ!とモカの姉が追い詰められた表情をする。


「あ、あのねぇ!その男はねぇ!モカの事が好きでもないのに付き合ってるのよ!

モカは気づいてないと思う。傷つくとは思う。

だけど幸せのたm「知ってる。」ん?」


だ、よな。俺が一緒にいるのはおかしいよなぁ?ん?どういう?


「それ。初めから分かってるよ?」


「「おおお??」」


なんで?ならなんで付き合ってんだ?


「ねえねえ。姉さん。私さ?見た目とキャラが全然違うでしょ?」


「ま、まぁ。でもだから何!?貴女が傷つくことなんて無い!」


「昔ね。これがおかしいって言われて虐められてたんだよ。最初から差別しなかったのスコールだけだしさ。それで好きになっちゃたんだろうなぁ。」


まぁ。確かにあの時のモカは元気なかったし、皆も寄り付いてなかったな。


「でも!」


「ねえ?スコール。絶対振り向かせてみせるからね?覚悟しときなよ?」


そういう彼女の表情は今まで見た事ないほど笑みに溢れており、決意に溢れていた。


「お、おう。」

もしかしたら本当に好きになれるのかもしれない。この人ならば。


「おお!よかったではないか!誤解も解けて一件落着じゃな。」


そうだな。アヴォルフリード。そしてモカの姉?どうしたの?そんなに青ざめた顔をして。


「おお。なんだ。てめぇの勘違いじゃねえか。

ハレ。」


うぇっ!?なんだこのオッサン!?ってオルガン・バルカン!?


「すまねぇ。スコール?だったか?余計な事をした。」


「いや。神級なら全然消せるんでいいんですけど。」


「おい。すげぇな。って違ぇ。それじゃねえ。

なぁ。ハレ?」


すごい威圧感を感じる。なんかモカの姉のことを睨んでいる。なんかそこだけ重力ヤバそう。


「か、勝手に。」


「「勝手に?」」


「婚約者決めちゃいましたぁ!ごめんなさいぃぃぃ!嫌いにならないでぇぇぇぇ!」


「「は?何やってんの?お前?」」


そこから話を聞くにモカを除く家族で決めたらしい。そんなに嫌われてたのか。俺。


「して、てめぇ。名は?」


とオルガンに聞かれたのだが。


「え?俺スコールですよ?」


「違ぇよ。フルネームだ。」


「す、スコール・ガーライルです。」


「へぇ?じゃあてめぇを戦闘科首席としてうちが貰ってやる!」


お?おお?


「「「それずるい!」」」


うちだってと学院長席から声が聞こえる。


「あ、あのぉ。」


「ん?なんだ?うちに入りたくねえとか言うんじゃねえだろうな?」


この人ならば眼力で人を殺せそうだ。

いや。絶対殺してる。


「俺。鍛治科です。」


「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」


気のせいかな。記憶妨害かけてた人まで間の抜けた声を出している。


会場が疑問の声に包まれた。

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