第6話 お前本当は悪魔だろ

「いや、浮気じゃないって、うわぁ!?」

モカ。斬りかかってくんのやめて!アンタ普通の人と違うんだから!


それを見て慌ててアヴォルフリードが空から降りてくる。

「なっ、なぁ?我。女じゃないから。浮気しようがないぞ?」


うん。メスだね。人でもないね。


「これが…男の娘って奴ね…」

セリカァ!何言ってんだぁ!


「「「うおおおおぉ!」」」

セリカが言ったその時。会場が湧いた。

さてはてめぇら。男の娘好きだな?


「なっ!我あれ無いぞ!」

あれね。うん。うん。何と言わんでも皆。分かるだろ?


「じゃあ女じゃん。死んで。」

殆どの人の目にも追えない速さでモカが切りかかる。


うおおおおぉ!あっぶねぇ!紙一重の状態で避けたが。っとぉ!またかよ!


「武装解放。」

モカが言ったのは武器の性能が一時的に飛躍する奥の手というやつだ。

大体10倍なんだが。彼女の場合は100倍。

ふざけるな。


「なんかすごいオーラ出てないか!我らよりすごい気するんだが!」


「は、ははは。終わりだ。俺達。」

どうしようもねえよ。いや。出来ないことも無いんだけどな。


今の状況を例えるならばバブかけまくったファイナルゴリラが伝説の魔剣と魔銃を持って最終極位魔法デス・アーマメント唱えながら光の速さで突っ込んで来るようなものだ。

ちなみにデス・アーマメントは触れた相手を確実に殺せる魔法だ。ここ。試験に出るからな。


「しょうがないのかぁ!」


「おお、なんだ?諦めたのか?」


「諦めるか!馬鹿!子供残して死ねるかぁ!」

やるやん?ちゃんと親してる。俺は感動してます。


その途端アヴォルフリードの目が淡く光り始めた。その次は腕。最後は手だ。


「来世までじゃあね!バイバイ!これに懲りたら浮気しない事!」

それを笑顔で言うモカさん。パネェっす。


ふんっ。と随分と可愛らしい声とは裏腹に剣といつ取り出したのか分からないマスケット銃から出たモカの攻撃はどす黒く、禍々しかった。


まあ。最後にモカの可愛い声聞けたから良いかなぁ。


「見ていろ!これが七星龍の!最終奥義だ!」


パキパキと周りが凍り始め、空気中の水蒸気が凍ったのか中で氷の粒が降り始める。

「永久凍土!」

とアヴォルフリードが言った瞬間。

観客と俺達、幼馴染達や試験の挑戦者達等を除くコロシアムやモカの技そして空気が。

凍った。


「終わりだ。」

と言った次の瞬間だ。凍った物が割れ、コロシアム一帯が更地となった。


うわぁぁあ!と落ちてくる観客と一部の学院長。

「怪我すんぞ!浮遊魔法!」

俺はこの会場の全員に浮遊魔法を片っ端からかけまくった。


「どうだ?少しは見直したかの?(ドヤァ)」

お前さ。


「この!コロシアム!どうすんだよ!」


「あっ。」


おいおい!俺達これじゃテロリストだっての!

ってあれ?そうか!あれ使えばいいのか。


「時間神殿。」

そう言って展開した魔法は時間神殿。

結界を貼ったのだ。時間結界の上位互換。と言うべきだろう。


「コロシアムの状態を少し前にっと。」

解除。


「「「えええええええええええええ!?」」」

ま。驚くのも無理はねえか。

いきなり無くなったと思ったらいきなりできたんだもんな。


「また。お前か。」

どうしたの?アヴォルフリード?そんな目をして?俺はただ時間を操っただけだぜ?

少し凄いやつなら出来んだろ。


そしてその場に立ち尽くしていたモカ。

「ひっぐ、うぇぇぇん!」

泣きました。


「なんれぇ!浮気したのが悪いのにぃ!なんれ技消してそしてコロシアム再生すんのぉ!」

呂律が回っておらず目には大粒の涙が溜まっていた。


「スコールならぁ!大丈夫だと思ってぇ!

打ったのにぃ。なんで他の女に消されるのぉ!」

おーい?モカさん?流石に死んだと思うぞ?

あれかわしてたら他の関係ない人たち巻き込まれるし。


「な、なぁ?モカ?本当に浮気してないから、な?」


「嘘つき!」

なんか外野から最低だとかクズだとか言われてるんだが?俺に対しての死ね死ねコールが会場に鳴り響いております。

ちょっと鍛冶場にこもってきていい?


こうなったら!俺は唱え始める。

「転移扉ぁ!」

そして村から!義妹召喚!

眩い光とともに扉が現れそこからアリシアがでてきた。


「ふぁ?」

すまない。義妹よ。


「えっ?兄貴?どうしたの?なに?この状況!

なんかブーイングされてるんですけど!」


「あのさぁ。アヴォルフリード。今女じゃん?(小声)」


「うん。どうかしたの?(小声)」


「一緒にいたらさぁ?浮気だと思われてさ。(小声)」


するとアリシアは納得したような表情で

「あぁー。分かるわ。モカさんなら。」


「お前の友達ってことにしてくんね?」


「あー。無理。それより兄貴。好きっていいな。ここで告れ。

多分それで行ける。モカさん。兄貴になるとチョロいから。」


俺が恥ずかしいんだが?


「知らん。行け。男になれ。」


するしかないのか?ならせめて。


「いや何するつもり!?」


「時間決壊。」

これは一時的に時間を壊して世界の修正力が働くまでなんでも出来る。

いわゆる時間停止だ。


ただ。時間停止と違う点。それは影響を起こせるか起こせないか。ここだ。


時間停止の場合は時間そのものが止まるので

基本。他には何もすることが出来ない。

それが時間決壊の場合は時間を壊すので何も動かないことなどない。

そして、他のものに影響を及ぼそうが世界の修正力はそこには働かない。時間の修正というのは大変なものなのだ。


「記憶妨害。」

これは対象者以外の記憶を妨害し、妨害中は周りで何が起ころうがかかった人達は気づくことが出来ない。


最初っから記憶妨害使っときゃよくね?そう思う人も多いだろう。だがコロシアムには記憶結晶というそこで起こったことを映像にして保管する物がある。今の状況なら時が壊れているのだからそれが撮れるなんて事。あるわけないだろ?

って俺は誰に説明してんだ?ま。いいか。そんな事よりだ。


「これ使うとお前ら出てくんだよなぁ。」

時空がバリバリと音を立てて裂けていく。


「御使い。」

そこから現れたのは5m程の鎌を持ち、ボロ布を羽織った骸骨だった。死神。と言うやつだろう。


「さぁてと。御使いさん。お勤めご苦労様ってか?あらかた俺を消しに来たんだろうけどな。

俺。これからちょっと人生かけなきないけないんだわ。だからさぁ。」


「邪魔だから消えてくんねぇかな。」


「キヒ?キヒャヒャ?キヒャハハハヒャ!」


何回も思うんだがその鳴き声何とかなんねえのかなぁ。


と。次の瞬間。俺に向けて全方位から不可視の風の刃が降り注ぐ。


「人体発熱。」

俺はこの魔法で急激に体の温度を上げる。

多分。太陽くらいにはなっている事だろう。

その影響で周りの空気が膨らみ、上昇気流が発生する。それは風の刃も例外では無く、数千発あった風の刃は全て俺に当たらずコロシアムの壁にぶつかり、コロシアムがまた崩壊する。


「仕事増やすな!」

決めた。俺。アイツぶん殴る。


「破壊術式!」

俺はこの術式をデュラルシャインにかける。

この術式はあらゆる物を壊す。俺が生み出した特有魔法で俺以外は使うことが出来ない筈。

だが、この術式のネックな所が長時間使用すると剣が術式に耐えられないのだ。

それが故に短期決戦でなければいけない。


「武装解放。」

実はモンスターの素材で武装解放を行った場合はそのモンスターの能力が一時的に使えるようにもなるのだ。知っておくべき豆知識です。


デュラルホーンの場合はカウンター。

威力を数十倍にして返すことができ、そして後は超再生だ。


「キヒャァ!」

死神が鎌を振るう。


とその時。俺の左腕に激しい痛みが走った。

左腕が飛んだようだ。マジで痛い。これまじね。

でもまぁ別にいいよ。くれてやる。

その代わり俺も貰うぞ。


「部位反撃。」

これは自分が何か体に欠損が起こった時に使えるデュラルホーンの技だ。

その効果で剣に鋭い光が走る。


「終わりだ。」

俺が片腕で剣を一振。眩い光が発される。

思わず目を閉じた後。開いてみるとそこにはもう何も居なかった。


ふうと一息。

ふと腕を見ると肘からその先がない左腕が1つ。

ア、アドレナリンドバドバだったから痛くなかったけど!今痛ァァァァァァ!


秒で超再生かけた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る