五線譜の未来〜雨の夜に君の声だけが響いた

今年で30歳になるサラリーマン、片桐　奏音（かたぎりかなと）にはベーシストになりたいという夢があった。

その夢はある言葉をきっかけに彼はベーシストの夢を諦め、サラリーマンとして鬱屈とした日々を過ごしていた。

梅雨のある日、強い雨の中で路上ライブをする女の子と出会う。

彼女が彼の思い出の曲を演奏した瞬間、彼の中に眠っていた夢の残滓が顔を覗かせる。

その事実に戸惑いながらも、再び湧き出してくる夢と現実に奏音は苦悩する。

そんなある日、彼の職場に水鏡音愛(みかがみとあ)という派遣社員の女の子が入ってくる。

その子が雨の日に路上ライブをしていた女性だと分かり、困惑しながらも彼女の教育係を担当する事になる。

それと時を同じくして、現実主義の上司であり同い年の女子社員、雪吹舞(ゆきぶまい)…続きを読む