この世のあらゆる「しんどい」を集めて煮詰めたみたいな地獄

 毎日を自堕落に生きるめんどくさがりの男の、平凡な日常とその行く末のお話。
 ホラーです。それもドロドロと鮮烈なえぐさが山盛りの不条理系ホラー。とにかく強烈というか濃厚というか、いろんな種類の「不快」が一気に降り注いでくるかのような、本当に容赦のない作品です。
 何かにつけては「だるい」といい、あらゆることに対して投げやりな態度の主人公。率直に言ってあまり好感の持てる人物ではなく、実際どう見ても褒められたものじゃない言動も多々あるのですが、でもそんな彼の行く末に付けられたこの『愛の尻拭い』という表題。なかなかにえぐいものがあると思います。
 中盤にある衝撃の展開を皮切りに、一気呵成に畳みかけてくるかのような悪夢の猛ラッシュ。この終わりのない憎悪と不快感のエレクトリカルパレードみたいな展開が、もう本当の本当に刺さりました。いやだって確かにひどいやつだけどでもこいつそこまでのことした!? と、つまりは「もうやめてあげて」とごく自然に祈ってしまうほどのこの救いのなさ。こんな体験だけは絶対にしたくないと思わせてくれる、あまりにも地獄めいた物語の終着点。とにかくしんどくて、本当にキツくて、その辺りがとことん最高な作品でした。