雨
カチッと音がしてドアを開ける。冷たい温度じゃないか確認してからシャワーを浴びる。今日も疲れたと思いながら。
今日はバイトに行く間雨が降っていた。雨に辺りながら自転車を漕ぐなんていつぶりだろう。そういえば高校二年のときこんなことがあった。
その日は学校終わりに彼女の家に行った。すごく雨が強かったがカッパなどはなく、ただ雨を耐えるしかなかった。なんで彼女の家に行ったかなんて、ただ彼女が会いたいと言ったからだったのを覚えている。
30分かけて行き、そこで30分彼女と話す。その1時間後には部活があり、帰らなきゃいけないと急いで帰ろうと思ったが自転車のチェーンが外れて上手く直らなくて。
ふと思った。なんで彼女のことを考えている? もう2ヶ月経ったのになんで頭の中には彼女がいるんだ? もう彼女ではないというのに。
でもこれだけじゃない。他の人と通話していて、彼女が通話中言っていたことを私が言っていた。変な言葉だと思うが、この通りで。言ってから思い出して気づいたというか。ずっと言われ続けていたことだったからか、それはよく分からないけど、彼女が私に嫌だと言っていたことだった。
そうやって"元"彼女のことばっかり思い出して気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪いでしかなかった。目眩が起こってその場で吐き散らかす、ここが浴室で良かったと思いながら。
嫌だと言われていたことを私が嫌だと言った。人にされて嫌なことをしていたんだとハッキリ分かった。でもその時の私にはそれはどうしようもできなかった。
それは違う、しなかっただけだと右から聞こえる。そんなことない。どうすればいいか全く分からなかったんだ。本当は面倒だっただけだろ、全く別の方向から聞こえる。そう言われて私は少し揺れる。私の本心は疑心暗鬼になり、本当に彼女を一番に考えられてたのか考え始める。"本心は"ってなんだ。さも私が本心じゃないみたいな。違う、私が本心なんだ。デタラメを言っているのは幻聴だ、私は本心なんだ。私こそが本心なんだ。
意識がいくつにも別れるような感じがした。ただそこに本心はなく、虚栄でしかない。嘘ばっかりで自分の本心すらもうどれがどれだか分からない。気持ち悪い、気持ち悪い。気持ち悪い。
電子時計を見るともう10分以上シャワーを浴び続けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます