第4話 策略


ゴーーーーーーール!!!!


『中村のフリーキックが決まり

な、なんと!開始28分レガレス先制です!』


プレースキックは相手の力量に左右されにくい環境をつくりだせる。

つまり環境要因の極力少ないブレのない空間における得点機会である。

そのヨハンの考えに忠実に彼は何年もの間プレースキックを研ぎ澄ませてきた。

その結果彼は世界的名手の一人として数えられるほどに成長したのである。


『日本の誇るレフティの綺麗な軌道を描いたフリーキックでしたね。

キーパーも動けない完璧な読みでした。」


「いや〜でもこの時間の先制点は狙ってましたね。このままでは選手の体力が持たないと思いますし。早めに先制をして守備固めですかね。」



ヨハンがこの試合の為に用いた策略。

それは、、、


オールコートマンツーマンディフェンスであった。



〜スターティングメンバー〜


・バルセロナ

GK バルデス

DF ジュニーニョ

DF サンタマリア

DF ナダル

DF マルクス

MF マルキーニョス

MF アロンソ

MF トーレス

MF ペドロ

MF アレックス

FW ライオネル


4-1-4-1


・レガレス

GK バンデンバーグ

DF 内川

DF サルモン

DF アキレス

DF エドガー

MF カルロス

MF 中村

MF ジョナタン

MF セバスチャン

MF ゴンサロ

FW ニコラス


4-1-4-1





『この試合のフォーメーション図は2度と見ることはないかもしれないですね。

まあバルセロナ対策で真似るチームはあるかも知れませんが、、』



レガレスの陣形はバルセロナの陣形の丸写しに近かった。

バルセロナも信念であるマークのズレを狙うべく

目まぐるしいポジションチェンジでこれに対抗していく。

キックオフからすでに両チームにとって基本陣形などあって無いに等しい試合になっていた。


だが最初の問題点が浮かぶ。

1トップとなるニコラスだけはバルサの2CBに対し、数的不利に陥ってしまう。

だが勝てる確率を少しでも上げたいヨハン。

さて彼はそこをどうしたのか?



普通のチームではオールコートなのでボールホルダーに対してらFWが軽く当たりにいく。

このマンツーマン守備でも充分成功しているとも言えるのだが、相手はあのバルセロナだ。

CBは足元の技術、パスワークがあり

2人だけでビルドアップも軽いプレスならいなしてしまう。


普通の監督であれば、前から行ってもかわされるのだから

ここは一旦、受けろ!という指示を出す。

またはパスコースだけ限定させろ!となる局面だが、ヨハンの辞書に[後退]の文字は無かった。


4バックの相手に対して

こちらも4人で行けば数の均衡が保てる。


それによりサッカー史上稀に見る光景が出来上がったのであった。

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