エピローグ


 沙沙貴ささきは先に部室をでた。


多真姫たまき、先帰ってるぞ!夕飯はハンバーグだそうだ」


 小林君は丁寧にホワイトボードに雑巾がけをしていたのだけど、その言葉を聴いてぴたりと手を止めた。


真賀田まがた先輩」と私に話しかける。

真賀田まがた先輩とササキ先輩って一緒に住んでいるんですか?」

「え?うん、そうだけど」

「もしかして2人って学生寮とかに住んでるんですか?」

「え!」と驚きの声を上げた。

 まさかこの子わかってないのか。もう3ヶ月も同じ部員だというのに。


「住んでないよ。実家だよ。いや、ほらだから」


「うっそだー。顔も似てないし、それに苗字違いますよね」

 似てない?私たち姉妹は性格は正反対であれこそ、顔はほとんど見分けがつかないとよく言われるのに。それに苗字って。


「……まさか小林君、沙沙貴ささきって『佐々木ささき』って苗字だと勘違いしてないか」


「へ、違うんですか?」

 小林君はきょとんとして首をかしげた。


「え?ん?どういうことですか?」



 なるほど、確かに彼は絶望的に勘が悪い。



 やれやれ。

 私はため息をつくとフリーズした小林くんをおいて自転車置き場に向かうこととする。


                                   おわり

 

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クラス替えの妙〜真賀田沙沙貴の事件簿〜 ハル @whit_e

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