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生まれ変わったら、うさぎ星人になっていた、と言ったら笑うだろうか。
とはいえ、なってしまったのだからしかたがない。俺はうさぎ星人としてはや十数年の月日を過ごしてきたのであった。
うさぎ星人というからには、頭には長い耳が生えていて、体はどうも毛むくじゃらである。前世の記憶を持っているのが、どうやら俺だけらしいので、みんなはあまり気にしてないみたいだが、俺は時々この顔に生えている毛を無性に剃ってしまいたい欲求にかられるときがある。
とはいえ、俺は今や「うさぎ星人のメス」である。
生物的2択のせいなのか、はたまた神様のいたずらなのか、男だった俺は今ではうさぎっぽい宇宙人のメスとしてすごしている。仮に顔にこんなに毛が生えていなかったとしても、この人生で俺がひげを剃ることはそんなにはないはずだ。
今日は、うさぎ学校の運動会である。
うさぎ星人の運動会は、競技が妙に偏っている。
高跳び、幅跳び、縄跳び、ハードル走。この種族はどうやら跳ねないことには生きていけないらしいのだ。
俺が、ふと気になって、以前の人生のような走り方……つまり前足をつかずに、後ろ足の2足歩行で走るのを試してみたことがある。
周囲の人間は、俺の100メートルの異常なスピードに、度肝を抜かれたようだった。
「君、君、今のは一体なんだね」
体育教師が、俺の走りを見て信じられないような顔で聞いてきた。
だから、俺は言ったのだった。
「もしかして、俺何かやっちゃいましたか?」
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