戻れるなら

昔に戻れるといいな

私が言うと

遠い目をして

背中を向けた。


あなたが遠くに見える

どんどん

遠ざかって行く

もう私の手は届かない。


夢からさめた

私は

泣いていた。


体を起こすと

さめざめと泣いた。


あなたのいない朝、

いつまでも冷たい体を

暖めてくれる人は

どこにもいない。


流れる涙を優しく

拭う手を

もう忘れてしまった。


冷たい手を重ねても

暖かくなどなりはしない。

戻れる日などどこにもない。


ならば、

もうここにいても意味はない。


生まれ変わっても

あなたを探す。


それまで、

しばらくさようなら。

これで、いいのよね。

窓の向こうの薄い蒼……


あなたが頷いて

穏やかに微笑む、そんな気がした。

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