はんぶんこ

痛いの

胸に手を当てるわたし

一人つぶやいた。

こんなにも思う、

あなたは

もういないのに。


半分を、

もしくは

わたしのなにかを

もっていったみたい。


薄い胸に手を当てる

ここにいつも当ててくれたように

だけど涙が出るのは

なぜ


痛いの

ここが。

知らない間に涙が落ちる

長くない期し方の中で

過ごした時間がここにある。


これからは一人、

なんでも

全部ひとりだな。

こんなにも蒼い山、

風も

すべては

虚しいだけ。


一人だとこんなにつまらないのね。


お願い、

戻って。


小指を噛んで

痛みに耐える。

戻ることはないと

わかっているから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る