色いろ あるね

涙雨

待っても来ないから

一つ、ふたつとかぞえてみる


紅雨

今年の鉢植えのアジサイは

五輪咲いた、

見てくれるかな


走り寄る

人がいる

傘をさされてきがついた

いつからそこにいてたの?

尋ねても

答えないで笑う


一輪きってあなたに渡す

窓辺におかず、

玄関に置いて。

私の代わりに見送るから。


雫雨

滴る街を二人行く

黒髪に付く蒸し暑さ


今年もきっと暑くなる


二人でうなずく

私はあなたを見上げる。


白いアジサイを欲しいと

思ったら、

花屋の店先で足を止める


また増えた鉢を

見て笑う。


今はもうあなたはいない。

鉢だけがどんどん増えていく、

心の隙間を埋めるように

花を

色を

心にいくら詰めても

悲しみは

埋まらない。

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