第24話 白音シェフ
白音ちゃんに促されて、席につく。
それぞれの前には、器が4つある。
豚汁にうどんを入れたような汁物の器、山菜の炊き込みご飯の様なものが入った器、葉物野菜を使ったサラダが入った皿と肉を焼いたステーキに塩とソースと野菜? が盛り付けられた皿がある。
「魔王のお兄ちゃんが用意してくれた食材を自由に使っていいっ言ってたから、少し豪華にしました。
ここでの初めての料理だし、私の料理の腕を見てもらいたかったから、挨拶代わりって感じ」
確かに自由に使っていいっていってたけど、いきなり量を作りすぎでは?
「食べきれるかな?」
一品一品の量がそこそこある。
前世ではいつも一品を大量に作ってそれを家族で分けて、翌日の弁当のおかずにしたりしていた。
今目の前にある一品の量はそれと変わらず、それで一人分な上、品数が増えている。
「大丈夫さ、白音の料理はうまいからね、ぺろりと入るさ」
「魔力を使うということは意外と疲れます、その分、食事を取って回復しないといけないですよ」
俺の疑問に琥珀さんとシャルルちゃんが答えてくれる。
「残したら、皆で食べるよ、冷める前に食べよう?」
「そうだね、いただきます」
白音ちゃんに促されて、食事前の挨拶を言うと、周りはきょとんとした、こちらには食事の時の挨拶をしないのだろうか?
「今のはダンジョンでの習慣で食事の前後に挨拶をするんだよ」
三人に説明していく、前世云々はダンジョンのせいにした。
三人もダンジョンは変わっているから仕方ないってことで納得したので今後も前世云々を誤魔化すときはこの手を使おう。
そして、食事をしながら、白音ちゃんがそれぞれの料理について説明してくれた。
豚汁のような物は、モンスターの肉と野菜をふんだんに入れたスープにうどんを入れて、味噌で味付けしたものだ。
使ったモンスターの肉はこの世界では良い肉の部類だが、ある程度の実力者なら狩るのに苦労しないらしい。
DP交換でこのモンスターの肉を出すと、一頭分出る為、量が多い代わりに捌く技量がいる。 ちなみに前世で知っている肉はブロック肉が出てくる。
白音ちゃんは旅中は琥珀さんが狩ったモンスターを調理していたので慣れていた。
その肉のなかでも、一手間いるが煮込むととても美味しい部位を使ったという。
野菜はこの世界の野菜だそうだが見た目は前世の物より少しカラフルだったり大きさが違っていたりするが、気になるほどではない。
うどんは使ってみたかったから使ったみたいだか、味噌は今回の肉に合うと思って使ったらしい。
炊き込みご飯はお米が貴重品ということで、山菜でかさ増しを狙ったようだ。
山菜はこの世界の物を使って、一度下茹でしてからお米と炊いたようだ。
葉物野菜のサラダはこちらの世界の野菜だそうだ、ドレッシングは前世の物を使ったらしい、ゴマドレッシングとオニオンドレッシングだ。
ステーキは、味噌汁に使ったモンスターの焼いて美味しい部位を使ったようだ。
塩はこの世界でよく肉料理に合わされる物、ソースは前世の私物にあった焼き肉のタレをベースにモンスターの油と肉汁、すりおろし野菜を使ってアレンジされている、野菜のようなものは香草で肉と一緒に食べる物のようだ。
どの料理も前世の食材とこの世界の食材の両方を使って調理されてある。
実際に食べてみるとよく考えられており、とても美味しく仕上がっている。
今回使った肉は本来独特の風味があるそうだが、味噌がその風味を消している。
ステーキでは香草でもわからなくなるが、アレンジされた焼き肉のタレが独特の風味の気になる部分だけをおさえてプラスに変えていた。
「ご馳走様でした」
心配は杞憂に終わった。
夢中で食べていると食べきれないと思っていた量の食品が全てお腹に消えていた。
「美味しかったよ、色んな食材があったから心配してたけどよく調理出来たね」
たくさんの知らない食材があったら俺なら味付けを間違えそうだ、ビビって知ってる食材だけを使うかもしれない。
「ウルフ系だから鼻は良いんだ、匂いである程度味はわかるよ、それに〈鑑定〉も持ってるからどんな食材かわかるし、少しだけ加工したりして味見する。
出来た料理もきちんと味見して予想した味になっているか確認、美味しかったら予想と違っててもそれでよし、美味しくなかったら調整できる食材や調味料で味を整える。
これが出来てれば、見たこと無い食材でも調理できるよ」
「参りました」
料理は白音ちゃんに任せよう。
前世で独り暮らしのなんちゃって料理ばかり作っていた俺が言うべき事は何もない。
「白音は本当に料理好きだからね、見たこと無い食材を見たら色々と作りたくてたまらないらしいよ、母としては料理で教えることが少なくて寂しく思うこともあるけどね」
こういうことなら今度DP交換で前世の食材をたくさん出しておこう、調理しがいがあって良いだろう。
「スライムには、汁物の汁だけだったり、ドレッシングやソースだけだったけどなんで?」
スライム用の器には固形物があまり入っていなかった。
「スライムって固形物を食べるのは苦手って聞いたことがあってそれで分けたの、スープだけにしたり、お米を炊くときに使った出汁を注いだり」
「そうだったんだ」
知らなかった、パンなんかを与えていたが神泉水の方が喜んでいるように見えたが本当に喜んでいたんだな。
「まあこの水の方がスライムちゃんは気に入ってるみたいだけどね、少し複雑だけど」
そういう白音ちゃんの目線の先では神泉ポットの水をがぶ飲みしているスライムがいる。
調理した側にとってみれば、いくら調理中の出汁だったり、ソースやドレッシングだけだったとしても、水に負けるのは複雑だろうな。
「まあ特別な水だしね」
神泉水だから仕方ないって事で納得してもらえないだろうか?
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名前 : ユウ・オウ
真名 : 扇 勇治
種族 : 魔王
職種 : ダンジョンマスター
魔王ランク : G-
DP : 6030
レベル : 1 レベルストッパー
体力 : 3320/3320
魔力 : 5100/5100
筋力 : 630
耐久 : 489
敏捷 : 735
知力 : 672
器用 : 996
運 : 30
スキルポイント : 15
所持スキル
〈土属性魔法 初級〉 SLv1
〈風属性魔法 初級〉 SLv1
〈木属性魔法 初級〉 SLv1
〈火属性魔法 初級〉 SLv1
〈水属性魔法 初級〉 SLv1
〈水泳〉 SLv1
〈熱耐性〉 SLv1
〈レベルストッパー〉 SLv1
〈靴磨き〉 SLv1
〈ゴーレムマスター〉 SLv1
〈鑑定〉 SLv1 ×2
〈観察〉 SLv1 ×2
〈刀術〉 SLv1
〈ストレージ〉 SLv1
〈言語最適化〉 SLv1
〈魔眼〉 SLv1
〈逆境耐性〉 SLv1
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