第14話 神泉水

 神泉水

 そう書かれたポットを〈鑑定〉のスキルを使って見る、そこに書かれたのは次の通りだ。


神泉水

神泉から涌き出た水。

体力魔力異常状態、病を回復する、加工しても効果は変わらない。

大量の神泉水に浸かることで追加効果を得る。


神泉 ポット型

ポットの形をした神泉。

神泉からは無限に神泉水が涌き出る。

ポット型の特長として、一度に涌き出る神泉水の量は少ないが、涌き出る神泉水を10℃~100℃までの温度調節することが出来る。


「ポットごとすごい物なのか、これ」


 見た目は飲食店等に置いてある銀色のポットである。保温性が高そうなお茶や冷たい水が入っていそうなポットだ。

変わっている所といえば取っ手の部分にホットプレートについているような温度調節用のターンスイッチの小さいやつがついている。

 ためしにお湯を出したり、たくさんのコップに注いでみたりとしてみたところ、きちんとお湯が出るし、いくら水を注いでも水は出続けた。


 ところで、


「この水どうしよう、一気には飲めないし、食べながらでも飲みきれる気がしない」


 実験の為にコップに神泉水を入れまくったのだか、4人がけのテーブル5つ分がコップで埋まってしまった。

ざる蕎麦を食べながら飲むつもりだが、多すぎる。

一部のお湯を蕎麦湯のように麺つゆと一緒に飲んでもたかが知れている。


「とりあえず、蕎麦を食べるか」


 水の片付けは一度忘れよう、最悪リュックサックを持ってきて入れよう、水筒なんかを見つけて移し替えてもいい。


「とても美味しいな、高級とかついてなかったはずだけど」


 蕎麦を麺つゆに浸けて啜る際に蕎麦の良い香りがして、口の中で蕎麦の旨味広がって、舌触りも歯ごたえもちょうど良い。

麺つゆも蕎麦の味に負けることなくきちんと支えている。

思ったより美味しかったので、2人前をぺろりと食べてしまった。

 蕎麦を食べ終わって、水をどうするか悩んでいるとスライムが神泉水が入ったコップをじっと見ていた(ように見えた)ので飲んでいいよと許可を出したら、残りをあっという間に飲んでくれた、大量の神泉水飲み終わったスライムはパンを食べた時よりも喜んでいたようにも見えた。


「このポットをボスエリアに持って帰ろう」


 飲むと回復効果があるし、お湯も出せるからカップ麺なんかを作るときに使える。

 見たところポットは10個以上はあったのでひとつくらい持ち出しても大丈夫だろうし、一々こちらに水を飲みに来るのも手間だ。

 ポットをダンジョンから出せないのは残念だが、神泉水を水筒のような入れ物に入れれば外に出せるだろうか。 









 ボスエリアにポットを持って帰った後、もう一度私物を広げ、ひとつひとつ確認していった。

水筒やペットボトルなんかがあれば良いなと思いながら今要るもの、今後使えそうなもの、使い道のなさそうなものに私物を分けていく。


 時計代わりのスマホやそれの関連機器は今要るもの、太陽電池搭載のポータブル充電器や手回し充電器があるから電源は大丈夫なはずだ。

 それに、〈鑑定〉を使うとスマホに神の特典が付いていて、電池が減りづらくなっている上、カレンダーや時計などはこの世界のものに対応している。

さらに記念に取っておいた歴代の携帯電話やスマホも見た目は傷などがきれいに直り、動作の軽さなどの中身は一番新しいものと遜色ないようになっている。

 通話やチャットなどの通信が所有者の魔力は消費するが使えるようになっていて驚いた。


 このような特典はスマホの他にも歴代のノートPCや家電製品にも付いていたが、元々バッテリーがないものは電源プラグをコンセントに刺さないと使えないのは変わらないようだ。

これらは何かしらの手段で電力を確保できれば便利なものなのでウエストポーチにしまっておく。

 最悪、電源が確保できなくてもゴーレムの素材にはなるだろう。


 衣服やタオルはボスエリアの畳んで部屋の隅に置いておく。

ちなみに、汚れづらくなるなどの神の特典が付いていたのは最初に着ていたものだけだった。

 しばらくは洗濯板を用意して手で洗おう。


 食べ物はお菓子やパン、カップ麺等、そのまま食べれるものやお湯をかけるだけの物は手元に、それ以外はリュックサックに戻した、温泉のキッチンに冷蔵庫があったはずなので後でそちらに入れておく。

 ペットボトルのジュース等もあったが、ぬるくなるのでこちらもリュックサックの中へ。


 漫画等の本類はよく読むもの、バトル漫画や料理漫画のような戦闘や生活に役立ちそうな物は手元に、それ以外は温泉の畳スペースの本棚に入れておこうかな?

 魔法の初級本もあったが一冊が厚めなので後で読もう。


 学生時代に先輩に買わされた、トレーニング器具やゴーレムの参考になるかもしれない趣味で作っていた、ロボットの組み立て模型は組み立て済のものとそうでないものを整理して段ボール箱に入れて部屋の端に


 コップ等の食器類はリュックサックに戻した、あとで調理場の食器棚に入れておこう。


 お目当ての水筒は2つあった、お手頃サイズでワンタッチですぐ中身が飲めるものと大容量で蓋がコップになるものだ。

 それぞれ新品同然にきれいになっていたので、軽く神泉水ですすいでから、冷たい神泉水を入れて、手元に置く。

すすいだ水はとりあえずタライに入れておいた、後で平原に撒くなり、スライムにあげるなりしよう。


 ある程度整理が終わって残った物は武具と工具類と筆記用具や財布等の貴重品、これらとスマホ、手元に残した食べ物、水筒を〈ストレージ〉の中に保存しておく。

 武具だけは緊急時の為に布団脇に置いておくか。


 後回しにしていた、私物の整理を終わらせると、部屋が暗くなっていた大掃除のような形になってしまった為に時間がかかったようだ。


 区切りも付いたら眠気もきたので後は食事をして寝ることにする。


「スマホに今後の目標を書いてから寝るか」


 スマホのメモ機能に、ダンジョンの充実、レベルストッパーの調査、少しでも幸運に、と書いてから、布団に潜り目を閉じた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前 : ユウ・オウ

真名 : 扇 勇治

種族 : 魔王

職種 : ダンジョンマスター

魔王ランク : G-

DP : 9495

レベル : 1 ・レベルストッパー

体力 : 3320/3320

魔力 : 4820/4820

筋力 : 630

耐久 : 489

敏捷 : 735

知力 : 630

器用 : 981

運 : 30

スキルポイント : 15



所持スキル

〈水泳〉 SLv1

〈熱耐性〉 SLv1

〈レベルストッパー〉 SLv1

〈靴磨き〉 SLv1

〈ゴーレムマスター〉 SLv1

〈鑑定〉 SLv1 ×2

〈観察〉 SLv1 ×2

〈刀術〉 SLv1

〈ストレージ〉 SLv1

〈言語最適化〉 SLv1

〈魔眼〉 SLv1

〈逆境耐性〉 SLv1



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る