032「どっかで見たことがある気がする-2」

「邪魔だよ」


腕を斬り飛ばした男の腹に軽く蹴りを入れたらぶっ飛んで地面をゴロゴロ転がっていった。


派手に血が飛び散ってたけど、まぁいいや……すぐには死なないでしょ。


もう1人の男は片足を斬り飛ばしからの回し蹴り、こっちも血を撒き散らしながらぶっ飛んでいく。


ユニークスキル使っても別に身体能力が強化される訳じゃなかったと思うんだけど。


何か威力高くね?


………まぁいいや。


軽く息を吐く、残りは3人。


幸いなことに残りの3人はまだ何が起きたか理解したくないって感じで呆然としてるので、理解される前に片付けよう。


刀を構えて、踏み込む。


大丈夫だとは思うけど、女の子達に当たると嫌なので念の為に刀は振らずに男の肩に突き刺す。


ほぼ抵抗なく刀身の半分くらいまで突き刺さったので突きを止めて男の腹に蹴りを入れてぶっ飛ばしながら刀を抜く。


あと2人。


女の子達が近いから動き辛い、刀振り回せないから呆然とこっち見てないで「きゃー」とかって悲鳴上げてしゃがみ込むとかしてくれないかな?


男共はようやく何が起きてるか理解したみたいで、動き出すみたいだけどさ……遅いよ?


近い方の男の足の甲に刀を突き刺して地面に縫い付ける。


痛かったのか刀を抜こうをしたのかは知らないけど、頭が下がったので軽くジャンプして脳天に踵落とし。


死んだのか気絶したのか知らないけどそのまま俺の方へ倒れてきたので、刀を抜いてその場から退く。


突然寝落ちした酔っ払いみたいな倒れ方した男は放っておいて、あと1人っと。


「!?」


最期に残った男が殴り掛かって来てたので、もう一歩下がる。


…………何か、顔が強張ってない?


そんな意外そうな顔されても、年相応の紙装甲で防御力に極振りしてる訳じゃないし痛いのは嫌だからそりゃ避けますよ。


しかし、本当に女の子達が邪魔。


こっち見てないでちょっと端に寄るとか、もう囲まれてないんだから一目散に逃げるとかして欲しい。


まぁいいや、何とかしよう。


男に視線を戻す。まだ顔は強張ってるけどもう一度殴りに来るっぽいので……動かれる前にこっちから動こう。


女の子達は男の後ろにいて刀を突き刺したら貫通した刀に当たりそうなので、刀を回して逆手に持ち替えながら踏みこんで鳩尾に刀の柄をぶち込んで、すぐに下がる。


漫画とかラノベだとこれで気絶してくれるけど、実際はどうなんだろ?


…………あ、倒れた。


何とかなったらしい。


念のため刀でツンツンしてみたけど、反応がないので気絶したか死んだかのどっちかっぽい。


「…………………………ふぅ」


疲れた。


周囲を見渡して斬ってぶっ飛ばした男共を確認する。


んー、全員戦闘不能で伏兵みたいのもいないっぽい?


しかし、本当に疲れた。


スカートだと足に絡まってくるから動き辛いし、髪も長いから動いた後に髪に引っ張られるような違和感があるし、ちらちらと赤色が目に入るから気が散るし……………って、赤色?


「……………何これ?」


全然気づいてなかったけど、何で髪の毛が赤くなってんの?


レーラさんが用意したの黒髪のカツラだったはずなんだけど。


買い物してるときは確か黒髪だったし、いつから赤くなったんだろ?


んー、わからん。


「あ、あの」


ユニークスキルで指輪を刀に変化させたとき?なんかそれが正解っぽいけど、いままでユニークスキル使っても髪とかの色が変わる事なんてなかったし。


「あの!!」


あ、ごめん。女の子達のこと忘れてた。


刀を指輪に戻すと髪が黒色に戻った、やっぱりユニークスキルの影響だったっぽい。


……………まぁ、いいや。また今度にでも考えよう。


「あー、大丈夫だった?」


「はい。あの、助けて頂いてありがとうございます」


「ありがとう」


俺にぺこりと頭を下げる2人。


「気にしないで、こっちも襲われそうになったから勝手にやっただけだし」


元々、助ける気なんてなかったので礼を言われても困る。


「でも、わたくし達が助けられたことは事実ですので」


「うん。助けられた」


んー、まぁいいけど。


「とりあえず、ここに居ても仕方ないし。襲われたことを衛兵に報告に行きたいからついてきてもらってもいい?」


あー、ユニークスキルのことは口止めしなきゃいけないかな?大丈夫か。


「あ……えっと、それは」


「ちょっと、困る」


何か知らんがオロオロし出したけど、街中で襲われたんだから衛兵に報告しなきゃならんのは普通ではないだろうか。


「そうは言っても、転がってる男共を放っておく訳にもいかないし」


止血もしてないから、このままだと死ぬよ?女の子を攫って売ろうとしてた連中だから別に死んでもいいけど。


「リアちゃん?」


「大丈夫、だと思う」


「……………いいの?」


「うん」


何か相談してるみたいだけど、さっさと行きたいから早く決めて欲しい。


相談が終わったのか、女の子2人は俺の方に向き直りフードを下ろした。


おー、2人とも思ってた以上に可愛い。


フード被ってるときは顔のパーツしか見えてなかった多分可愛いんだろうなとは思ってたけど、これは想像以上でしたわ。


にしても、よく似てるけど姉妹とかかな?顔立ちだけじゃなくて青色の髪も……………。


………………待て、青色の髪だと。


いやね、理由は知らないけど青色の髪って貴族に多いんだよね。


一般庶民にも青色の髪をした人はいなくはないんだけど、そういう人って何代か前に貴族の血が混ざったからだったり、色々な事情があって貴族じゃなくなったりした人ばっかだし。


というか、この2人って俺と同い年くらいだよね?


俺と同い年くらいの女の子で、青色の髪をしているって……。


すげぇ嫌な予感がする。


「今まで顔を隠していて申し訳ありません。こちらはリアリス・ロルワンド、ロルワンド伯爵領主の娘になります。わたくしはシャリスティア・ルースランド……この街を含めたルースランド伯爵領主の娘です」


「リアリス・ロルワンド。よろしく」


綺麗な仕草で挨拶をしてくる。







うわー、面倒くせー助けた相手が貴族とかテンプレみたいな展開いらないんだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る