唯一無二の関係・二匹だけの世界

他の方が分かりやすく素敵な文章でレビューなさっているので、私は感想文になってしまいますが書かせていただきたいと思います。
最初MLで大人の恋愛かなと読み始めましたが、正直驚かされました。え?何事?幻覚?ジミー?と読んだらこちらが別の意味でドキドキし、己の中身を外に漏れ出してはダメだと律し取り繕い山根ヒロフミとして生きてきた主人公。クロは万能感から突き落とされ空虚感?や焦燥感に悩まされて諦めきれない衝動に苦悩していて、やまねこと接することで恐れながらも葛藤している。それは山猫も同じでいいのか?本当にいいのか?と困惑として妄想と現実のギャップの荒波の中もがいている。その中で、互いに恐る恐る手探りでぶつけ合ったり慰め合ったり求めあったり傷付けあったり、そんな関係はもしかしたら恋愛という関係の一つの形の集体系なのかもしれないと感じ、二匹とも可愛いところもかっこいいところもあって読んでいてとても萌えて面白かったです。二巡して読んでみて、改めて山猫の主観で語られた物語がこの時クロはこう考えていたのかな?戦ってたのかな?と考えながら読みさらに楽しめました。言葉や理屈にならない、形容し難いなにかでも二人ならいいよねって関係に、なんだか自分も救われた気になりました。自由の中の不自由という言葉を思い出しました。それぞれの苦悩の理解者とは違うかもしれないけど、理解できなくても相手はこいつがいい、と感じた二人だけの関係性に羨ましく思います。
反対な二人は根本的な恐れや不安、悩みの形が違うのに、でも理解はできなくても寄り添い離れない事が二人の喜びで似た者同士でお似合いの二人だと思いました。
まだまだ今後も続いてほしいと願っております。
長文となりましたが、あとみく様の素敵なクロとやまねこのお話に出会えて嬉しかったです

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