人物描写と心理描写が巧みすぎる

アルファポリスの方で見つけて一気に読みました。そして今、三巡目です。
登場人物の描写と主人公の心中の描写が丁寧に書き込まれていて、巧すぎて、そして個人的に主人公と自分が似た部分が多く、自分が過去に黒井氏と同じような人物に惹かれていたこともあり、自分と家族とも同じような関係性で、似たような台詞、似たようなエピソードもいくつもあり、誰も知らないことだらけのはずなのに、なんだこれ、私のことか?っていうぐらい、過去の自分の心情をリアルに取り戻してしまい、なんだか動悸が止まりません。
 
自分と似た部分のある人物が小説に出てくることなんていくらでもあるし、登場人物についても同じですが、この小説は、とにかく人物と心理の描写が丁寧で巧すぎて、淡々と客観的なのに詳細で…、こんなに自分の過去を丸ごと追体験したことはなく、これが文章の力かと、これが小説家としての才能で力量かと、空恐ろしくすら感じました。小説ってすごいですね。私今まで小説読んだことなんてなかったのかも。VRいらないじゃん。
間違いなく自分が今年読んだ中では2022年ナンバーワンの作品です。
 
自分と全く違う人種に、自分でどうしようもないぐらい惹かれて相手の一言一句にきりきり舞いしている自分をリアルに思い出しつつ、過去のことなので、少し外側から見ることもでき
気恥ずかしくもあり、もしかしたらあの時あの人はこういう風に感じていたのかもしれない…とか、昔のことなのに今更新しいことに気がついたような気すらしました。あの時の苦しい気持ちや、毎日ジェットコースターに乗っているかのようにひたすらきりきり舞いしていた時間、今まで他人なんてどーでもいいと思って生きてきたのにいきなり他者(しかもとびきり捉え所のない相手)の気持ちを理解しようと努力せざるを得なくなった懊悩、自分のスキル不足への苛立ち、接触による脳味噌がびりびり麻痺するような快楽をリアルに再現できてしまい、更に新しい発見までついてきて、なんだこれはと、子育てなんかよりよっぽど強烈な追体験でした。VRいらないじゃん。
とにかく驚いたということと、お礼が言いたいです。ありがとうございます。
 
ごめんなさい、このコメント気持ち悪い上に長いですね。一応、何度か推敲したのですが…すみません。
続きを楽しみにしています。心から。
出版されたら買いますのでお知らせください。Kindleだと助かります。

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