第14話 管理者
さて、後はネットカフェだな。
時間は午後6時頃だ。
救命会病院から駅方面に向かうと、ネットカフェが何件かある。
この地区では入ったことないけど、大丈夫か?
会員証とか要らないのかな?
少し不安に思いながらも、入ってみる。
「いらっしゃいませ」
受付の人が声をかけてくれた。
初めてですか? と聞かれたので、うなずく。
やはり会員証が必要なようだ。
作りますか? というので、作ってもらう。
ただ、免許証を持っていないので、俺の身分を証明するものがないと伝える。
受付の人は少し困ったような顔をする。
「すみません、この地区にはなかなか来ないので、今日だけ使えたらいいのですが・・」
俺はそう言って、受付の人に1000円をチップとして渡した。
受付の人は驚いたようだが、少しニコッとして、特別ですよと言って使わせてくれるようだ。
まぁ、年齢確認のために必要なだけで、誰がみても学生には見えないので大丈夫ですね、などと笑いながら話していた。
俺はそのまま1時間コースを利用。
PCのブースに入り、PCをオンにしてネットに今回の女子高生のレイプ事件の記事を作って、〇チャンネルに投稿。
女の子のことはほとんど書くことなく、事件を起こした連中をほぼ実名で公表。
後は拡散頼むと書いて終了。
30分も使ってないだろう。
ネットカフェを後にする。
「ありがとうございました」
背中に声を受けながら、俺は帰路についた。
◇◇
とある薄暗い空間の中。
電子機器が並んでいるのだろうか。
青白く光るものや赤く光る小さな点がかなりある。
テーブルのようなものがあるようだ。
それを囲んで何人かの影が見える。
ユラユラ揺れながら立っているのか座っているのかわからないが、そんな影もある。
『君たちの戦士はどうかね?』
直接頭に響くような声がした。
『私のところは失敗ですね。 間もなく処分します』
どこからともなく声が聞こえる。
ユラユラと揺れる影はそう言うと、スッと消えた。
まだ3体残っている。
『こちらの方はまだまだこれからと言ったところですね』
『そうなのか? こんな低レベル生物の生存実験、面白そうだから参加してみたが、あまり気持ちの良いものではないな』
『そうですか? 私の方では少し知恵があるようですよ。 あ、失礼しました。 1匹はダメでしたね。 暴走しています。 こちらもその個体は処分しますね』
『みな、なかなか難しいな。 だがこんな星は珍しいからな。 我々の資料では、6500万年前くらいに一度今とは違う個体が処分されたはずだがな。 その後で勢力を伸ばしてきた個体、今度はこの個体の処分するかどうかを判断する実験だ』
『ええ、確かに。 この星は生命が育つには良い環境です。 我々のところの避暑地にしたいくらいですよ』
『それは協定で禁止されている。 だからと言って放置しておくわけにもいくまい。 今の個体も一度水で洗い流したはずだがな・・』
『その時には、彼らが助け船を出したのではなかったですか?』
『・・我々の先祖の話だ。 今は違う。 だからこそ我々も見守っているのだ』
『この星の今の個体が、上位種族へと進化できるかの実験ですが、無理じゃないですかね?』
『今の個体の原型から500万年くらいは経過しただろうか。 生物の進化には時間がかかる。 今の個体がきちんと棲み分けを学び、自分たちの分を知れば、この星も落ち着くだろうに・・惜しいことだ』
『わかっていますよ。 だからこその実験でしょう』
ユラユラと揺れる影を通して、勝手に会話をしていた。
影は次第に全部消えてゆき、一つだけの影が残っていた。
私が与えたデス・ソード。
これを持って自由に振舞えと言ったのはいいが、1体は失敗だったな。
もう1体はかなり抑制的に動いているようだが。
その影はつぶやきながら窓のようなところへ移動する。
窓の外には青い地球が大きく見えていた。
どうやらここは宇宙空間らしい。
◇◇
俺は帰宅し、お風呂にも入って後は寝るまでの優雅な時間を持っていた。
時間は午後9時前。
そろそろニュースが始まるな。
そう思い、テレビをつけてニュースが配信されてるのを待っていた。
『・・明日の天気は晴れでしょう。 午後9時になりました。 N〇Kニュースです。 今日は、海外のニュースをお知らせします。 インドで騒がれていたトラの事件ですが、トラではなく人が殺害していたことが判明しました。 この人ですが、トラのような顎を持ち人ではないのかもしれないとの情報もあり、今詳しく調査が進められているところです』
『人ではないのですか?』
『ええ、見た目は人の形をしているのですが、口、特に顎の部分が人の構造とは異なっているということです』
『この人を殺害していたトラのような顎を持った生物ですが、どうして確保できたのでしょうか?』
『それが、地元の警察が近所からの通報である家を訪ねていくと、人の首筋に噛みついた状態で死んでいたということです』
『それは凄いですね・・』
・・・・
MCが言葉をかけ合いながら会話をしていた。
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