第10話 招集状

 俺が朝、学校に着くと……いや、学校が場所と言った方が良いのだろうか。


 そんな感じで学校が破壊されていた。


「菊井先輩!」


「玲奈ちゃん!これは一体……?」


「分からないですけど、どうも機械族のあぶれモノがここを破壊したって聞きました」


 機械族……それは去年、反乱を起こした新たな人類のことだ。体を機械化した人類。


 そうすることで病気にかかることも、年老いることもなくなった。もちろん、死ぬことも。


 実験体となったのはネット上で集められた200名。


 年齢は18~30歳の男女。


 そして、その集まった人々を機械化したのが去年のこと。


 その翌日、その機械族のリーダーが反乱を起こした。


 現在も各国との戦闘が続いている。


 そのおかげもあってか、現在は50体まで減らせているとのことだった。


 ニュースでもあと一年で全滅させられると言っていた。


 だが、このザマだ。


 一体どうしろというのか。


「……先輩。私たちにはどうすることも出来ないんですか?」


「そうだな……終息を待つしかないんだろうな」


 俺も玲奈ちゃんも何も言わずに俯いた。


 学校を襲撃した機械族はすでに軍によって討伐されたとのことだ。


 そして、学校に早くから来ていた教師生徒100名の尊い命は奪われた。


 この場にいる者たちで、明るい表情を浮かべているものなど一人も居なかった。


 友を失い、悲しみに暮れるもの。この世には居ない家族の名を呼ぶもの。


 見ていることだけでも辛過ぎた。


「これは辛いねぇ」


 俺はその声に反応して後ろを振り返ると、三原がいた。


「三原……」


「昨日ぶりだね。菊井真也」


「何の用だよ。勝負は嫌だぞ」


「パンツを賭けてもかい?」


「あ、当たり前だろ!」


「……ホントに?」


 こんな胸糞が悪いのにスカートの中を覗いたりするほど無神経じゃない。


「アンタたち、何してんのよ」


 三原に続いて、未帆ちゃんがやって来た。


「これで異能力者4人が揃ったわけだ」


 三原は一人満足げに頷いている。


「それで、4人揃ったから何だってんだよ。三原」


 俺がそう言うと、三原は胸ポケットから一枚の紙を取り出した。


「……僕たち4人当てに国から招集状だよ」

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