第9話 ダイヤモンドダスト

 俺は一日に何度意識を失えばいいんだろうか。


 全く、欲望のままに生きるというのは難しいもんだな……。


 そもそも、どうして欲望を抑えて生きなければならないんだ!


 俺はそんなことをして生きるくらいなら死んだほうがマシだ!


 そんなことを思いながら、目を開けると。


「……先輩。欲望は抑えてくださいね。……出来る限り」


「そいつは無理な話だな。そんな簡単に抑えられているのなら苦労しないだろうが」


 玲奈ちゃんは心底呆れたといった様子だった。


 しかし、未帆ちゃんの姿が無い。どこへ行ったんだ?


「玲奈ちゃん、未帆ちゃんはどこ行ったんだ?」


「ああ、先輩と一緒にいると疲れるってボヤきながら今しがた帰ったところですよ」


「そっか……」


 まあ、同じクラスとか言ってたし、明日会えるか。それより……今は玲奈ちゃんとの今この瞬間ときを大事にしよう!


 そのためにもあの膨らみかけのところを揉まなければならないんだ!


「……先輩。今、私の胸を触ろうとか考えてましたよね!?」


 玲奈ちゃんは俺の心を読んだのか、すでに胸の辺りを腕でガードしていた。


 全く、心を読まれるんじゃ、やりたいことも出来ないな。


「このままじゃ私、先輩に何されるか分からないので帰りますね」


「待ってくれ!もう一度あの純白を拝ませてくれ!」


「イヤです。さすがにこれ以上やったら通報しますよ」


 ……さすがに警察沙汰はマズいな。


「分かった。それじゃあ、玲奈ちゃん。また明日!」


「はい、また明日!」


 俺と玲奈ちゃんはこうして別れた。


 それにしても今日一日で美少女二人に出会うとは……最高かよ!


 あんなに可愛い後輩とクラスメートが居るなんて素晴らしいことだ。


 もし、不慮の事故とかで死んだとしても後悔はないな。


 俺がそんなことを思いながら保健室の窓を見ると、赤く輝く太陽が保健室を照らしていた。


 部屋に舞う小さな埃もダイヤモンドダストのようにキラキラと輝いていて、とても幻想的だった。


 俺はこんな風な日常が繰り返され、一生を終えるのだと俺は本気で考えていた。


 そんな風に考えていたことを後に悔いるとしても……だ。

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