第15話 弱音にキュン

 目覚めると居岩の中でマットレスに寝かされ……両手に花だった。

 右側にエルネシア、左側は救助した女性だった。

 相変わらず足がはみ出てるけど。


 髪は白と黒の部分が完全に分かれた、前髪だけ染めましたみたいな色のバランスでショートカット、首の後ろからは一房だけかなり長く伸びている。

 身長は220センチくらいで胸はバスケットボールよりも更に大きい、もみ○い。浮気だからしないけど。

 体格は大柄だが骨格は美女モデル系で、腰は細く足が長いと羨ましがられるだろう。

 胸ほどではないが尻も結構ある。も○たい、でもしない。

 手足も細く骨太って感じはしない。

 成人女性だろう非常にバランスの取れた、芸術美女と言えるだろう。


 エルネシアはまだ成長中なのでバランスはこれから更に整っていくだろうから、骨格とかで見るとちょっと比率点で負けていると思う。

 その辺は今後の成長に期待だね。


 魔力は全回復してるから風呂に入って寝起きの目を覚ますか。

 外されていた装備と脱いだ服を浄化して収納すると風呂場に。

 ウォーターウォールと熱操作で湯を沸かしていく。

 適温になった湯船につかりボーッとする。


 ボーッとしてたらいつの間にか2人とも風呂に入っていた。

 エルネシアが腹の上に座りだしてようやく気付いたくらいボーッとしていた。

 女性も反対側にもたれて膝を曲げてつかっている。


「おはよー」

「おはようございます、まだ眠いんですか?」

「うんにゃ、どっちかって言うと精神疲労」

「ッ!」

「どーした?」

「いえ、私がもっとお役に立てていればよかったんですけど」

「何言ってんだよ」

「キャッ!」


 言いながらエルネシアの胸を掴むと、相変わらず可愛い悲鳴が聞こえてきた。

 そのまま更に腕を動かして引き寄せて抱きしめる。

 掌は脇の下辺りにある。


「俺はマイナス感情にはならないっても、それはそういった刺激を受けてないんじゃなくて、受けた後の変化を抑制しているんじゃないかって思うんだ。だからゼロじゃなくて、見えない火で炙られているのに火傷の原因がわからない感じ。その火傷も日焼け程度の弱い物だからわかりにくいだけで、ゼロじゃないけど少しずつ精神に疲労を残してってるみたいなんだ」

「シバさん……」


「そんな状態でもエルネシア、君が居てくれてるから耐えられてるし頑張れてる。1人だったら嬉しい楽しいなんて思わないし、辛いと感じなくなってるから平気で居られる。だけど喜びも悲しみも何も感じずに生き続けていたら、多分俺は生きてるだけの人形になってたと思う。俺が人間でいたいから、愛する君を失いたくないから、まだもうちょっとだけ過保護にさせてもらえないかな? ダンジョンに入ったらさ絶対に1人じゃやっていけないんだしさ、それまではお願い」


「そんな風に言われて嫌って言えるわけないじゃないですか。いいですよ、私でよければもうちょっとだけ貴方に守られていてあげます」

「ありがとう」


 ボーッとしたまま胸中を語ってたらのぼせてしまった。

 浴槽から出て桶に酌んだ湯を冷水にして何度か頭にかけて、体を拭きながら部屋へ戻ってマットレスに寝転んだ。

 少しだけして、もう1度眠ってしまっていた。


 △△▽▽◁▷◁▷


 なんか気持ちいい……

 いつの間にか寝てたのかぁぁぁ!?

 おおおおうっ、吸われるぅぅぅ!

 これはエルネシアに教えた、恋人朝の挨拶だ。

 そう思っていた時期が私にもありました。

 下を見ると1人増えて2人でした。

 どーなってんの?

 タワー君が落ち込むまで2人の髪を撫で続けた後、全員を浄化してから着替える。


 ただ散々堪能しておいて何もかも拒否はできないだろうから、要求に答える覚悟はしておく。

 衣食住の食は俺達と同じだけプラス体が大きい分を考慮して幾分余分に提供しよう。

 服や靴なんかも体格に合わせた物を作り渡そう。

 住居は同じ家、別の部屋でいいだろう。居岩に間仕切り壁1つ追加でいいか、あと相応の大きさにしたマットレスか。


「それじゃあ、聞かせてもらえるか?」


 なんかもうこの先の予想を思いついてきたけど、2人の話しを聞こうじゃないか。

 大丈夫、今の俺は賢者だ、大抵の問題はパパッと答えを考えついて解決さ!


「まずは自己紹介から、こうしてちゃんと話すのは初めてだね、私はネネ、エルちゃんには許可をもらいました、シバ君、君の新しいって言うか2人目の恋人候補です」


 ぃぃぃやっぱりーーー!!

 これは責任問題だ、エルネシアも認めてるようだし、さっき拒否せず堪能したんだから今回も受け入れるのが筋だろう。

 ただなー、救助していきなりコレだからなー、何考えてんのかわからないってのがなー……

 エルネシアがオッケー出してるなら話し合いもしたんだろうし、かつて騙されて奴隷に落とされた経験があるなら警戒心もあった上でだろうしな……よしっ。


「ネネさん、まだお互い知らない事ばかりですが、俺の恋人になってください」


 直角に頭を下げて手を伸ばす。


「ネネさん、いいなら手を取ってあげてください、私の時もああでしたから」

「ええ、喜んで」


 こうして訳のわからないままなぜか恋人が増えた俺だったが、色々聞かないっていう選択肢は持ち得てなかった。


「エルネシア、君がネネを俺の恋人にする許可を出した理由が知りたいんだが」

「主な理由は3つあります。1つ目は本人がお風呂での話しを聞いていて、シバさんの人柄に惚れたから。2つ目はその前後に話してみて、人間性に問題がないなと思ったから。3つ目はシバさんの朝晩のお相手が1人だと大変だからです」


「じゃあ本心では恋人が増えるのは嫌だったんだろ?」

「いえ、むしろ大歓迎ですよ? 朝晩のお相手は本当に大変ですから、今後とも私がシバさんの恋人であり続けるならクリアしなければならない課題でしたから、私にとってもネネさんの希望は渡りに船でした。さっきも言いましたが人柄に問題なさそうだったので。安心してください、性格的に受け入れられなかったら話し合いの段階で拒否してますから」


「えっ? 2回言った? 2回も言ったの? 俺の相手が辛いってそんなに重要な事だったの!?」

「当然ですよ、シバさんゆくゆくは私をもらってくれるつもりみたいですから、結婚してからも毎日あれが続くとなると日常生活に支障が出かねません、いえ確実に出るようになるでしょう。それに……私はシバさんを、自分が選んだ恋人を信じてますから」

「あ、ありがとう?」


 タワーさん、ひょっとしたらピラー君が暴れん坊で連戦オッケーマンだから毎日の相手が辛くて、人格に問題がなかったら恋人を増やして分散する事でみんなハッピーになろうって計画なのね。

 俺は恋人が増える、それがハッピーかどうかは不明だけど、エルネシアとの関係は改善されるのだろうか?

 エルネシアは負担減になる代わりに、常に独り占めしていた恋人がそうでなくなる。大事なのは本人の決定だという事。

 ネネは俺と恋人になって……さっき考えていた衣食住が目的じゃないかな? 他の理由が思い浮かばん。人柄とか本気なのか? 日本で埋没モブしてた自分としては信じられないんだけど、幼くして騎士にまでなったエルネシアの判断だしなぁ……わからん。


 まさかこの短期間で惚れたなんてないだろうし。

 ただ毎日のシャフト君の相手をするために恋人になったようなもんじゃないのか? あっ、そういや時系列は? 最初に恋人にって言ったのは? エルネシアが引きずり込んだのか? ネネから求めたのか? それによっても変わってくるな。


「って思ったんだが、どうよ?」

「私からエルちゃんに、2番目でいいから彼の恋人になりたいった言ったの。エルちゃんの事を守りたい守らせてって言ってるのに、自分の方こそ守ってもらいたいんじゃないかなって思ったら、なんだかキュンってなっちゃってね。可愛いなって思ったら、もう止まらなくなっちゃってたの」


「それにシバさんなら恋人になったらちゃんと恋人扱いしそうですしね。」

「いやまあ、恋人を恋人扱いしなくてどうするって話しだよ」

「ほら、やっぱりそうじゃないですか。私の恋人はいい男なんですから、もっと自信を持ってくださいね」


「じゃあネネはこれから、エルネシアはこれからも、恋人としてよろしくお願いします」

『よろしくお願いします』


 しかしこれも、勇者的デスティニーなのだろうか? パーティーに初対面なのに魅力的な女性達が入って来るってのは。

 けどまあ、三角関係になったり間男が入って来ないだけマシだと割り切りますか。

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