4-2 白セーラーに紺色ブラだと? すぐ見せろw
「エロい神がティラに憑依してるっていうのかよ」
「そうよ」
頷くと、古海のポニーテールの髪が揺れた。
「だからティラがエロくなるわけ。あんたバカだから知らないだろうけど、たとえばタナトスって神がいるの。人を死に誘う神。死神とはちょっと違くて、エロスとしての死で誘惑するわけ」
「いちいち突っかかるなあ」
「黙って聞きなさい。その神が死後の世界からこっちに来て、エッチを通して人々を死に導こうと画策してるかもしれないじゃない」
「はあ……」
有り得そうもないがなあ……。まあ俺は実は死んでて、しかも守護天使だのネクロマンサーだのが闊歩してる世界線なんだから、エロい死神くらい、いても不思議じゃあないかw
「そう睨んでるんだけど。ただ他にも死に関わる神々や悪魔は多いから、一概には決められないけどさ」
残りのアイスティーを、また一気に飲み干した。
「とにかくふたりで、もうしばらく彼女を観察しましょ。場合によっては助けてあげないとならないし。体乗っ取られるのはかわいそうだもんね。ところで……ねえちょっと甘いもん欲しいからさ。おごってよ、限定マックシェイク」
「あ、ああいいよ。ほら」
ティラを食い物にする神だか悪魔だかのことで気もそぞろで、なにも考えず古海にスマホを渡した。
「チャージしてあるから」
「わかった」
五分後、スカイツリーなみにどでかいカップを抱えた古海がうれしそうに戻ってきて度肝を抜かれたが。
「……なんだよそれ。アイスまで乗ってるじゃんか」
「知らない? Lにしてチョコアーモンドアイスをトッピングしてもらった」
「裏メニューかよ」
にこにこ――というよりニヤニヤ笑っている。
「……お前、チャージからいくら抜いた」
「いいでしょそんなの。ありがと、『お兄ちゃん』」
「てめえ! 胸揉むぞ」
「シェイク、頭から飲みたいのかなー」
「くそっ」
「ふふっ。かわいそうだから、胸はよく見せてあげるわ」
くすくす含み笑いすると、セーラー服のウエストを手で絞って胸を突き出した。隣の席はまた空いたので、大胆になってるのかも。
「ほら認めなさいよ。貧乳じゃないって」
「た、たしかに……」
形のいい胸が、制服を下から押し上げている。なかなかの眺めだ。それは認めざるを得ない。
「六月に入って夏服になったら、もっと凄いわよ」
「夏服……」
「そうよぉー。白くて薄いから下が透けちゃって。あたしカラフルな下着が好きだからさ、黄色いのとか紺色とか」
「紺色のブラ……」
「それが透けてえ。女子中学生の恥ずかしげな胸の膨らみが、はっきりわかってえ……」
「恥ずかしげな……む、胸の膨らみ」
「Cカップで食べ頃のが」
「しいかっぷ。たべごろ……」
「ぷぷっ」
古海がゲラゲラ笑い出した。
「なに直哉、鼻血出てるじゃん。男子ってこんなにチョロいわけ? 共学に行けば良かったな。あんたあたしより二個も上でしょ」
「あっ……」
本当に鼻血が出てた。
なんで俺、すぐ鼻血出るんだろ。恥づいわ、これ。
「あんた操縦しやすいわ。きっとネクロマンシーは成功ね。楽しみだわー」
「はあそうすか」
どうでもよくなって、俺はコーヒーをあおった。
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