第25話 二日酔い

あたしなんて

目次ばっかりの人生ですからね

星は死にました

生まれて二日で

俺と名乗っていた

波に似ていました

同じ色なんだよ画数が

わかります

あたしもビールは苦い方が好き

そうやって

逆流性の人たちはすぐに誰かの人生を知りたがっていて特にエンターテイメントとしてそれを消費している場合はいっそう戒名が複雑になることが予見されていたが実際のところ捨てられた名字がどこに向かうのかはさっぱりわからない

              なりに醸造され増幅されていくしゅわしゅわの意味をひたすら数え合ったりした

あたしは

お風呂からまだ出ることができない

生ぬるい記憶を胃に溜めこみ

いつでも吐き出せる準備の整ったまま

手足の皺ばかり深くなる

どこからがまぼろしでどこからが記憶でどこからが明日でどこからが恨みでどこからが友情でどこからという言葉がどこかの地点を指すわけではないとどこからわかっていたのかわからなくなることを

                     邂逅と読んでいた

そういう迷路だった

あたしの歩行は

ずっと曖昧だったけど

確かに出会ったことがあったよね

君は誰かに飲み干された時

目次になることを頑なに拒んでいた

あのアンモナイトのような

確かな窮屈が君だった

中心を求め続けて

つま先が痺れて

ついに解凍される時

波がこよりのように尖っていく

あの先端で貫かれてから

あたしは今日まで

ずっと二日酔いだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

右斜め45°の斜向かいから左に36.6° @hitomimur

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説