Side Story〈Yuuki〉episodeⅨ

本話は、本編24話の話になります。

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 一昨日のオフ会をやろうという話から二夜が明け、迎えた月曜日。

 結局次回あったらどうするべきかという問いの答えが見つからないまま、私は講義を終え、夕飯と片付けを終えるとそのままログイン。

 昨日は家の掃除をしたり、ゆずちゃんに誘われて県内のアウトレットに行ったりとログインをしなかったので、今日はオフ会の話聞けるかなと、ちょっとドキドキです。


〈Yukimura〉『こんばんは』

〈Jack〉『やっほーーーー』

〈Gen〉『おう!』

〈Daikon〉『よっす』


 どうやらまだ来ているのは3名のようですね。

 とはいえ今日は活動日ではないので、何かするわけでもないのですけど。


 オフ会メンバーだと、だいさんだけですか。

 うーん、話を聞いてみようか、どうしようか……悩みます。

 あ、でもゆめさんが元気なったかどうか、女性一人で大丈夫だったのかも気になりますし、そこだけは聞いてみようかな。


〈Yukimura〉『ゆめは元気なったの?』

〈Gen〉『おwやっぱそこ気になるよなw』

〈Daikon〉『あー、うん。元気、だな』

〈Gen〉『楽しかったみたいだぞw』

〈Jack〉『でも詳しくはゆめとぴょんから聞いてだってーーーーw』

〈Yukimura〉『あ、そうなんだ』


 ふむふむ。

ログだけだと、あんまりわかりませんけど……うーん、どうだったんでしょうか。

 

 と、元々そこまで口数が多くないだいさんは教えてくれず。

 なんでしょうか、ゆめさんとぴょんさんがすごく仲良くなったとか?

 そんなゆめさんに対してだいさんも一目惚れして、三角関係とか、そういう展開になっているのでしょうか?


 学部生時代、紗彩ちゃんが貸してくれた少女漫画のような展開を少し妄想しつつ、私はオフ会がどうだったのか、一人考えこんでいると、


〈Zero〉『よーっす』


 外れ。


〈Jack〉『お、ゼロやんやっほー』

〈Daikon〉『うぃー』

〈Yukimura〉『こんばんは』

〈Gen〉『おう』


 参加者の一人がまた登場しますが、あなたじゃないです。

 お話はゆめさんとぴょんさんから、ってことですからね。


 たぶんみんな同じ思いだったのか、ゼロさんの登場にも反応は薄め。

 でも今日は活動日じゃないし、ゆめさんもぴょんさんも、お休みでしょうか?

 やはり学校の先生はお忙しいのかな?

 うーん、お話聞きたかったな……。


 そんな風に、ゼロさんのログインからもう少し時間が経った頃。


〈Yume〉『やっほーーーーーーーーー!』

〈Pyonkichi〉『いぇーーーーーい』

〈Yume〉『ゆめちゃん復活!!』


 おお、会いたかったです。

 ログの感じ、だいさんの言う通り元気になったのは、たしかかな?


 でもなんでしょうか、お二人ともテンションが同じですね。

 しかも登場が一緒ですし、このお二方がいい感じになったのでしょうか?

 

 え、でもゆめさん、失恋したてだったのでは?

 むむ?


〈Gen〉『お、きたなw』

〈Yukimura〉『復活したんだ、よかったね』


 でも、何はともあれ元気なのはよかったです。

 一昨日来たばかりの時は、どんよりでしたからね。


〈Jack〉『よかったねーーーーwww』

〈Gen〉『昨日楽しかったのかw』


 そして二人から詳しい話を聞いてと言われていたオフ会不参加組のログに活気がでてきます。


〈Yume〉『もち!!みんないいやつだった!!』


 ほうほう。

 いいなぁ、こんな元気出るなんて、楽しかったんだろうなぁ。

 会ってみたい、ですね。


〈Pyonkichi〉『ゼロやんイケメンwww』


 あ、そうなんだ。

 3人の男性陣の中だと、ゼロさんが一番カッコよかった、っていうことなんですかね。

 ほんとに顔を合わせたんだなって、分かるログです。


〈Yume〉『ぴょんもだいも、美人だった!!』


 むむ?

 むむむむむむむむむむ?

 ……え?

 

 美人?

 ん???


 美人という言葉って、男性に使うものでしたっけ?

 あれ?


〈Zero〉『やめろ!』

〈Daikon〉『ちょ!』


 私がPCの前でフリーズしていると、言われた言葉に焦るお二人が。

 これは、どういうことでしょうか……?


〈Pyonkichi〉『いやー、マジでだいは美人。びびった』

〈Daikon〉『やめて!』


 そしてゆめさんに加えて、ぴょんさんもだいさんの容姿を褒めだします。

 やめて、って……あれ、だいさんそんな口調でしたっけ?

 今までだったら『やめろ』じゃないかな……。

 そしてぴょんさんは、美人というゆめさんの言葉を否定してませんし……。


 え、こ、これは……。


 もしや……。


 だいさんもぴょんさんも、女性……?


〈Gen〉『なんだ、二人ともネナベだったのかw』

〈Gen〉『あ、嫁が「だと思った」と言っております』


 奇しくも私が思いついたことと、リダの発言が一致。

 そして嫁キングさんは、元々お二方を女性だと思ってたとのこと。

 ……どこで気づいたのでしょうか?


 というか、皆さん教員なのに、嘘をついていた、ということですか?

 あ、でも元々性別を聞いたことはありませんし、聞かれなかったら答えなかっただけ、と言われたらそれまでなんですけど。


 でも……騙されていた人がいる、ということは、私も騙すつもりはなかったけど、騙す結果になっていた、ということが通用するのでしょうか。

 少なくとも一昨日ゆめさんが逆ハーレムとあーすさんが言った時、だいさんもぴょんさんも否定しなかったわけですから。


 ……ちょっとだけ、私も会っても大丈夫なのではないか、そんな気持ちが浮かびます。


〈Yukimura〉『美人さん・・・見てみたいな』


 そう思ったからこそ、素直な気持ちで言えました。

 びっくりするくらいの美人さんなんですよね、だいさん。


〈Yume〉『そしてお知らせがあります!』

〈Jack〉『おおーーーー?』

〈Pyonkichi〉『次回開催は7月3日!仕事終わりに新宿集合!』


 おお、ほんとに開催されるんですね。

 金曜日は講義も少ないですし、行けますね。


〈Yukimura〉『行く』


 ということで二つ返事で答える私。

 騙されていたんだから、驚かせてしまったとしても許されるのではないか、そう思ったのです。

 でも職業詐称は私だけでしょうから、会ったらちゃんと謝ろうと思いますけど。


〈Jack〉『ほんとに新宿でやってくれんだーーーーwじゃあ、行っちゃおうかなーーーーw』

〈Gen〉『よし俺も・・・っていけるかーいw次回の感想も楽しみにしてるぞw』

〈Yume〉『リダごめんね><夏休みにみんなで栃木いこ!』

〈Pyonkichi〉『栃木オフじゃー!』

〈Daikon〉『餃子・・・』

〈Zero〉『だいは餃子好きかw』

〈Daikon〉『う、うるさいわよ!』

〈Jack〉『あ、だいが女の子なったーーーーwww』


 そしてその後、性別が判明した方々の話し方が変化。


 あ、いえ、ぴょんさんはほとんど変わってませんけど、だいさんが大きく変化しました。

 今まで寡黙ながら男性っぽく喋っていたはずのだいさんが、完全に女性言葉になっています。

 

 というか、今まで優しかったはずなのに、少し強気というか、言葉が荒くなったかな?


〈Daikon〉『ああもう!』


 あ、これはあれですね。


〈Yukimura〉『ツンデレ?』


 と、紗彩ちゃんから教わった言葉を私が言うと。


〈Daikon〉『ちがうわよ!』


 思い切り否定されました。

 

 しゅん。


〈Pyonkichi〉『いや、まじ絵に描いたようなツンデレ』

〈Yume〉『しかも巨乳美人』


 でも私の言葉をぴょんさんが擁護し、さらにはゆめさんが巨乳と言う情報まで。

 それはちょっと個人情報の扱いとしてどうなのでしょうかと思いますけど……ちらっと自分の胸元を確認してしまう私がいました。

 

 やはり大きい方が、女性としては魅力的なんですよね。

 ……まだ大きくなるのかな……。

 

〈Gen〉『ほほう』

〈Daikon〉『ギルド抜けるわよ?』

〈Yume〉『ごめんなさい』

〈Pyonkichi〉『すんませんでした』


 少しの間私がモニターから視線を外していると、画面上ではゆめさんとぴょんさんが怒られていました。

 ……発言には気を付けよう、そう思う瞬間です。


〈Yume〉『ちなみにイケメンゼロやんは彼女なしらしいでーす』

〈Zero〉『おい!』

〈Pyonkichi〉『始まる争奪戦』

〈Zero〉『なんだそれ・・・』

〈Jack〉『うちのギルドのヒロインはゼロやんだったのかーーーーw』


 あ、そうか。

 ゆめさんの逆ハーレムかと思いきや、だいさんもぴょんさんも女性だったということは、ゼロさんのハーレム状態だったんですね。

 イケメンというゼロさんに、美人という女性陣。

 傍から見たら、どんな光景だったのでしょうか?


 でも、ゼロさんは彼女なし、ということをゆめさんが確認しているということは、これはゆめさんがゼロさんを好きに?

 あ、でも争奪戦という言葉をぴょんさんが言っているので、ぴょんさんとゆめさんとゼロさんで三角関係?


〈Yukimura〉『ゆめ、切り替えはやい・・・』


 何はともあれ、元気になったのはいいことですけど、失恋のショックってそんな簡単に断ち切れるものなのでしょうか?

 ……こういう時、恋愛が分からないと分からないことだらけですね……。


〈Yume〉『人生は有限だからね!』

〈Daikon〉『そのポジティブは尊敬するわ・・・』

〈Pyonkichi〉『ちなみに争奪戦エントリーは現在3名』

〈Daikon〉『待って、それ私もはいってるの?』


 むむ。

 三角どころではないのですか。

 ……色んな女性から奪われるゼロさん……うーん、光源氏みたいな?


〈Jack〉『ギャルゲーじゃーーーーんwww』

〈Yukimura〉『イケメンは罪?』

〈Zero〉『・・・俺はじめてギルド抜けたくなったわ』

〈Yume〉『は?』

〈Pyonkichi〉『その選択肢は承認されてませんね』

〈Zero〉『だいのときと反応がちげえ!!』


 そしてだいさんと打って変わって対応が変わるゆめさんとぴょんさん。

 何と言うか、オフ会前よりも仲良くなったのは明白、ですかね。


 ……私も会えば、皆さんともっと仲良くなれるのかな?

 女性の方も多いみたいですし、男性と話したことが少ない私にとっては朗報です。

 でもジャックさんが来れば男性は2人ですし、今度はゼロさんもハーレムではないから、気楽でしょうかね。


 なんて、もうすでに参加した時のつもりになる私。

 あんなに参加するかどうかを迷っていたのが嘘のように、私は7月3日のオフ会で皆さんに会えることを待ち遠しく思うようになるのでした。






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以下作者の声によるあとがきです。

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 そしてついに、運命の日を迎えます。

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