Side Story 〈Airi〉 episode Ⅷ

 本話は、本編7,8話の話になります。

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 前回のあらすじ。修羅場希望、以上。



〈Pyonkichi〉『マジ知り合いかwすげえw』

〈Pyonkichi〉『ここまで来たら言っちゃえって! 気になって明日の授業失敗しそう!』

〈Daikon〉『授業失敗すんなしw』

〈Daikon〉『でも7年もフレやってる俺も知らないし、俺も気になるなー』

〈Jack〉『俺も銃持ちがセシルってのは想像ついたけど、ゼロやんと関係あるなんて知らなっかったなーーーー』

〈Jack〉『かつてのライバルとかーーーー?』

〈Zero〉『うーん、言わなきゃダメ?』

〈Pyonkichi〉『ここまできてひよんな!』

〈Daikon〉『俺らに秘密にする必要あんのかよ?w』

〈Jack〉『え、まさかリアフレとかーーーー?w』


 あたしも煽る気満々で、ちょっとワクワクしながらゼロやんのログを待ったのだが、なかなか返事がない。

 おいおい、まさかここでいなくなったりしねぇよな!?


〈Pyonkichi〉『おい、ゼロやん急にだまんなw』


 いい加減じれったくなった頃、3分ほどゼロやんが黙るのであたしは追撃を放つ。

 いいからあたしを楽しませろ!


〈Jack〉『え、まさか本人から連絡きてたりとか!?』

〈Pyonkichi〉『ありうるな!セシルから連絡きたらそっち優先はしょうがないww』

〈Daikon〉『おーい、ゼロやーん』

〈Zero〉『ごめん、セシルからメッセきてた』


 うっはーーー!

 キターーー!!


〈Pyonkichi〉『マジだったwww』

〈Jack〉『銃についての口止め依頼かーーーー』

〈Daikon〉『記録の残るアカウントへのメッセージじゃなく、わざわざキャラへのメッセージ?記事への口止めなのにそんなもんなのか?』

〈Pyonkichi〉『たしかに!だい鋭い!』


 だいの珍しい長文ログに、だいがこの話題に興味津々というのが伝わってくる。

 いやー、愛しのゼロやんがあのスーパーアイドルと知り合いとか、気が気がじゃないよねー!


〈Jack〉『これは、メッセージで済む間柄ってことですかなーーーー!?』


 あたしとともに、ジャックも煽る。

 さぁて、ゼロやんはどう出るかなー?


 まぁどうせ昔パーティ組んだ縁でフレンドとか、そんなもんだろうけどさ。


 そう思ってたんだけどな!


〈Zero〉『元カノなんだ』

〈Daikon〉『は?』


 だい、同意だ。

 こいつ、何言ってんの?

 元カノって、昔付き合ってた彼女って意味だよな?

 え、ゼロやんと、あのくっそ可愛いセシルが、付き合ってた……?


〈Pyonkichi〉『うぇええええええええ』

〈Jack〉『まじ?』


 だが、ゼロやんは追撃を放つ。


〈Zero〉『ああ、俺はセシルに勧められて、LA始めたんだからな』


 ちょ、まっ!?

 いや、さすがにそれ、だい死んじゃうんじゃない!?


〈Daikon〉『元カノ???』


 あ、よかった。まだギリ反応できるか。

 ちなみにあれだぞ。あたしは別にだいをからかって楽しみたいだけじゃないぞ?

 一応これでも、二人を応援してんだからな?


〈Pyonkichi〉『あのくっそ可愛いセシルと付き合ってたとか、これはゼロやんイケメンか!?』

〈Jack〉『わー、それは確かに秘密にしたがるわけだねーーーー』

〈Pyonkichi〉『昔一緒にプレイしたことあるとかそのくらいだと思ってたのに斜め上すぎw』

〈Jack〉『だったねーーーーwww』


 お、ジャックは下ネタいけるクチか!

 いいねー!w


〈Pyonkichi〉『全くですなwww』

〈Zero〉『おいやめろ』

〈Zero〉『もう何年も前の話だからな?』

〈Pyonkichi〉『いつの話なんだよーw』

〈Zero〉『あー』



 そしてあたしは、ゼロやんから見事にセシルとの昔話を聞きだすことに成功した。

 詳しくはあれな、どっかに書いてるからそっちで知ってくれ!


 簡単にまとめると。

・学生時代付き合ってた

・セシルの誘いでLAスタート

・セシルの廃人っぷりについていけず、破局

・未練あり

 ってとこだな。


 何年もかけて育ててきたキャラと人間関係に全てサヨナラして別れるのは、やっぱ勇気もいるだろうし。

 ゼロやんとセシルが別ギルドだったのは、不幸中の幸いだったのかもな。


〈Pyonkichi〉『うーん、まぁゲームやるのは自由だし、別に女々しくはないんじゃね?』

〈Jack〉『そうだねーーーー。また1からキャラ育てろって言われるのは、しんどいもんねーーーー』

〈Pyonkichi〉『だなー。我が子みたいなもんだしなぁ』


 あたしにとって〈Pyonkichi〉は可愛い可愛い相棒。

 別なキャラ育てろって言われるくらいなら、引退を選ぶぜ!

 たぶん。


〈Pyonkichi〉『とりあえず、ゼロやんが学生時代リア充満喫してたのはよくわかったw』

〈Pyonkichi〉『ちなみにそっから彼女は?w』

〈Zero〉『いねーよ!』


 なるほど。これでだいの片想い状態確定か。

 うーん、いいねぇ。青春だねぇ!

 でも彼女なしを確認したあたし、ナイスアシストなんじゃね!?


〈Daikon〉『ふーん』

〈Daikon〉『ちょっと今日先に落ちるわ』

〈Daikon〉『素材でたら送っといて』

〈Daikon〉『おやすみ』


 あ、あら?

 これはどっちの反応だろうか……。

 元カノエピソードと彼女なし情報に、混乱しちゃったかなー?

 まぁでも元カノがあのセシルだしなぁ……見た目じゃちょっと、勝ち目ないかー。


〈Jack〉『お、おーーーー? おやすみー』

〈Zero〉『お、おやすみ』

〈Pyonkichi〉『まさかだいはセシルファンでショックだったのか?w』


 だいの逃亡ログアウトで、この戦いは終幕。

 ちょっとだけ募る罪悪感。


〈Jack〉『とりあえず、せっかく来たんだから素材1Dくらいは目指して頑張りますかーーーー』

〈Pyonkichi〉『そうなー』


 だいへの罪悪感もあったけど、ジャックの言葉でだいのためのアイテム取りを続行することに決定する。

 よかった、空気が変わった。


〈Zero〉『つーか俺ばっかリアルの話させやがって』

〈Zero〉『二人とも、彼女とかいないの?』


 おいおいこいつ何言い出すんだ?

 彼女って、こいつほんとに性別勘違いしてんだなー。

 やっぱ男は単純だねー。

 とりあえずだまっとこーっと。嘘じゃないし。

 ま、彼氏だとしてもいないけど!!


 ちなみにジャックもだんまりってことは、ジャックは独り身……いや、こいつもやっぱ、女な気もするんだけど……。


 しかしセシルが元カノねー……。

 けっこう昔みたいだけど、あのセシルと付き合ってたってことは、ゼロやんイケメン説は濃厚だなー。


 うーん、どんなもんだろうか。

 会ってみたいなー。


 当然あたしらがプレイしてるのはMMOなんだから、みんなの顔は分からない。

 ログだけで人の色恋沙汰を見るのは、やはりちょっともどかしい。

 あたしらはボイスチャットは使ってないし。


 でも、いつかみんなに会えたらいい。

 このときはたしかにそう思った。



 まさかこのすぐ後にみんなに会うなんて、夢にも思ってなかったからねー。





―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―今回の補足


〈Pyonkichi〉による【Teachers】でのみんなの役割


〈Pyonkichi〉ウィザード・ボケ・下ネタ担当

〈Zero〉ガンナー時々サポーター・ツッコミ・戦略担当

〈Daikon〉ロバーorウィザード・ツッコミ(少ないけど)・ゼロやんのお供

〈Gen〉パラディン時々大剣ファイター・主催・仕切り・録画・ブログ

〈Jack〉サポーターだけどだいたいなんでも・ボケ&ツッコミ兼任・戦略担当

〈Soulking〉ヒーラー・みんなの癒し

〈Yume〉斧ファイター・お嬢様・のろけ話(あたしだけに)

〈Yukimura〉武士・天然・不思議ちゃん

〈Earth〉パラディン・ネカマ・いじられキャラ・おもちゃ


おまけ

〈Kamome〉ウィザード・ツッコミ・いい奴・大好き

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