Side Story 〈Airi〉 episode Ⅶ

 本話は、本編6,7話の話になります。

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 むかついた翌日は、仕事でばたついて疲れ切ってログインできなかった。

 ログインできたのは、むかついた日の翌々日の木曜日。


〈Pyonkichi〉『おいーっす』

〈Jack〉『お、やっほーーーーw』

〈Pyonkichi〉『なんだよジャックだけかよー』

〈Jack〉『わーーーお、辛辣ーーーーw』


 あたしがログインしたのは19時半くらい。

 今日は活動日でもないから、まぁしょうがねぇか。


〈Jack〉『火曜日、やっと勝ったよーーーーw』

〈Pyonkichi〉『え、うっそ!』

〈Jack〉『マジマジーーーーw』

〈Pyonkichi〉『うわー、来たかったわー』

〈Jack〉『ゼロやんが銃ゲットしたーーーーw』

〈Pyonkichi〉『マジか!くそ強いって噂の?』

〈Jack〉『そうそうーーーーw』

〈Jack〉『リダ、動画上げたけどけっこう再生数いいみたいーーーーw』


 あー、そういやリダは個人ブログでギルドの活動報告をしてんだっけ。

 動画投稿サイトにも動画上げてるらしいけど、あたしは見たことはないけどね!


〈Pyonkichi〉『オリジナルスキルがあるんだっけ?』

〈Jack〉『そうみたいだねーーーー』

〈Pyonkichi〉『ゼロやん来たら見せてくんねーかなー』


 そんな風にジャックと二人で話してた時。


〈Daikon〉『よーっす。ゼロやんとダイヤ亀狩りいくけど、一緒行かね?』


 話題のゼロやんの相方が現れた。

 しかしいきなり『ゼロやんと』か。

 ほんとこいつらニコイチだなー。


〈Pyonkichi〉『お、いいねー。ゼロやんの銃みたーい』

〈Jack〉『後衛俺だけパターンやーーーーーんw行くけど』

〈Daikon〉『いい返事じゃwじゃあ、さっそくいこー』


 だいの誘いに乗って、あたしたちはパーティを組む。

 4人で目的地へ移動して、そこで見たゼロやんの銃は、そりゃもう強かった。

 あんな攻撃できたら、楽しいだろうなぁって思えるほど。


 でもその攻撃を見た直後。


〈Moco〉『わーお、すごいねー』


 01サーバー内どころか、LAプレイヤーの中でもトップクラスに有名な人が現れた!

 大都会01サーバーのトップギルドの双璧、【Mocomococlub】のギルドリーダー、もこさん。あたしと同じ小人族の女の子ながら、最強の武士刀使いって言われてる。

 まぁ種族はステータスには関係ないから、好みの問題なんだけどね。


 でも、なんでこんなところに来たんだ?

 そうあたしが呆気に取られてると。


〈Moco〉『動画みたよー。ぜろが銃手に入れたっていうから、見に来たんだけど、ちょうどいいタイミングだったみたいねー』

〈Daikon〉『あら、もこさんおひさしぶりです』

〈Zero〉『おひさしぶりっす。てか、わざわざソロでこんなとこまで来なくても、メッセくれりゃ見せにいったっすよ』

〈Moco〉『えー、たまには顔を合わせて会いたいじゃん?』


 おいおいおいおいこいつら何普通に会話してんの!?


〈Pyonkichi〉『ちょちょちょ、え、なに、ぜろやんとだい、もこさんと知り合いなん!?』

〈Zero〉『あー、まぁ』

〈Daikon〉『俺ら昔、もこさんとこにいたんだよね、言ってなかったっけ?』

〈Pyonkichi〉『初めて聞いたわ!』

〈Pyonkichi〉『お前らの強さそういうことだったのか!』


 あたし一人、置いてけぼりな感覚。ちょっと寂しい。

 しかもその後の会話で、ジャックも知り合いだということが判明したというか、ジャックはもっとすごかった。

 プレイヤーで知らぬ者はいない【Vinchitoreヴィンチトーレ】のギルドリーダーである〈Lucianoルチアーノ〉と知り合いらしい。

 

 その後も私を置いて、4人の会話が進む。

 4人は白文字オープンチャット、あたしだけ青文字パーティチャット

 みんなと話して、一昨日のむかつきも減ったけど、これはこれでちょっと寂しい。

 

 せめてこんな時、ゆめかかもめがいればなぁ。


 だがあたしの気持ちなんかおかまいなしに、白文字は増えていく。

 話題はゼロやんの銃について。

 その会話の中で、もこさんは言った。


〈Moco〉『るっちゃんルチアーノとこでもその銃持ちが一人いるんだけど、誰だと思うー?』


 【Vinchitore】の、銃持ち……?


〈Zero〉『……そんな分かり切ったこと聞くのはやめてください』

〈Moco〉『ふふ、でもあの子はスキル見せてくれないし。きっとネタにしたがってるから、そのうち向こうから口止めの連絡あるんじゃない?』


 あの子?

 え、それって……。


 あたしがそんな風に考えてる間に、もこさんは去っていった。


〈Daikon〉『なあ、あの子って誰?』


 おお!

 だいが切り込んだ!


〈Pyonkichi〉『それ俺も気になった!』

〈Jack〉『俺も俺もーーーー』


 合わせて俺とジャックも加勢する。

 しかしだいのやつ、これは嫉妬かー?

 その女誰よ!? 的な修羅場かー?


〈Zero〉『え』


 明らかにきょどる挙動不審になるゼロやん。

 これは何かありますなー!


〈Zero〉『ジャックは知ってるだろ?』

〈Jack〉『バレたかーーーーwでも、なんでゼロやん知り合いなの??』

〈Pyonkichi〉『おい誰のことだよ!』

〈Daikon〉『【Vinchitore】のガンナーってことだよな?』

〈Zero〉『まぁ、そうだな』

〈Daikon〉『ってことは、Cecil?』

〈Jack〉『だろうねーーーー』


 ちょっと予想してたけど、やっぱそうだよね!?

 やっぱそうだよね!?


 きっとだいは純粋に「あの子」を知りたがってたんだろうけど、あたしはちょっとだけ違う気持ち。

 もちろん誰だろうとは思ってたけど、ニコイチの相方の秘密が気になってしょうがないだいの反応が、一番気になってた。


〈Pyonkichi〉『え! セシルって、あのセシル!?』

〈Jack〉『だろうねーーーー』

〈Daikon〉『だとしてもなんでもこさん、わざわざあの子なんて言い方すんの?』

〈Pyonkichi〉『おいおい、ゼロやんセシルとも知り合いなわけ!?』

〈Jack〉『たしかにーーーーそういう結論なるよね!!』

〈Pyonkichi〉『そこんとこどうなん!?』


 これは、盛り上がる予感がする!!


〈Zero〉『あー、うーん、まぁ』


 認めたーーーー!

 さぁ愛しのゼロやんがあのアイドルと知り合いとか、だいちゃんどうする!?

 修羅場!? 修羅場になるか!?




―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―今回の補足


Cecilセシル

 ギルド【Vinchitore】幹部の01サーバー最強ガンナーの猫耳獣人。

 またゲームコラムニスト兼コスプレイヤーとしても有名であり『月間MMO』では担当コーナーを持つほど。

 中の人リアルの見た目の可愛さもかなり高く〈Cecil〉のコスプレをした姿は一部ファンの間で熱狂的な人気を誇る。

 おっぱいも大きい by〈Pyonkichi〉

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