第7話 魔眼

「あれ何で私の名前を?」

 キョトンと首を傾げる少女は我が義妹聖奈ことセイナ。その名前は如何なんだ?とは思うが俺も人の事は言えないしいざとなればアイリに頼れば同格のAI所持者以外には破れないから丁度良いはず。

「まあ俺のスキルにはそういうものがあるんだよ」

 その名も【太陽眼】。あらゆる事象を見破り看破し真実をこの世に示す。そして陽に座す力を得て全てを焼き尽くす。そしてそれはとある王の覇を叶える天使が宿し神々にすら叛逆し楽園を築こうとした主が略奪し魔王と勇者とおう相反する力を宿した精霊王の手に渡った経歴を持つ所有者を撰定する魔眼。そして先程使用した対の【月光眼】も王に異を唱えた愚者の隣に立ち戦場に舞えば光の剣と化して正義を鼓舞し悪を滅して民衆を月の魅力で誑かし全てを魅了したが故に主に滅ばされ剥奪され異端の王に渡った。

「えっ!看破系統最上位」

「まあそうなるか。【根源スキルオリジンスキル】だけどな」

 原則的に根源スキルは他に所有者が居ないことが確定しているスキルである。なので確実的に他者が獲得不能である。まあスキル自体が意志を持ち所有者を撰定するわけだし。それこそその分野を司る神を数柱を媒介にして生み出すかその神々が長い月日を掛けてようやく精製できるモノ。寧ろこの世界に存在した事事態が異端だが掛かったコストは0なのでそういう事なのだろう。

「オリジンスキルですか?聴き覚えがありませんね」

「あった方が怖えよ。ほら…俺は色々と特殊だろ?」

 セイナの後ろから来る集団を見越して3人娘のみに聞こえるように話す。

「ほう。攻略組…というかプロとしては色々と気になる話だが…」

「貴方が姫巫女の話に出てくる凄腕ね」

 巫女服を着た少女は薙刀を持っている事から恐らく愛子で名前はアイ。そしてその隣にいる魔女っ子が雫だろう。こっちはティアか。何かそのまんま過ぎね?

 そしてその2人の更に奥から4人のパーティーが見える。この人たち昨日注目すべきプレイヤーとして聞いている。

騎士王キングオブナイツのリューセイに白冥の魔女のリセーリアと爆砕斧士バースト・アックサーのタケルにスナイパーのリーナか」

 前衛2後衛2とバランスが取れており全員がβテスト時代からの二つ名持ちという最高峰のパーティーであろう。順番で前衛盾型攻撃にヒーラー兼サブ火力にメイン火力で斥候や遠距離攻撃か。そして全員がプロのゲーマーでもある。何か微笑ましいものを感じなくも無いが今その様な視線は俺にも向けられている。

「へぇ〜。やっぱあの噂は本物か〜」

「噂ですか?」

 様々な立場な都合上そういう事に敏感なアイが珍しく不快感を完全に露わにしている。これあとが怖いな。

「うんあくまで人伝に聞いた根も歯もない噂」

 その時点で充分に怪しく感じるが誰も突っ込まない。俺は彼らが飯のタネにしている世界を知らないがそういうのはジョークのナニカと捉えているのだろうか?

「かの姫巫女にはそれぞれ強大なバックアップがありそして屈強なSPが居て全員が全員そのSPに何らかの特殊な想いを抱いているとかそんな感じの根も歯もない噂」

「…それでそのSPとやらが俺だと?」

 決して間違いとは言えない。愛子は実家が神社であり国内のみならず世界でも著名な企業だし雫は先祖代々から続く名家でありそのパイプは桜井家よりも強い。そして聖奈は俺やアイリを初めとする規格外の恩寵を賜っているのだ。そしてそれぞれの仲は非常に良く2月に一度は会食を重ねるほど。バックアップにしては絶大であろう。そしてそれぞれが独自の戦力を束ねているし本人たちのその戦闘力なんかはヤバい。今はまだ地球特有のモノがあるが少し魔改造すると背中を預けれるくらいには成長するだろう。最後の感情は分からないが概ね嘘とは言い切れない。

「うんそう。でも君の場合はナニカ違う」

「それは俺も感じた。何か微妙に噛み合ってない」

 バレてら。確かに俺本来の戦闘スタイルとは掛け離れている。使える手札が大幅に制限を強いられているタメであろう。まさかこんなにも早く想定外の人たちに破られるとは思いもしてなかったが。

「…色々とあるんだよ。本来のスタイルとは違うのはその所為だ」

 俺の強みは膨大な手札の組み合わせによる無数の可能性を示して相手に対応を取らさせないがメインだ。そしてもう通じないと分かったら切り捨てる。ってどこぞの烏丸みたいだな。それにあれらに繋がる事は話す事を禁じられている。

「良いか。姫巫女と一緒なわけだし。強い分には歓迎かな」

「俺も一度手合わせ願いたいぜ!」

「おう。騎士王がどんな実力かしりたいしな」 

 そう五聖使徒の例外2人を除いた場合の最強クラスには純粋に興味がある。


 ところで何故騎士王?

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帰還勇者のVRMMO冒険記 髙﨑 レイ @reitakazaki

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