第7話 オルガ、魔族の国に入国後編

オルガは、フォウをおぶって倉庫に連れて行き、藁を敷いた床に寝かせ、夜中のうちに旅立った、

昔の文献で魔力を持たすぎた魔物は主人を選ぶか

人型になるという、古い文献をオルガは思い出していた。


「ちょっと、オルガさん、フォウくんは置いて行くんですか?」


アザレアは旅立つ前に、オルガを止めようとしたが、「オルガは無駄じゃ」と言うと、フードを深く被り去って行った。


「アザレアさん、無駄です!師匠を止めるのは、とても重要な事があるみたいなので」


爽やかな筋肉紳士ジェイムズはアザレアをなだめた。


「酷いじゃない!こんな良い子を置いていくなんて!」


自分勝手なことを言っているのはわかるけど、アザレアは勝手に感情が口から出てくる。


「アザレアさん、師匠はとても忙しい方なんです、しかも、魔族の国は今は危険地帯、連れて行ったとしても足手まといにしかなりません」


ジェイムズの言うことは正論だった、けど、納得できなかった。


「ジェイムズさん、私に岩を粉砕するコツを教えて下さいお願いします、今じゃ足手まといなのは私も同じです」


何かのスイッチが入ったようにやる気をだすアザレア、オルガがフォウを置いていくのがよっぽど納得できなかった。


「アザレアさん、あの技は、はいそうですかと覚えられる技ではないのですよ」


ジェームズの話だと、三年間みっちり、修行して、やっと覚えたらしい、オルガの修行は気に入った人物だと、付きっきりで教え、相当ハードな修行だったらしい。


「アザレアさん、わかりました、ではフォウくんと一緒に修行をする前に、フォウくんの荷物、アザレアさんの荷物をここに運びましょう修行はその後です!わかりましたね」


ジェームズはアザレアとフォウに優しいく諭すと、一度、家に帰るように伝えた。


オルガは魔族の国へ、情報屋ヤギの元に向かっていた、口達者で頭のキレがあり、騙すのが得意ときた、ある時、魔物に襲われていた情報屋ヤギを助けた、際に仲良くなって、聖女の情報自分の娘をもらっていた。


「あやつらには、すまんことをしたな」


独り言をしながら、自分に活をいれる、反乱軍がやつ《魔王》を殺す前に、手を打たなければ、魔王が納める、魔族の国は崩壊するだろう、と踏んだオルガは情報屋ヤギに詳しい話を聞く為に、朝早く魔族の国へと旅立った。


「やはり、こちら側も食糧不足か」


小さな、農村地帯にたどり着くが、売っている品が少ない、品質が悪い、これは、戦争どころではなかった。


「これでは、今戦争したところで、何も得はしないだろうて」


農村地帯は活気はあるが、奥に進むにつれ、貧困街になって行く、オルガは人間の国で栽培された《食料庫》から持ち出しだ種やキノコを、売りに来ていた、オルガは魔族の国では行商人で有名で、お金がないものには無料で提供し、種は栽培人に譲っていた


「オルガさん、久しぶりですね」


一人の大柄な魔族の狼種が訪ねてきた、上半身毛むくじゃらで腰には皮であしらえた、腰布を付けていた。


「おぉ、久しぶりじゃなシストルお前さんはいつもモフモフじゃな」


もふもふの獣人、シストルはブルーの毛皮で触り心地が良い毛皮でいつも、オルガは触りに来る


「もう、やめて、くださいよオルガさん」


「そうじゃった、情報屋ヤギを探しに来たのだが何か知らぬか?あやつはいつも場所を帰るから困ったもんだ」


触ってた手を離し腕を組んでオルガはシストルに情報を聞き出す


「あいつ、でしたら酒場でさっきまで酒呑んでましたよ」


「そうか!ありがとうなシストルや代わりにコレをあげようかね」


たっぷりと魔力の詰まったキノコの束を渡すオルガ

「こいつは、ありがとうございますオルガさんこんな貴重な品を」


オルガが住んでいる森は魔獣のクロとフォウが住んでおり、魔力を含むフォウとクロが育てると、濃厚な魔力を含むキノコができるのだ。


オルガはシストルと別れ、酒場へと向かう、シストルとのやり取りを見られたのか、タチの悪い輩は三人でオルガを囲む、シストルはやれやれ、可哀想な奴らめという目で見ていた。


「婆さんよ、命が惜しくば、荷物を置いていきな」


オルガはやれやれと荷物を置き、腰を屈め右手に持った杖を回転させ、脛を狙う、三人共にクリーンヒットしタチの悪い輩は脛を押さえ屈む姿勢になる。


「お主ら、何故このようなことをするか!」


オルガは察しはついていたが、タチの悪い輩三人組に話を聞く


「俺らは、職を失って飯も食えない状況なんです」


なるほど、やはりそうかと腕を組んでオルガは納得する、今の時代金はそこまで、役には立たず食事をすることが、一番重要であった。


「状況はわかった、野菜の種をお主らに分けてやろう、それと魔物退治にも着いてきてもらうぞ対価は農村地帯の周囲にいる魔物退治じゃ」


オルガは三人を農村地帯の外に連れ出した。


三人のタチの悪い奴らは、身を竦めながら、戦いの体制をとる、脚は竦み上がり、恐怖に怯えとても、戦う体制ではなかった。


「情けないのう、先程の威勢はどうした!若者たちよ?」


この辺りでは、イノシシや野犬が魔物化したものが多く、魔力太りした、良質な肉が手に入ると、有名だったが、それは腕に覚えがある者でしか退治できない。


「オルガさん!勘弁してください、俺ら素人じゃ役に立ちませんて」


リーダー格のバンダナを頭に縛った者がオルガに助けを求め、何とも情けない格好だった。


「仕方ないのう!魔物がでるまでワシがちと鍛えてやるかの」


腰に右手を回し、バンダナの男に近ずき、オルガは手をだせと言う。


「お主の適性を診てやろう、ふむふむ、なるほどお主は脚が速い先程の盗みを活かして短刀あたりかの?」


オルガは手持ちの短刀をバンダナ男に渡す。


「次は太った奴じゃな!お主はある程度、耐久力があるようじゃなスパイクシールドあたりじゃな」


棘の付いた盾を太った男に渡す、スパイクシールドは棘の付いた亀の甲羅を剥ぎ取り鉄で加工した物で、バザー品で仕入れた物だ。


「次、お主は痩せておるのう、むむ!珍しい体質じゃな、この杖を持ってみるがよい」


痩せた男が杖を持つと緑色にひかりだした


「ヒィ何ですかコレは?」


「当たりじゃな!お主、魔法使いにむいているようじゃな、お主はエント爺に合わせてやろう」


エント爺とはこの森の大きな大樹で、意思を持つ大樹だ、知識量が半端なく色んなことを学ぶことができる。


「森の奥に行くとするかの、エント爺喜ぶじゃろうな」


にっこり笑うオルガは、三人にはとても不気味に見えた。


魔力持ちの魔族は希少で使える、一般魔族はとても珍しかった、貴族は使えるが、一般魔族には素養がなく、学ぶ魔族はいなかった。


エント爺が住む森は一日歩いて、ようやく着く場所で途中で野宿しなきゃならなく、間もなく夕暮れどきだ、魔物化したイノシシや野犬がいつ襲って来てもおかしくはない。


「オルガさん!木の枝を拾ってきました」


太った男はスパイクシールドの中に大量の木の枝を入れて持ってきた。


「うむ!ご苦労さん」


バンダナ男は森の近くの川で魚を取って来た、

痩せた男はオルガに基礎の術を教えてもらっていた。


「ご苦労さん、今夜は魚とワシが持ってきた野菜で晩メシにするかの」


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ハイドランジア 幻想花 @kaz55aqa0218

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